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第37話 雨の日の登校

 ある日の朝。



 今日も、天気は雨だった。


 梅雨とは言え、こう連日雨だと、気分も滅入るなあ。


 それで、今は、玄関で姉さんが出るのを待っている所だ。




 「ゆうくん、お待たせ」


 「じゃあ、行こうか」




 二人で駅へと向かった。



 ・・・



 二人で傘を差して歩いている。


 カバンを持って、傘を差しているので、流石に手を握って歩けない。


 そうして、二人で歩いていると、姉さんが、



 「ねえ、ゆうくん、そっちに入って良いかな?」



 と、僕の傘の中に入っていいか、聞いてきた。



 「ん〜、別に構わないよ」



 本音を言えば、中が狭くなるので、本当は嫌のだが。


 今は、雨も小雨で、そんなに酷く濡れる心配は無いし。


 第一、お姉様のご要望なので、(こた)えない訳にはいかない。



 「えへへっ、ゆうくん、ありがとう」



 そう言いながら、自分の傘を折りたたむと、姉さんが僕の傘の中に入って来た。


 姉さんが僕の傘に入ると、傘とカバンを左手に持ち、僕の左側にくっ付いた。



 ・・・



 姉さんを、傘の中に入れて歩いている。


 若干、歩きにくいが仕方がない。


 そう思いながら歩いていると。


 風が出てきて、姉さんの方から、雨が振り込んできた。


 姉さんが濡れそうになったので、姉さん側に傘を持って行った。


 その代わり、僕の方が若干、雨が当たってしまうけど。


 その事に気付いた、姉さんが、



 「・・・ゆうくん、ありがとうね」



 と、僕を見詰めながら、そう言った。


 それから姉さんが、僕の傘を持つ腕に自分の腕を絡ませると、僕の肩に頬を乗せた。


 ・・・ますます、歩きにくくなるな。


 そんな、状態で駅へと向かって行った。




 ****************




 駅に着き、それから電車に乗り、学校前の駅で降り、それから、学校に向けて、歩き始めた。


 通学路を歩いていると、向こうに傘を差しているが、明らかに誰か分かる後ろ姿が見えた。


 姉さんが、その姿を見ると、大声で呼び掛けた。



 「瑞希、おはよ〜」



 その声を聞いて、瑞希先輩が振り返ると、僕達を見てビックリした。



 「アンタたち・・・」



 僕達は、学校前の駅から、また一つの傘で歩いていたのだ。



 「相合傘は、ともかく。

何で、姉弟で、腕を組んで、密着しているのよ〜!」



 そうなのだ、また姉さんが、僕の傘を持つ手に手を絡めて、僕の肩に頬を乗せていた。


 瑞希先輩が、そんな僕達の姿を見て、叫びながら絶句したのだ。



 「みんな、おはよ〜」



 横から、声が聞こえた。


 声がした方を見ると、由衣先輩がこちらを見て、ビックリした後、(うらや)ましそうに見ていた。


 ふと、周りを見ると、瑞希先輩の声が聞こえたのか、奇異(きい)羨望(せんぼう)と嫉妬の視線が、僕と姉さんに降り注いだ。



 「ほ、ほらっ、早く行かないと遅れるよ」



 周りからの、何とも言えない視線を感じると、慌てて早く行こうと、そんな事を言った。


 一方、姉さんはと言うと、周りの視線も、お構いなく、僕に密着したままである。


 こうして、周囲からの何とも言えない視線の中で、まるで針のムシロに座るかの様な思いで、登校したのであった。



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