第2話 2人だけの朝食
僕の名前は、大橋 優、高校1年生で、入学したばかりだ。
姉さんの名前は、大橋 華穂、同じ高校の3年生である。
姉さんは、身内が言うのも変だけど、可愛い系の美人で、成績優秀で才色兼備な上、人当たりが良いので男女問わず人気があるのだ。
でも、少し天然なのが玉にキズだけど。
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僕はベッドから起き、学生服に着替え、それから一階に降りると、台所に向かう。
台所に入ると、テーブルには、2人分のトーストが皿に置かれており。
それに、空のカップも一緒に置いてある。
肝心の姉さんはと言うと、電気ケトルを持って、今まさにカップに注ごうとしていた所だ。
「今、コーヒーを入れるから、ちょっと待ってね」
姉さんはそう言うと、カップにインスタントコーヒーを入れ、それからお湯を注ぐ。
姉さんが注ぎ終えると、僕はテーブルに着き。
それと同時に、姉さんも椅子に座った。
いつも、二人だけで朝食を取っている。
しかも、朝だけでなく、夕方もそうである。
なぜなら、僕達の両親は、今、外国にいるのだから。
本来は、父親の海外赴任であるけど、その赴任先が夫婦同伴の行事などが多いのと、父親が生活能力がゼロである為。
その世話を兼ねて、母親も付いて行っているのである。
しかし、その赴任する地域は、教育と言う点では、日本並の教育を受けられない所らしいので。
僕等は、日本に残る事になった。
「はい、スティックシュガー」
「うん、ありがとう」
姉さんが、僕にスティックシュガーを2本渡してくれた。
ちなみに、姉さんは甘いのが好きなので、4本ほど入れている。
その時、姉さんの手が僕の手に触れた。
僕は、姉さんの手が、さっきより冷たいのに気付くと。
「姉さん、手が冷たくなっているよ」
「今の季節でも、まだ長く水に触れると、手が冷えるのよ」
もう、4月に入って大分経つのに、朝方はまだ寒い位だ。
姉さんがそう言ったので、僕は、何気なく姉さんの右手を握った。
「あ、ゆうくん」
「姉さん、温めるから、もう片手を出して」
僕がそう言うと、姉さんが、おずおずともう片手を出した。
それから、僕は出された、もう片手も握ると、冷えた手を暖める。
姉さんの小さくて柔らかなだけど、冷え切った手に体温を送り込んだ。
「・・・ゆうくん」
姉さんは、頬を少し赤くしながら、僕の顔を見詰めていた。
・・・
しばらくそうしていると、冷えた手が少し暖まった様だ。
「・・・ゆうくん、早く食べないと冷めてしまうよ」
黙っていた姉さんが、少し赤い頬のまま、僕にそう言った。
「あっ! 急いで食べなきゃ」
僕は姉さんの言葉に気付き、急いでトーストにパクついた。
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朝食を食べ終わると、僕は、2人分の食器を持って流しへと向かう。
姉さんの方は、僕の隣で、2人分の弁当の準備をしている。
姉さんの手が冷たかったのは、弁当のオカズを作ったりしたからだ。
そんな姉さんが、ふと僕の方を向いて。
「ゆうくん、右のほっぺに、ジャムが付いているよ」
「え、今、手が離せないないから、ちょっと取ってくれない」
ちょうど、食器を洗っている最中だったので、姉さんにお願いした。
「うん、今、取るからね」
そう言うと姉さんの顔が近づき。
「ペロッ」
僕の頬を舐めた。
「ほら、もう取れたよ」
そう言いながら、姉さんが微笑んだ。
姉さんに、ほっぺたを舐められた僕は、洗いかけの皿を持った状態で、固まってしまっていた。