第12話 ベッドの中で
今、僕はベッドの中にいる。
そして、僕の右隣には、姉さんが寝ている。
姉さんは僕の脇で、抱き付きながら、僕の肩に頭を置いているのだ。
姉とは言え、年頃の女の子と一緒にベッドの中にいるので、その事に意識が行きそうになるが。
できる限り、その事は意識から外そうと努力していた。
「あ〜、暖かい」
冷たい足を、僕の足にくっ付けながら、姉さんがそう言った。
「ゆうくんの体は、暖かくて気持ち良いな〜」
姉さんは、いたく満足した様子だ。
・・・
「ねえ、ゆうくん、ギュってしてちょうだい」
しばらくして、姉さんがそう言ったので、僕は姉さんの後ろに廻した右腕に、力を入れた。
力を入れると、姉さんの体の柔らかさが、より感じられる。
そうすると、また変な方向に意識が行きがちになるが、その事は考えない様にした。
そうしている内に、次に姉さんが。
「ゆうくん、今度は頭を撫でてちょうだい」
そう言って、頭を僕の胸の方に移動させると、姉さんが愛撫を要求してきた。
その声に応えて、僕は姉さんの頭を撫でてやる。
「ゆうくん、気持ち良い・・・」
姉さんがそう言いながら、僕の胸に顔を擦り付けた。
その様子は、まるで飼い主に甘える猫の様だ。
それと同時に、僕に腕をもっと廻すと、右足に絡めた足に力を込める。
でも僕は、姉さんを撫でる手を止めずに、撫で続けた。
・・・
「すう、すう」
姉さんを撫でている内に、いつの間にか姉さんが眠ってしまっていた。
「ねえさん、おやすみ」
眠っている姉さんに、そう言って、僕も眠りに付いた。
***************
私は今、ゆうくんに腕枕をして貰いながら、一緒に寝ている。
ゆうくんの大きくて、暖かい体に密着して、足を温めていると。
「あ〜、暖かい」
余りの気持ち良さに、思わず声が出た。
「ゆうくんの体は、暖かくて気持ち良いな〜」
声が出たついでに、ゆうくんにそんな事を言った。
・・・
「ねえ、ゆうくん、ギュってしてちょうだい」
しばらく、ゆうくんにくっ付いていると。
私は、ゆうくんに甘えたくなり、ゆうくんにそう言ってみる。
そうすると、ゆうくんは後ろに廻した腕に力を入れ、私を抱き寄せた。
それと共に、私の体はゆうくんと更に密着した。
私のワガママに応えてくれる、優しいゆうくんに、もっと甘えたくなり、今度は。
「ゆうくん、今度は頭を撫でてちょうだい」
頭をゆうくんの胸の方に移動させると、ゆうくんに愛撫をねだってみる。
それに応えて、ゆうくんは私の頭を撫でてくれた。
「ゆうくん、気持ち良い・・・」
ゆうくんの与えてくれる気持ち良さに、私は自然に、ゆうくんの胸に顔を擦り付けた。
それと同時に、私はゆうくんにもっと抱き付くと、右足に絡めた足に力を込める。
ゆうくんは、なおも私の頭を撫で続けていた。
その手は、まるでゆうくんの心の様に、優しく、私を気遣いながら撫でている。
・・・
ゆうくんに撫でられている内に、私はゆうくんが与えてくれる、安らぎの中でいつも間にか眠りに付いていたのだった・・・。




