第45話 試験勉強2
その日の放課後。
放課後になった。
いつもだと、姉さん達を一緒に帰る所だけど。
今日は試験前で、一緒に図書室で少し勉強することになっていた。
本来は、姉さん達の勉強で、僕は別に一緒にいる必要は無いが。
ついでに僕も、一緒に勉強する事にした。
そんな訳で、僕達は、図書室へと向かっていた。
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「ガラッ」
入り口の扉を開くと、静かに図書室に入る。
静まり返った図書室の中を、僕達は、大きな音を立てずに進んだ。
図書室に入って、少し経った所で。
「この辺りに座ろっか」
瑞希先輩が、図書室の一角にある、適当なテーブルを見つけると。
そう言って、3人に座るように勧める。
瑞希先輩の言葉を受けて、3人が椅子に座ると、それぞれ勉強を開始した。
・・・
「う〜ん〜」
僕は、しばらくの間、勉強をしていたが。
やっている内に、どうにも解らない問題が、出てきたのだ。
それで、まずは、向かい側の姉さんに、聞こうとした。
しかし、姉さんは、瑞希先輩と何やら問題を教え合っている様で、とても聞ける状況ではない。
僕は、どうしようかと悩んでいた。
「どうしたの、優くん?」
僕がそう悩んでいると、隣に座っている、由衣先輩が僕に尋ねてきた。
「えっと、どうしても解らない所が、あるんですよ」
僕が、そう答えると。
「私が教えようか?」
「え、お願いして、良いんですか」
「うん、良いよ」
由衣先輩が、教える様な事を言ったので、僕がお願いすると、由衣先輩がニッコリ微笑みながら、そう言ってくれた。
と言う訳で、由衣先輩が、僕を教えてくれる事になった。
・・・
「ここは、こうなるの」
「あっ、そうだったんですね」
由衣先輩が教えてくれている。
とても解りやすくて助かる。
由衣先輩は、僕の教科書を自分の側まで持って行くと、教科書を指して教えてくれている。
しかし、そうすると、僕も教科書を見ないとイケないので、先輩の手元を覗き込んでいる内に。
いつも間にか、僕の顔は、先輩の顔の至近距離になっていた。
先輩に顔が近づくと、女の子の良い匂いが鼻に付くようになった。
その匂いは、同じ女の子だけど、姉さんともまた違い、それよりも更に甘い匂いだ。
「で、これだけどね」
そう言うと、先輩が、頭を上げてこちらを向く。
すると、至近距離で、お互い見合う形になった。
「ご、ごめんなさい」
「いえ、先輩、こっちこそ」
先輩がそう言いながら俯き、僕は後ろに下がった。
ちょっとだけ、気まずい雰囲気になったが、気を取り直すと。
その後は、始めの時と同じように、普通に先輩が教えてくれた。
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「みんな、もうそろそろ帰ろうか」
突然、瑞希先輩が、そう言ってきた。
時計を見れば、そろそろ、全校生徒下校の時間だ。
そう思い、3人は、帰る支度をし始めた。
「由衣先輩、今日はありがとうございます」
「ううん、お役に立てて嬉しいよ」
僕は、片付けながら、由衣先輩にお礼を言うと、先輩は嬉しそうに、そう言った。
そんな二人を見て、姉さんが怪訝そうな顔をする。
「もお、ゆうくん、急ごうよ」
姉さんが、僕にそう言って、急かした。
こうして、僕達は、立ち上がると、図書室を出た。
・・・
今日は、梅雨だけど、珍しく雨が振っていない。
そんな中、学校を出て、通学路を歩いていると。
「(ニコニコニコ)」
由衣先輩の機嫌が、何だかとても良いみたいだ。
それを見た、姉さんが。
「ゆうくん、一体、どうしたのよ?」
「う〜ん、別に、解らない所を教えてもらっただけだよ」
「ふ〜ん、帰ってから、タップリ聞きましょうか」
「えっ、えええ〜」
姉さんが、ジト目で僕を見ている。
帰ったら、タップリ尋問されるんだろうなあ、トホホ。
家に、帰ってからの事を想像すると、僕は、肩を落としながら、帰るのであった。




