第34話 一緒の昼食2
4時限目が終わって、昼休みになった。
これから屋上で、姉さん達と一緒に昼食を取る所だ。
しかし、今日はいつもとメンバーが違う。
なぜなら、
「へえ、お前は、いつもこんな所で食っているのか」
今日は、なぜか透也がいるのである。
理由を聞くと、
「まあ、たまには良いじゃないか」
と言うが、恐らく、女の子との約束が、急にドタキャンになったのだろう。
透也の手には、手作り弁当があるので、本当に、突然の急用みたいだ。
「あれ〜、透也君、折角の手作り弁当が、楽しさ半減だね」
瑞希先輩が、そう茶化すと。
「ほっといてください」
それに対し、透也がそう返した。
それから、全員が弁当の包を解き、弁当の蓋をとる。
ふと、透也の弁当の中身を見た、瑞希先輩が、
「ふ〜ん、ナカナカ料理が上手そうな娘だね。
今時、そんな娘なんかいないから、大事にしなさい〜」
暗に、”酷い目に合わせたら、承知しないよ!”と言うメッセージを送った。
「あははは」
それを聞いた透也が、冷や汗を掻いていた。
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「今日も天気が良いけど、この天気も、今日までだね」
「うん、明日くらいに、梅雨に入るらしいね」
由衣先輩がそう言うと、姉さんがそんな風に答えた。
「じゃあ、明日から、食堂になるのかぁ」
横から、瑞希先輩がそんな事を言った。
僕達は普段、天気が良い日は屋上で食べるけど、悪い日は、食堂で食べるのである。
そんな中、僕は、姉さんが出汁巻き玉子に食べていたのが、目に入った。
「姉さん、どうかな味は」
「うん、ナカナカ美味しいよ」
姉さんが、そう答えた。
「ん、どうしたの?」
「今日の、お弁当、ゆうくんが作ってくれたの」
「羨ましいなあ」
瑞希先輩が尋ねたので、姉さんがそう言うと。
それを聞いていた由衣先輩が、ボソリとそんな事を言った。
本当に、美味しそうに食べている姉さんを見て、僕は、
「じゃあ、姉さん、これも食べて」
と、玉子を箸で摘み、姉さんに持って行く。
「それは、ゆうくんのじゃあ・・・」
「はい、あ〜ん」
「あ〜ん」
躊躇する姉さんの口元に、玉子を強引に持って行くと、渋々と、姉さんが”あ〜ん”をしてくれた。
それを見ていた、透也が目を見開き、瑞希先輩と由衣先輩が溜め息を付いた。
玉子を食べ終えた姉さんが。
「ねえ、ゆうくん、ゆうくんのオカズが少なくなったから、これをあげる」
そう言って姉さんが、僕にミニハンバーグを箸で摘んで、僕の前に持ってきた。
「でも、それは、姉さんの好物じゃあ・・・」
「はい、あ〜ん」
「あ〜ん」
今度は、僕の口元に、ハンバーグを強引に持って来たので、仕方なく、”あ〜ん”をした。
「相互間接キス・・・」
それを見ていた、透也が口をアングリと開いて、そうつぶやき。
瑞希先輩と由衣先輩は、首を横に振ったのだった。




