第4話 教室にて1
それから3人は、一緒に学校に向かう。
学校に着き、下駄箱で靴を履き替えると、階段の所まで来た。
ここから、僕と姉さん達とは別れる事になる。
僕のクラスは1ー2で1階、姉さん達のクラスは3ー2で3階にあるからだ。
「じゃあ、ゆうくん、また昼休みに会いましょう」
「うん、屋上で会おうね」
「って、あんたらは・・・」
姉さんが別れる前に、僕の頬をカバンを持って居ない方の手で当てると、僕を見詰めながら、そう言った。
僕も、頬に当てられた手の上に、手を当てると、姉さんを見詰めながら、姉さんにそう返した。
その光景を見た、瑞希先輩が呆れながら、絶句した。
「バイバイ、ゆうくん」
「姉さん、またね」
姉さんが小さく手を振り、瑞希先輩が右手で頭を押さえながら、階段を登って行く。
姉さん達の姿が見えなくなってから、教室に向かおうと、廊下の方を見ると。
一人の男が、溜め息を付きながら、こちらを見ていた。
「はあ、流石に毎日見たら、もう慣れたな」
そこには、身長は高くて、茶っぽい、少し長めの髪型をした、ちょっとワイルド系のイケメンが立っていた。
「あ、おはよ、透也」
「ああ、優。
お前らも相変わらずだな」
呆れながら、僕にそう言ったのは。
薬院 透也と言う男で、僕のクラスメートであり、入学早々から、なぜか馬が合い、いつのまにか友人になっていた。
「色々と、言いたい事があるが、とりあえず教室にいくぞ、優」
「うん、分かったよ」
透也のそこの言葉で、僕達は教室に向かった。
****************
1ー2の教室に入ると、もう殆どの生徒が教室に揃っていた。
教室に入り、自分の席に着くと、透也も僕の席の隣に座った。
透也の席は、僕の隣である。
それがキッカケで、入学してから透也との関係が出来たのだ。
透也は席に着くと、僕に話しかけて来た。
「おい、優。
お前、いい加減、姉離れをしろよ」
「何で?」
「高校生になって、実の姉とベタベタしている奴なんか、居ないぞ」
「そうかなあ?」
僕は、透也の言葉に首を傾げると、透也は。
「お前達見ていると、一線を越えないか心配になるんだよ。
いや、もう越えて無いかと」
そう言えば、瑞希先輩もそんな事を言っていたなあ。
「一線って、何?」
「それはだな」
透也が僕の耳に手を当てて、その内容を言った。
その内容を聞いて、僕の頬は急に熱くなった。
「チョット! 僕は、姉さんをそんな目で見てないよ!
・・・第一、僕はそんな経験した事無いし」
「何、お前、童貞なのか!」
「チョット、声が大きいよ!」
透也の声で、クラス全員の目が僕達に集中した。
「え、優の奴、まだ童貞なのか」
「まあ、そうだろうね」
「お姉さんとは、そんな事にはなってなかったんだね」
「ホント、安心した」
それから、驚きと、納得したのと、安堵した内容の入り混じった声が、周りから聞こえた。
程なくして、他のクラスにまで、僕が童貞であると言う噂が、広まってしまった(涙)