第19話 一緒にショッピング
ああっ、ダメだ、ファッションセンスが皆無だ・・・orz
今日から、ゴールデンウイークだ。
本来なら、予定もほどんど無く、家でゴロゴロしているだろうと思っていたけど。
姉さんに押し切られ、一緒に出かける予定が出来てしまった。
と言う訳で、その第一弾として、一緒にショッピングモールで買い物する事になった。
電車に乗り、それからショッピングモール近くの駅で降り。
それから、歩いたショッピングモールへと向かった。
「ゆうくん、良い天気になって良かったね」
そう言って、姉さんが笑顔を見せながら、上機嫌で僕と腕を組んでいる。
いつも通り姉さんは、僕の左側で腕を組んでいるのだ。
ファッションセンスとボギャブラリティーが乏しいので、上手く言えないけど。
姉さんは、臙脂に黒のチェックのミニスカートと白のブラウス、それに赤いシューズに白の二ーソックス、デニムのジャケットを羽織ると言う出で立ちで
その格好を見たとき、僕は思わず、抱き締めたくなる衝動に駆られてしまった。
つまり、それぐらい、今日の姉さんは可愛い。
そんな姉さんと腕を組んで歩いていると、時折、周りからの視線をよく感じる。
多分、周りから見たら、カップルに見えるのかな?
姉さんは弟の僕が見ても、とても可愛い。
こんな娘が彼女なら、とてもラッキーな事のだろう。
でも、僕と姉さんは、下手な恋人以上に仲が良い。
だから、こうして一緒に居られるだけでも幸せだ。
これからも、仲がいい姉弟でいよう。
「ねえ、ゆうくん、どうしたの?」
「えっ!」
イキナリ、姉さんに声を掛けられた。
考え事をしている内に、僕は足が止まり、その場に立ち止まっていた。
「あ、ごめん、ごめん、考え事をしてた」
「変な、ゆうくん」
そう言って、姉さんがコロコロと笑った。
気を取り直した僕は、姉さんと一緒にショッピングモールへと向かった。
***************
「ねえ、ゆうくん、これどうかな〜」
ショッピングモールの中で、姉さんが声を弾ませていた。
僕達は、長いモールの中で、ウインドショッピングをしながら歩いてる。
姉さんは歩いている途中で、気に入った物を発見すると。
その場で足を止めて、ショーウインドに見入っていた。
しかし、それと同時に、何か発見するたびに、僕の腕を引っ張って来る。
「ちょっと、引っ張らないでよ〜」
僕は、姉さんに振り回され形になっているが、その事に不快感は無く。
むしろ、振り回されるのが自分だけだと言う事に、何となく優越心を感じていた。
そうして、姉さんに引っ張られている内に、ある店の前で足を止めた。
その店を見て、僕は硬直する。
「え〜、姉さんそこはダメだよ」
姉さんが足を止めた、その店は何と、”ランジェリーショップ”だった。
「大丈夫だよ、ゆうくん、カップルなんかも一緒に入っているから」
そう言いながら、姉さんは店の中に、嫌がる僕を引っ張って行った。
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「ねえ、姉さん、もう出ようよ・・・」
「ゆうくん、これなんかどうかな?」
そう言って、丸いハンガーに掛けられた、カラフルでヒラヒラした、小さな布地を僕に見せびらかした。
でも、僕は、それを見て、俯いてしまう。
そんな僕の反応を、猫の様な笑顔で、姉さんが見ている。
「じゃあ、これはどう?」
今度は、”ヒモの”ヤツを僕に見せる。
どう見ても、姉さんが付ける様に見えない。
明らかに、僕をからかうつもりで見せているのが分かる。
「〜〜〜〜」
それに気付くと、僕は唸りだした。
周囲から、生温かい笑い声が聞こえてくる。
周りから僕らを見ると、どう見ても、[弟をいぢめて遊ぶ、姉の図]にしか見えない。
その笑い声を聞いて、更に恥ずかしくなり。
「もお、姉さん、早く出ようよー!」
と、叫ぶが、しかし。
「ダメ、もう少し、選ばせてよ」
そう言って、動こうとはしない。
結局、僕は、カラフルでヒラヒラした布地に囲まれた状態で、死ぬほど恥ずかしい思いをしたのだった。




