最終話 手をつなぎながら
今回で、この物語が最後になります。
あれから時は流れた。
由衣先輩と蓮先輩とは、あれからも登下校や昼食時に一緒にいるが、表面上は以前と変わらずである。
しかし、その内心はどうかは、また別であるが。
だが少なくとも、パッと見た目では、そんな事があったとは思えない様な感じではある。
それから、透也のヤツは相変わらずであり、今度は何と、由衣先輩を狙っている様である。
以前の先輩だと、透也も持て余しただろうけど、変わった先輩は、人付き合いが良くなった。
それどころか、ユーモアセンスさえ感じられる様になったので、これなら、透也もどうにか出来ると判断したのだろう。
けれど、いくら透也が近寄っても、先輩に全く相手にされない。
まあ、無駄な努力だろうが、頑張ってくれたまえ。
・・・
後、瑞希先輩の推薦入試だが、結果は無事合格していた。
しかし、その試験内容を聞いてみると、実際に会場で実技を行う、一芸入試的な物のようで。
それで先輩が、得意の空手を会場で演舞をした所、空手の全国チャンピオンになった経歴に血迷ったのか。
試験官の一人が飛び入りで、自由組手をすることになり、何と、その試験官をノックアウトしてしまうと言う、珍事を起こしたのだ。
それで、一時は不合格も考えたのだけど、しかし返って、試験官の印象に残ったのか、無事合格していた。
・・・
それと、その後すぐに行われた期末試験は、先輩との事で気を取られた所為で。
点数がボロボロの結果になり、辛うじて、補講を受けずに済んだ位であった(涙)
姉さんの同様であったが、元々から成績が良かったし、それに、もう推薦で合格していたので、余り、影響が無かったのである。
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今日は、クリスマスイブである。
これから、二人は、繁華街に出て、イルミネーションを見に来た。
家で大人しく、二人だけでイブを過ごそうと思っていたけど。
姉さんがどこかで、繁華街のイルミネーションが綺麗だというのを聞いたのか、見に行きたいと僕にねだってきた。
「しょうがないなあ」
姉さんのおねだりに弱い僕は、姉さんの言う通りに、繁華街に出たのである。
・・・
「ほら〜、ゆうくん、きて〜」
こうして繁華街に出たけど、僕は姉さんに引っ張り回されていた。
二人とも、厚手のコートを着て、ニットキャップとマフラー、手袋をしていたけど、それでも寒い。
そんな寒さの中、姉さんはまるで雪が降った後の犬の様に、元気一杯で僕を引っ張って行った。
姉さんに引っ張られて、ある広場に出ると。
「(はあ〜)」
綺麗に飾り付けされた、モミの木の前に出た。
「話しには聞いてけど、予想以上に綺麗だね」
手を握ったまま、僕の隣で、姉さんがそう言った。
「姉さん、知ってたの?」
「うん、だから、ここに来ようと言ったの♪」
確かに、言われれば、凄く幻想的な光景である。
二人は、しばらく、その光景を眺めていた。
・・・
「ねえ、ゆうくん・・・」
そうして、二人でモミの木を眺めていたら、姉さんがそう言いながら、手袋の上から繋いだ手を握り締めた。
「私達、いつまでも、ずっと一緒だよね・・・」
続けて、姉さんはそんな事を言う。
「うん、僕と姉さんは、いつまでも一緒だよ」
僕は、握り返しながら、姉さんにそう言った。
それは幼い頃、姉さんと誓った事だけど、それを先日、改めて確認したのだった。
”ゆうくん、いつまでも一緒に居ようね”
“うん、ずっと一緒だよ”
それは、その時は軽い気持ちだったのかもしれないけど。
それがいつの間にか、永遠の誓いになっていた。
これから、二人は、いつまでも手を繋いで歩いて行くだろう。
そんな事を思いながら、いつまでも手を繋いでいたのであった。
手をつなぎながら 終わり
今まで、ご覧になられた皆様へ。
この様な、チラシの裏を見ていただき、本当にありがとうございますm(__)m
内容に付いて、色々と、不満があるかもしれませんが、一応、最後までエタらずに、話を終了させる事が出来ました。
これも応援していただいた、皆様のおかげです。
それでは、皆様の健康とご発展を祈りまして、この物話を終了とします。




