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第51話 気になるあの娘

今回は、蓮視点の話です。


いつもの倍の長さですが、話の流れ上、分割する事が出来ないので。

今回は、そのままで、上げました。

 予備校の講義が始まる前に、大橋さんと話をしている。



 「へえ、そうなんだ〜」



 笑顔で、大橋さんが、僕の話を聞いている


 彼女と、こんなに話をするになるとは、考えられなかった。


 彼女の事は、一年の頃から知っているが。


 その頃は、可愛いなあとは思っていたが、接点も無い事もあり、成績の事以外は、特に気にはして無かった。


 しかし、2年生の三学期のある日。




 ***************




 「はあ〜、無いなあ」



 あれ、ドコに行ったのかな?


 家の鍵が無い。


 どうやら、この廊下付近で落としたみたいだ。


 と言うか、それしか考えられない。


 この廊下で、小銭入れを取り出す際に、一緒に出て来て、落としたとしか考えられない。


 そう思い、下を向きながらウロウロしていた。



 「あの・・・、どうしたんですか?」



 僕の後ろから、女の子の声が聞こえた。


 振り向くと、顔と名前は知っているが、ほとんと接触が無い娘が立っていた。




 「えっと、大橋さんだよね」


 「・・・はい、どうしたんですか?」


 「うん、家の鍵をここで、落としたみたいなんだ」




 僕は、その女の子に、そう説明すると、




 「じゃあ、私も手伝うね・・・」


 「えっ!」


 「二人で探したら、早いよ・・・」




 そう言って、彼女も一緒に探し出した。


 そうして、しばらく該当する廊下付近を探していたら。



 「あっ、これかな?」



 彼女が、何かを見つけた様だ。




 「ねえ、これじゃないかな?」


 「あ、これだよ、これ。

見つけてくれてありがとう」




 大橋さんが、特徴的なキーホルダーが付いた鍵を、僕に見せた。


 そして、その鍵を僕に渡すと、



 「よかったね」



 優しげな笑顔を浮かべてくれた。


 その笑顔を見て、僕は心臓を鷲掴みにされてしまった。


 つまりは、一目惚れをしてしまった訳だ。


 僕の前で、笑顔を浮かべていた彼女を、しばらくの間、僕は、見惚(みと)れていたのである。




 ****************




 それから、僕は何とかして、大橋さんと近づきたいと思う様になっていた。


 特に、3年になって、同じクラスになった時は、踊り出さんばかりに喜んだ。


 しかし、彼女には問題があり。

それは、彼女が、男が苦手である事と、極端なブラコンである事だ。


 前者の場合、元々、そう言う所があるのに加え、1、2年の時に、シツコク言い寄る連中に、懲りた様である。


 余りにもシツコイ為、幼なじみの瑞希が、強硬な手段を使って追い払った位だ。


 後者の場合は、余りのブラコンぶりに、瑞希が一線を越えないか、心配しているみたいである。


 そう言う事なので、まずは、何とか近づいて話をするキッカケを掴もうかと、考えていた。



 ・・・



 そうして、悶々としていた時。



 席に座って、大橋さんの方を見ていたら。




 「何、華穂の方を見ているのよ♪」


 「べ、別に、そうじゃないって」




 横から、瑞希の声が聞こえた。




 「じゃあ、華穂の事を教えなくて良いのかな〜」


 「教えてください」



 僕は、アッサリ陥落した。




 「今が、あの娘に近づくチャンスよ。

今、、由衣が、あの娘の弟に惚れているのに気付いて、動揺している状態なの。

つまり、今まで通りの関係で、居られるか分からない事に、ショックを受けているから」


 「でも、良いのかい?

今まで、男たちを追い払っていたのに?」


 「今まで、あの娘に近づくのは、乱暴そうなヤンキーとか、軽薄そうなチャラ男とかばかりだから。

そんなのと、あの娘がくっ付いたら、不幸になるのは目に見えてるよ」



 そう言うと、瑞希は頭を横に振った。




 「でも、何で、僕なら良いのさ?」


 「アンタは、私が、小さい頃から知っているけど。

そんな、あの娘を不幸にするようなヤツじゃないからよ」


 「随分(ずいぶん)と高く買ってくれてるなあ、だけど、彼女は、弟以外の男が苦手だろ?」


 「大丈夫、今まで、あの娘に近づくのは、柄が悪かったり、軽薄そうなのばかりだったし。

そう言うのは、最近、全く近づかないから、前ほどでも無いよ。」




 そうなのか? 僕は頭を傾けた。



 「それに、アンタは、あの娘の弟と似たタイプの人間だから、殆ど警戒されないと思うよ」



 そう言いながら、瑞希は、顔をズイと近づけた。


 ”それは、何か嫌だなあ〜”と、思わず、心の中でそうつぶやいた。



 「とにかく、今がチャンスだから、近づきなさいな」


 「(バシン!)」



 そう言って、僕の背中を思いっきり引っ叩いた。


 瑞希流の気合の入れ方だろうけど、痛いんだよ!




 ***************




 それから、瑞希の忠告通りに、大橋さんに近づくと、心配が嘘のように、気軽に話す事が出来た。


 そして、瑞希の情報から、この予備校を受講する事が分かると。

迷わず、一緒の予備校を受講する事に決める。


 偶然にも、志望する大学が同じ所で、しかも、同じく推薦を狙っているのが分かり、俄然、今まで以上のやる気が出た。


 そして、前もって、教えられた時間に行くと、隣に座るように瑞希がお膳立てしてくれた。


 瑞希の世話焼きには、辟易(へきえき)することあるが、今度ばかりは感謝してもし尽せない。


 そう思いながら、時々、瑞希が茶々を入れる中、大橋さんと、講義が開始するまで、楽しく会話したのであった。



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