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第31話 ちょっと休憩

 夕飯を済ませ、いつもの様に居間で(くつろ)いでいた。


 リラックスしながらテレビを見ていたら、自分の部屋で勉強をしていた姉さんが、居間にやって来たのが見える。




 「あれ、姉さん、どうしたの?」


 「うん、ちょっと休憩しにね」




 そう言って、姉さんが僕の隣に座った。


 姉さんが座ると、目頭を押さえたり、首を回したりしている。




 「どうしたの、姉さん?」


 「目が疲れてしまったの」




 そう言いながら、今度は、首筋を手で揉んでいる。




 「ねえ、僕が揉んであげようか」


 「えっ」


 「いいから、さあさあ、後ろを向いて」




 と言って、姉さんに背中を向けさせる。


 すると、姉さんは、ソファーに座ったまま、体を半回転させた。


 それから僕は、姉さんの肩に手を掛けた。


 親指に力を入れて、姉さんの肩、首筋を揉み、後頭部を右手の指を使って揉み(ほぐ)す。



 「あ〜、気持ち良いなあ〜」



 姉さんは、まるでお湯に入っているかの様な、声を出した。


 そんな姉さんの声を聞きながら、僕は揉みつづける。


 姉さんの華奢な肩、細い首筋は、力を入れ過ぎると何だか折れそうな気がして。

必要以上に気を使いながら、揉みつづけた。



 「もう、いいよ」



 姉さんがそう言うと、僕は揉むのを止めた。




 「う〜ん、大分楽になったぁ。

少し横になって、もうちょっと、目を休ませよう」


 「その方が良いよ」


 「それじゃ、そうしようか」




 姉さんがそう言うと、体を前にズラし、そのまま体が後ろに倒した。


 そうすると、姉さんの頭が、ちょうど僕の太股の上に乗る。




 「ちょっと、姉さん!」


 「えへへっ」




 誤魔化す様な笑いをしながら、姉さんが僕を見上げる。 



 「ねえ、良いでしょ、ゆうくん♡」



 そう言いながら、姉さんが、おねだりをして来た。




 「はあっ、しょうがないな」


 「えへへっ、ゆうくん、ありがとう♪」




 そう言って、姉さんが頭を、僕の太股に擦り付ける。


 なんだか、姉さんにいいようにされてるな。


 しかし僕は、そんな姉さんに仕返しをしたくて、姉さんの髪を撫で始める。



 「えっ、ゆうくん」



 姉さんが一瞬驚くが、僕が微笑み掛けると、姉さんも笑顔で返した。


 姉さんの髪を、だだ撫でるだけで無く、指の間に通す、指に絡ませる、持ち上げる、軽く引っ張ってみる。


 色んな事をして、姉さんの髪を(もてあそ)んだ。



 「ゆうくん、気持ち良い・・・」



 姉さんの、(かす)かなつぶやきが聞こえる。


 そんな姉さんの声を聞きながら、僕は姉さんの髪を弄びつづけた。



 ・・・



 しばらく、そうしていると。



 「スー、スー」



 姉さんが、寝息を立てて寝出した。


 姉さんが完全に寝てしまったのを確認すると。

僕は一旦、姉さんの頭をソファーの置いて、自分の脚を抜いた。


 それから、姉さんの背中と膝の後ろに腕を入れると、姉さんを持ち上げる。


 要するに、お姫様抱っこをしたのだ。


 そうして僕は、一回溜め息を付くと、



 「しょうがない、運んでやるか」



 と言うと、姉さんをお姫様抱っこのまま、姉さんの部屋に運んで行った。



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