第44話 クラスの男の子
午後の休憩時間。
私は、椅子に座り、瑞希、由衣と話をしていると。
「ちょっと、大橋さん、良いかな」
私を呼ぶ声が聞こえた。
声がする方向を見ると、一人の男の子が立っている。
その男の子は、清潔な髪型で背が高く、そして結構イケメンであり、女子の人気も高い。
しかし、一番の特徴は頭が良く、ずっと学年一位を取り続けている。
彼の名前は、井尻 蓮君という。
そんな彼が、私を呼んでいる。
「あっ、そうだったね」
私は、彼の用件を思い出して、席を立った。
そんな彼を見て、瑞希は親指を立てて、ニヤリと笑う。
蓮君は、瑞希のそんな行動を見て、苦笑している。
私は、二人のやりとりを見て、頭に?マークを浮かべていた。
「それじゃあ、遅くならない内に、行こうか」
彼の、その言葉で、教室を出発した。
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「ふう、流石に量が多いね」
そう言って、彼が、教材を教室に運んだ。
私達は教室に、次の授業の資料を運んでいたのである。
今日、二人は、日直であるので、それで運んでいる。
「でも、全部持たなくても・・・」
私は、彼にそう言った。
彼は、全員分の資料を全部持っていたからだ。
「そのほうが、大橋さんが楽が出来るでしょ」
彼が、笑いながら、そう言った。
私は、彼のその笑みを見て、心が踊った。
私は、基本的に、男の子が苦手だ。
なぜなら、私に近寄る、男の子はほとんど、柄が悪いか、チャラチャラした男の子しか来ないからだ。
しかも話す内容も、あからさまに私を口説こうとするか、自分の事しか話さない。
なので、ゆうくん以外の男の子は苦手だ。
そう言う意味では、由衣と同類だけど、私は、笑顔でやり過ごす事が出来るが。
由衣は、私ほど器用では無いので、俯いて黙り込んでしまうのである。
だけど、蓮君はそうした男の子達をは違って、穏やかな上、清潔で、下心も無くて、私の事を気遣ってくれている。
そう言う意味では、ゆうくんと似た所がある。
「どうしたの、大橋さん?」
「えっ?」
「何だか、考え事していたみたいだから」
「ち、違うの、ちょっと、ボンヤリしていただけなの」
私が、うろたえて答えると、彼が、クスクスと笑った。
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「あれ、あれは姉さんかな?」
廊下を透也と一緒に歩いていると、遠目に姉さんの姿が見えた。
しかし、姉さんの姿と供に、もう一人男子生徒の姿が見える。
「へえ、結構、仲が良さそうじゃないの」
その光景を見た透也が、意味ありげな口調でそう言った。
「そんなんじゃ、無いだろう。
もし、そんな関係なら、僕に話すはずだから」
僕は、そう言って、透也の発言を否定するが。
目の前の姉さんは、何だか楽しそうに、話をしている。
姉さんの、その姿を見て僕は、何とも言えない苛立ちと不安がない交ぜになった感情が、心に湧き起こっているを感じた。
そんな感情を抱えたまま僕は、姉さん達の姿が見えなくなるまで、その場で立ちすくしていたのであった。




