第42話 姉さんを騙してみる
ある日の朝。
今日の天気は、梅雨空で雨は降っていないが、雲でどんよりとしていた。
そんな朝に、僕はいつもより早起きをした。
下の階から、物音がするので、姉さんはすでに起きているみたいだ。
二度寝を試みるも、完全に目覚めているので、眠ることが出来ない。
そんな中で、ベッドの上でゴロゴロしていると、ある考えが浮かんできた。
そこで僕は、その考えを実行する事にした。
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「コンコンコン」
姉さんが、ドアをノックする。
すでに起きているが、寝たふりをしていた。
「入るよ〜」
そう言いながら、姉さんが部屋に入って来た。
無警戒のまま、ベッドの側に近づく。
そうして、ベッドに側に来ると、僕を起こし出した。
「ゆうくん、朝だよ〜」
姉さんが甘い声で、僕を起こす。
だけど、寝たふりをしてままで様子を見る。
「ほぉらっ、起きなさい〜」
起きる素振りを見せない僕に、姉さんが僕を揺すってきた。
それでも起きない僕に、業を煮やして、掛け布団を剥ぎ取ろうとする。
「ほら!、早く起きなさい〜」
姉さんが、僕の布団を、素早く剥ぎ取る。
しかし、それと同時に、僕は、姉さんに抱き付くと。
布団の上に、姉さんを押し倒した。
僕は、姉さんの胸に、顔を埋めていた。
”やった、成功した”と、心の中で、ほくそ笑んでいたら。
「ガバッ」
と、姉さんが、僕の頭を抱き締めて来た。
「ゆうくん〜、やっぱり、そう来たんだね〜」
姉さんが、僕の頭を抱き締めていたまま、そう言った。
「ゆうくんが、狸寝入りをしているのは、分かっているんだよ♪」
そのままの状態で、姉さんは、続けて、そう言ったのである。
ははは、始めからバレていたんですね(汗)
「お姉様を騙そうなんて、百年早いよ(ニヤリ)」
姉さんが、そう言って、僕の頭を抱き締める力を強めた。
「ううう、息が、息が〜」
姉さんが、力を強めると、姉さんの胸に顔が押し付けられるので。
当然、息が苦しくなる。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 姉さん、ごめんなさい!」
僕は、姉さんに必死に謝った。
「ふふふっ、これに懲りて、お姉ちゃんを騙そうなんて、したらダメだよ♪」
そう言いながら姉さんが、腕の力を緩めると、今度は、僕の背中を撫で始めた。
「どお、ゆうくん、気持ち良い」
「うん、お姉ちゃん、気持ち良いよ・・・」
僕は、そう言うと、姉さんの胸に、頬ずりをした。
そうすると、一瞬、姉さんは、”ビクリ”と反応した。
「もお〜、ゆうくん、くすぐったいよ〜」
一回、僕の頭を軽く叩くと、次に、僕の頭を優しく撫でる。
こうして、僕は、朝早くから、姉さんの胸に甘えていたのであった。




