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第24話 親友の弟

今回は、由衣視点の話です。

 ホームルームが終わり、放課後になった。


 これから私は、帰り道を親友達と一緒に、駅まで行くのである。


 しかし私は、この時間を楽しみにしていた。


 それは、



 「姉さん、お待たせ」



 彼が一緒だからだ。


 彼の名は、大橋 優くん、二つ年下の一年生である。


 彼は、私のお気に入りであるのだ。


 最初に、彼と出会ったのは、つい一月半くらい前の事。


 入学式から、数日経った頃の事だった。




 ****************




 「これが、私の弟で、優って言うの」



 「始めまして、優です」



 親友である、華穂から紹介があった。


 瑞希の方は、電話とかで会話した事があるので、全くの初対面では無いが。

私の方は、始めてである。


 私は初対面の、特に男の子なので、緊張して(うつ)いてしまっていた。


 私は、男の子は苦手である。

柄が悪い上に、乱暴なので近づきたくないのだ。


 だけど、彼は、



 「平尾先輩ですね、よろしくお願いします」



 そう言いながら、私に微笑みかけてくれた。


 私に、そんな風に接してくれた、男の子なんか(ほとん)ど居なかった。


 大抵の男の子は、私を見ると、詰まらなそうにするか、視界に入れないかのどちらかであった。


 しかし、彼は、そんな私にも、優しく接してくれた。



 ・・・



 それから何回となく、彼と会う様になるが。

その時でも、私が緊張しない様に、微笑みながら優しく語りかけてくれた。


 毎回、優くんと会う(ごと)に、緊張した私の心は彼によって解きほぐされ。

いつしか、笑顔さえ見せる事さえ、出来るようになった。


 そして、その笑顔も、いつしか、彼と会話したりなどのやりとりから、彼の顔を見るだけでも、出るようになったのである。


 今では、毎日、優くんと会うのが、楽しみになっていた。


 彼の顔を見て、彼の声を聞くだけで、何となく自分の心が、喜びに包まれ行くのが感じられる。



 ・・・



 しかし優くんは、姉である華穂ととても仲が良く、姉弟とは思えないほどである。


 例えば、華穂と優くんが、手を握ったり、または腕を組んだり。

あるいは、優くんが、華穂の腰を後ろから抱き締めているのを見ると、とても、(うらや)ましくなる。


 あの腕を組んだり、後ろから抱き締められているが、自分であればと、何度思った事か。


 私は、恋を知らない。

だから、これが恋だとは断言出来ないけど。


 でも、いつも優くんと、一緒に居たい。

彼と腕を組みたい、彼に抱き締められたい。


 最近では、いつも、そんな事を考えるようになっていた。




 ***************




 「由衣先輩、一緒に行きましょうか」



 考え事をしていた私に、優くんがそう言ってきた。


 いつも通り、微笑みながら、穏やかな声で私に語りかけて来た。


 そんな彼に、私は、



 「うん、行きましょう」



 自然に出てきた笑顔を、彼に向けて、そう答えた。



 「それじゃあ、優くんも来た事だし、出発しましょうか」



 彼が来たのを見て、そう瑞希が言った。


 瑞希の言葉を合図に、私達は駅に向けて出発する。


 そして私は、いつも通り、前を歩く優くんを眺めながら、歩いて行くのであった。



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