第23話 晴天の下(もと)での膝枕
「姉さん、ご馳走さまでした」
「おそまつさまでした」
昼休みになり、いつもの様に、屋上のベンチで昼食を済ませていた。
いつもだと、瑞希先輩と由衣先輩も一緒にいるのだけど。
今日は、何でも用事があるとかで、先に食事を済ませ、それから職員室に向かった。
屋上は今の時間、休み時間なのに人がなぜかいない。
なので、今は僕と姉さんの二人きりである。
「今日も良い天気だね」
「そうだね、ホント良い天気だね」
僕がそう言うと、姉さんが相槌を打ってくれた。
気持ちが良い位の晴天で、最近は日差しも強いが、でも、風の冷たさがそれを相殺して、全体的にとても快適だ。
そんな中、二人は目を閉じて、夏服に感じる、五月の空気を堪能していた。
「ふぁ〜」
そうして、目を閉じて、外の空気を感じていると。
思わず、アクビが出てしまった。
「ゆうくん、眠いの?」
「うん、何だか気持ち良くなって」
そんな様子を見ていた姉さんが、僕にそう言ってきた。
それに対して僕は、少し眠気を帯びた声で答えた。
姉さんに答えた後、僕は再び目を閉じた。
・・・
「ガクッ」
しばらくすると、一瞬、意識が無くなったと思ったら、ガクリと頭が落ち、そのショックで目が覚めた。
つまり僕は、寝落ちかけたのだ。
「ゆうくん、横になった方が良いよ」
「でも、そんな所ドコにも無いよ」
僕は周囲を見てみるが、とても横になれる所が見当たらない。
なので、姉さんに、そんな風に言うと。
「えいっ」
「あっ!」
姉さんは、僕の頭に抱き付くと、僕を自分の方に引き倒した。
それから姉さんは、僕の頭を掴むと、自分の太股の上に置いた。
「ここで、寝て良いから」
そう言って、僕の頭に手を置いた。
頭の下に、柔らかな感触を感じ、鼻には、甘い匂いが漂ってきた。
僕はその感触をもっと感じたくて、頭を動かしてみた。
「うんん〜!」
僕が頭を動かすと、姉さんが身を捩らせた
「もお、ゆうくん、くすぐったいよぉ」
そう言って、頬を膨らませながら、僕を軽く睨んだ
「姉さんごめん」
そう言って、僕は姉さんに謝る。
だけど、スカートで滑りが良くなった分、姉さんの肌の滑らかさがよく感じられて、とても気持ち良かった。
「ダメだよ、お痛したら」
そう言って、僕の顔を覗き込むように見下ろしている。
しかし、その顔は、先ほどとは違い、慈愛に満ちた笑顔を見せていた。
「時間になったら、起こしてから」
そう言いいながら、僕の頭を撫でている。
姉さんの細くて柔らかい指が、僕の髪を通って行く。
「(スーーッ、スーーッ)」
姉さんの指が僕の髪を通る度に、姉さんの優しさが心に染みてくる。
「お姉ちゃん、気持ち良いよぉ・・・」
僕は、甘える様な声で、姉さんにそう言った。
こうして僕は、姉さんの甘い匂いに包まれながら、眠りに着いたのだった・・・。




