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第38話 弟とシャイガール2

 体育の授業が終わり、教室に戻る途中、



 「うんしょ、うんしょ」



 見た事がある後ろ姿が見えた。


 特徴のあるお下げ髪で、誰かと言う事が一目で分かった。


 由衣先輩だ。


 先輩は危ない足取りで、荷物を運んでいた。


 しかも荷物が大きく過ぎて、前が見えているのかが怪しい。


 由衣先輩が、階段に差し掛かった。


 先輩を危なっかしく思っていた僕は、急いで階段へと向かった。


 先輩が階段を登り始める、先輩の足取りが更に危なくなる。


 そう思っていたら、先輩が足を踏み外した。



 「あっ!」



 先輩が声を上げる、それと共に先輩の体が宙に浮いた。



 「ぽすっ!」



 先輩の体が、床に叩き付けられる前に、僕は、先輩の体を受け止める事が出来た。




 「えっ!」


 「由衣先輩、大丈夫ですか?」


 「優くん・・・」




 先輩が一瞬、何が起こったか分からなかったが、僕の声に振り返る。


 先輩は、荷物を持ったまま宙に浮いた状態で、僕に抱き締められていたのである。


 先輩の体は、女の子だから、やはり物凄く柔らかいのだが。

姉さんと比べると、とても軽いのだ。


 姉さんもとても軽いのだけど、それよりも由衣先輩は更に軽いのである。


 僕を見詰めたまま、しばらくボーとしていた先輩が、自分の状況に気が付くと、頬を赤くさせながら(うつむ)いた。



 「お願い、優くん。

もう大丈夫だから、下ろしてちょうだい・・・」



 先輩が、赤い頬のまま、そう言ってつぶやいた。



 「あっ、すいません、今すぐ下ろします!」



 先輩のつぶやきを聞いた僕は、慌てて先輩を下ろした。




 ***************




 「ふう〜」



 今、僕は、荷物を運んでいる。


 由衣先輩に変わって、荷物を運んでいるのである。


 荷物は、ダンボールに入っていて、結構重い。


 これじゃあ女の子、特に華奢な先輩だと、フラついて当たり前だよ。


 しかも、大きいから、先輩が持つと視界が悪くなる。


 誰だよ、こんなことをさせたのは〜。



 「先輩、どうしたんですか、この荷物」



 そう僕が尋ねると、先輩が、




 「うん、次の授業の教材だって、先生から頼まれたの」


 「誰なの?」


 「櫛原(くしはら)先生なの」




 ああ、あの先生かあ。


 あの先生は、人使いが荒いので有名だからなあ。




 「ホントに、女の子、特に由衣先輩みたいな華奢の女の子に、こんな重い物を持たせるなんて」


 「えっ?」


 「先輩、ちゃんと、ご飯食べてますか?

抱き止めた時、あんまり軽いんで、ビックリしましたよ」




 先輩がさっきの、僕に抱き止められた時の事を思い出したのか、再び、頬を赤くさせながら俯いた。



 「先輩、本当に大丈夫ですか?

女の子、特に先輩は華奢だから、心配になります」



 しばらくの間、俯いていた先輩が、不意に顔を上げ僕の方を向くと、



 「優くん、ありがとう。

私は、大丈夫だから、心配しなくていいよ」



 まぶしい笑顔で僕を見て、お礼を言った。


 こうして、僕は、上機嫌でニコニコしている先輩と一緒に、教室まで荷物を運んだのであった。



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