第25話 試験勉強1
夕食後。
普段なら居間で、テレビでも見ているのだが。
もうすぐ、中間試験があるので、勉強している。
もっとも、姉さんは、受験生なので、最近は余り居間にはいない事が多いけど。
そんな訳で今は、自分の部屋で試験勉強をしている所だ。
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・・・
う〜ん分からない!
どうしても、この問題が分からない!
こう言う時は、困ったときの、お姉様頼みである。
こう見えても姉さんは、常に上位ベスト3にいる秀才なのである。
そんな訳で、僕は姉さんの部屋へと向かった。
・・・
「(コン!コン!)」
「ゆうくん、良いよ」
姉さんの部屋をノックすると、許可の言葉が聞こえた。
そこで、ドアを開くと、姉さんが机に座っていた。
姉さんは、勉強後そのまま眠っても良いように、パジャマを着て勉強をしている。
そんな姉さんが、僕を見ると。
「ゆうくん、どうしたの?」
小首を傾げながら、そう尋ねてきた。
「姉さん、ちょっと、教えてくれないかな」
僕がそう言うと、姉さんが。
「良いよ」
と、笑顔で答えた。
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「ここは、こうなるのよ」
「あ、そうかぁ」
姉さんが教科書を手に持って、僕に説明している。
姉さんの説明は、的確で分りやすい。
だがしかし、一つだけ重大な問題がある。
それは、今のこの状況である。
今、僕は、椅子に座っているのだけど。
姉さんは、その座っている、僕の上に座っているのである。
つまり、僕は姉さんの、人間椅子状態になっているのだ。
・・・
なぜ、こうなったかと言えば。
姉さんの部屋には、姉さんが座っている椅子が一脚しかないので、僕が自分の部屋から、椅子を持ってこようとするが。
姉さんが、僕に姉さんが座っていた椅子に座り、その上に姉さんが座ると言う事を言い出したのだ。
当然、最初は僕も断っていたのだが。
姉さんが上目遣いで、手を合わせて、お願いをして来たので、仕方なく応じたのである。
昔から、多少は密着することはあったけど。
最近は、それがエスカレートしていた。
まあ、僕も姉さんに密着することが、多いので、人の事が言えないけど。
そんな訳で、こう言う状況になっているのである。
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一応、姉さんから、分からない問題を教えられたが。
姉さんは、僕の上から降りる気配が見えない。
さっきから、姉さんからの説明を聞くために。
姉さんの肩越しから、身を乗り出さないとイケないので。
姉さんを、後ろから抱いていたのだけど。
その状態がいたく気に入った姉さんは。
僕に、そのままで居るように、お願いしていたのであった。
「姉さん、もう教えてもらったから、降りて」
「ねえ、ゆうくん、もう少しだけこのままで、お願い♡」
「でも、姉さんの方の勉強もあるんじゃ・・・」
「ん、ちょうど休憩しようとしてた所なの♪」
「そ、そんなぁ・・・」
こうして僕は、しばらくの間、姉さんの人間椅子になっていたのであった(涙)




