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第13話 仲良く登校

 ある日の朝。


 僕は玄関先で姉さんを待っていた。


 姉さんは、身支度にまだ時間が懸かっている。



 「まだかな」



 さすがに待ち切れず、ボヤキ始めた頃。



 「ゆうくん、ごめんね」



 姉さんが、玄関から飛び出してきた。



 「ううん、いいよ」



 姉さんの顔を見ると、待たされていた事を表に出さず、姉さんにそう言う。



 「じゃっ、行こうか」



 そうすると、姉さんが、笑顔で僕にそう言った。


 僕は姉さんの笑顔を見ると、何だか嬉しくなって来る。


 それだけで、多少のワガママも、無茶ぶりも許してしまう。


 でも姉さんは、それに気付いている節があって、都合良く使う時があるんだよなあ。


 それでも、許してしまう僕は、姉さんに甘いのかな。



 「なにしてるの、ゆうくん。

ほら〜、早く行こうよ」



 一人で考え事をしている僕に、先に行っている姉さんが、呼び掛けている。



 「ごめん、ごめん」



 僕は、姉さんに謝りながら、姉さんの側に駆け出した。


 そうして、姉さんの側に行くと、二人で駅までの道を歩き出した。




 ***************




 駅へと歩いていると、お約束通りに、姉さんと手を繋ぎ出す。


 周りからみると、カップルの様に見えるが。

僕が”姉さん”と言うのと、二人の顔が似ているので、それで姉弟だと判る。


 しかし、今度はいい年をして仲が良い姉弟と言う事で、奇異の目で見られる。


 クラスでも、特に、異性の兄弟がいる人間がそんな事を言うし、それにそう言う人間は、余り相手を良い様には言わない。


 でも、そんなに世の中の姉弟、兄妹って仲が悪いのだろうか?


 僕には理解出来ないなあ。



 「どうしたの、ゆうくん?」



 僕が考え事をしていると、姉さんが声を掛けてきた。




 「あ、うん、姉さん。

ねえ、僕達って、変なのかな?」


 「どうして?」


 「クラスなんかで、異性の兄弟がいる人間が言うには、僕達は変だって」


 「あ、そう言えば、私も同じ事を言われた。

でも、ゆうくんみたいな弟なら、違うとも言われるね」


 「なんで?」

  

 「何でも、その娘達が言うには、ゆうくんは理想の弟だって。

優しくって、可愛くって、自分の言う事を素直に聞いてくれるけど。

イザと言う時には、頼りになるって」


 「何だか、僕って犬みたいだな・・・」


 「うん、ゆうくんの事、大型犬みたいな弟だって。

グレートピレニーズとか、ゴールデンレトリバーなんかの」




 その時僕は、時折、公園なんかで見かける、大型犬を散歩させている女性を思い浮かべたが。

僕は、他人から見たら、そんな風に見えるのだろうか・・・。




 「でも、そんなのどうでもいいよ、姉弟が仲が良くて何が悪いの?

他人(ひと)の事なんか関係無いよ、私達は、私達だからね」 


 「うん、そうだね」




 姉さんの言葉に、僕は(うなず)いた



 「あ、だけど、ゆうくんが私の弟でラッキーだったかな」



 そう言いながら、姉さんが笑顔になった。



 「うん、僕も姉さんが、僕の姉でラッキーだよ」



 こんな、穏やかで、優しいけど、時々僕に甘えてくる。

笑顔が可愛い姉さんが、僕の姉である事が、とても幸運に思える。


 そんな事を考えると、僕の頬が自然に緩んだ。


 二人は笑顔になると、手を繋いだまま、駅への道を歩いて行った。



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