第33話 今日くらいは僕が
ある日の朝。
・・・
なぜか何時もより、早くに目が覚めてしまった。
いつも起きる時間より、一時間以上もまだある。
なので、もう一回、二度寝を試みるも、完全に目が覚めたのでそれも叶わない。
しかたなく、不本意ながらも早起きをする事にした。
「ふあ〜」
アクビを一つ付くと、ベッドから起き上がる。
昨日、そう言えば、寝たのが結構早かったなあ。
そんな事を考えていたら、ある良い事を思いついた。
それを実行する為に、僕は、一階へと向かう。
・・・
「コンコン」
姉さんの部屋のドアをノックする。
返事が無い、まだ寝ていると判断して、部屋へと入る。
部屋へと入ると、やはり、姉さんがまだ寝ていた。
ベッドの間近まで近づいてみる。
そうして、寝ている姉さんを、ジッと見てみると。
寝ている姉さんは、タダでさえ可愛い系の美人な上、寝ているので表情が無いため、まるでアンティーク人形のように感じられた。
寝ている、そんな姉さんの髪を撫でてみる事にした。
「サラッ」
相変わらず、触り心地がいいなぁ
調子に乗った僕は、姉さんの髪を色々と撫でてみる。
**************
「ん・・・」
何やら、頭に快感を感じて、目が覚めていく。
その感触は、まるでゆうくんが頭を撫でている時の感触に似ている。
ゆうくんが撫でていると、なぜか私の快感のツボを的確に押さえてくれて、私は、何だかトロけていくのだ。
睡眠欲より快感の方が勝り、段々と目が覚めていく。
「あれっ」
目を開けると、目の前にゆうくんがいた。
ゆうくんは、優しい瞳で微笑みながら、私の事を見詰めている。
「あれ、ゆうくん、どうしたの?」
「うん、今日は早くに、目が覚めたんだよ」
そう言う、ゆうくんは、相変わらず微笑んでいる。
「そうだ、もう僕が、お弁当の支度を済ませたから」
「えっ、そうなの・・・」
ゆうくんの言葉に、私は軽く驚いた。
取りあえず私は、ゆうくんの言葉を聞くと、一階に行く事にした。
・・・
一階に降り、台所に入ると、既にお弁当の準備が済んでいた。
大きい、ゆうくん用と、小さい私用の二つの弁当箱には、オカズが入っている。
中を覗くと、ウインナーに、ミニハンバーグ、ミートボール、出汁巻き玉子とミニトマトなどの野菜が入っていた。
「さあ、姉さん、座って、座って」
後ろから、ゆうくんの声が聞えたので、振り向くと。
ゆうくんが、焼き上がったトーストを、皿に乗せていた所だ。
ゆうくんに勧められて、私は席に着いた。
「ゆうくん、どうしたの今日は?」
今日に限って、ゆうくんがそうしたので、ゆうくんに聞いてみた。
「ん、最近、姉さんは、受験勉強で疲れているみたいだから。
今日くらいは、準備をしようと思ったんだよ」
と、ゆうくんが答えてくれた。
私は、そんな、ゆうくんの心遣いが嬉しくて。
「ゆうくん、ありがとう」
笑顔で、そう言った。
そうして、二人はいつもの様に、朝食を取ったのであった。




