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第43話 雨の日の昼食

 昼食の時間になった。



 いつもだと、屋上で済ませるのだが、今は梅雨時なので、屋上は使えない。


 それで最近は、食堂で取っているのだ。


 と、言う訳で、僕達は食堂へと、向かった。



 ・・・



 「さっ、ここら辺でいいかな」



 食堂の端の方に行くと、瑞希先輩がそう言うと、僕達は全員その場所に座った。



 「あれ、今日はここで食うのか」



 僕達が座っていると、向こうの方から、透也がやって来た。 



 「うん、雨が降っているからね」



 それに対して、僕がそう答えた。




 「あれ、透也君、今日は手作り弁当じゃないんだ」


 「今日は、予定が無いんですよ」




 パンを持っている透也を見て、瑞希先輩がそう言うと。

透也が、少しムッとした表情で、そう返した。


 今の席の配置は、姉さん、僕が座っている対面に、瑞希先輩、由衣先輩が座って。

ちょうど僕の前に、由衣先輩が座る形になっている。


 それを見た、パンを持った透也が、僕の隣に座った。



 「それじゃ、早く食べましょうか」



 瑞希先輩の言葉で、透也以外は弁当の箱、透也はパンの袋を開いた。




 ****************




 弁当を開いて、食べていると。



 「今日の、優くんの、お弁当美味しそうだね」



 不意に、由衣先輩が、僕の弁当を見てそう言ってきた。


 今日のお弁当には、僕のだけ、アスパラのベーコン巻が入っているのだ。


 なぜなら、アスパラのベーコン巻は、僕の好物なのだが、姉さんはアスパラが苦手なのである。


 それで、僕のにだけ、入っていた。




 「由衣先輩は、アスパラは苦手ですか?」


 「ううん、大丈夫だよ」



 尋ねてみれば、由衣先輩は大丈夫そうだ。


 それならば。



 「由衣先輩、これ食べてみませんか?」



 僕は、ベーコン巻を箸で摘んで、由衣先輩に突き出した。



 「えええっ!」



 由衣先輩がなぜか驚くが、それには構わずに、口元にベーコン巻を突き出した。


 始め躊躇(ちゅうちょ)していた由衣先輩だったが、意を決した様に、ベーコン巻をパクついた。



 「どうですか、美味しいでしょう」



 由衣先輩が頬を赤くさせながら、(うなず)いた。



 「由衣先輩に、喜んでもらえて良かった」



 僕はそう言いながら、弁当から、次のベーコン巻を摘むと、口に放り込んだ。


 それを見ていた、瑞希先輩と透也は目を()いて驚き。

由衣先輩は、赤い顔を更に赤くさせると、箸を持ったまま(うつむ)いてしまった。



 「どうしたの、みんな?」



 そんな周囲の状況を見た僕が、みんなにそう言った。


 隣にいる姉さんも、僕同様、そんな3人を、不思議そうな顔をして見ている。


 周囲の、何とも言えない状況に困惑しながらも、僕は、黙々と箸を進めていたのであった。



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