彼女の散歩は余計なものが多すぎる
帰りの会が終わり、下校時間になった。
私は、急いでランドセルを背負って
親友のみっちゃんにあいさつをする。
「みっちゃん!さようなら!」
「はーい、バイバイー」
ニコニコと手を振るみっちゃんはすごく可愛い
肩までの髪はふわふわとしていて
そのおっとりとした雰囲気に小さな背は
うちの小学校で飼育している白兎によく似ている。
私達は、週に一回、月曜日は別々に下校することにしている。
みっちゃんがピアノ教室に通っていて
月曜日がちょうどその日だというのもあるが
一番の理由は私のお散歩デーだからだ。
その日はひたすら歩く、昔、父が
「歩くことは大切だ!普段から歩いてないとあれだぞ!なんだっけ!あれだからな!大変なことになるんだぞ!」
と言っていたので忠実に守っている。
どんなことになるのか聞いてみたい気もしたが
母が半笑いで
「あなた、言ってることはあってるんだけど、色々ふわふわしすぎだわ」
と言っていたのでなんとなく聞いていない
よくわからないがまぁ、ようは
歩かないとふわふわして大変らしい。
私のお散歩コースはその時の気分によって変わる
今日は家の近くの公園だ
ランドセルは既に家へ置いてきたし、
お気に入りのひよこのバックと水筒をもち
準備は万端だ
とりあえず散歩なのでのんびり歩く。
今の季節は秋なので風が涼しい
いつもなら、近所の子達が走り回っているはずの
公園に高校生くらいの学ランを着たお兄さんが三人
向かいあっていた
金髪のお兄さんに茶髪のお兄さんがなにか
叫んでいる。
今日……決着を……絶対に……ねぇ!
???
うまく聞き取れない
もう一人の黒髪のお兄さんは金髪のお兄さんの
少し後ろで興味無さそうにしてきいている。
想像力を働かせて考えるんですよ
とは担任の先生が帰りの会で言っていた言葉だ。
とりあえず想像してみる……
………
今日は決着をつけてやるんだからぁ☆
絶対に勝っちゃうんだからねぇ!
…………なんの勝負だろうか?
三人………じゃんけん?
多分そうだろう。金髪のお兄さんはずっと
拳をグーにして前につきだす運動をして
必死にアピールしている。対して二人は………
!!!!
あんなに必死にじゃんけんアピールする人を
無視して避けてる!?
人の心はないんだろうか……言葉が通じていない?金髪のお兄さんは目も青いもんな……
黒髪のお兄さんは……心がない…心………………
……………人造人間?………
我慢できなくて話しかけてみる
「お兄さん達!かわいそうですよ!」
金「ぁあ?」黒「ん?」茶「はぁっ?」
「茶髪のお兄さん!人造人間と外国人は放って
おきましょう!!代わりに私が相手をしてあげます!!」
「こいつ誰だ?外国人って俺のことか?」
「え~じゃあ人造人間はオレ!?」
「なんだこのガキは!?邪魔すんじゃねぇ!!!」
茶髪のお兄さん……………
そんなにこの人たちと…………うぅっ……
「無視されても、向かって行く。闘いたいのに無視される。それでもあなたについていくっ!!
…………っ!ぴ〇みんですかっ!!!!」
うわーん
なんかもう極まってしまった
三人とも引いているが関係ない
茶髪いやぴくみ〇!強く生きて!
「やっぱり闘ってあげてー!」
「だから誰だよ!?お、オレら帰るわ
じゃあなっ!!!」
「このガキをおいてくなー!!」
「あっ!ちょっと!?茶髪のお兄さん逃がしませんよ!二人もまた明日この公園に来てくださいよーーー!!!来なかったら迎えにいきますからねーーーーー!!!!」
叫んでる間に逃げようとする茶髪のお兄さん
をがっつりしがみついておく
「離れろ!」
「いや!このままだとずっと相手にしてもらえませんよ!!!!」
ピタッ
暴れていたお兄さんが動きをとめる
「あの二人に勝つんでしょう?そのためには
作戦を練らないと!」
「…………………どうやって?」
おっ!食いついた!
でも、どうしようか!なんも考えてない!
とりあえずそれっぽい事を言っておこう。
「ごほん!え~あの~そう!闘いはいつも力ではありません!じゃんけんは心理戦あの二人に足りない要素を鍛えるんです!」
「ん?じゃんけん?なんで?」
「え?じゃんけんで勝ちたいんですよね」
「俺が勝ちたいのは喧嘩なんだが……」
………………………………?
「いや、そんなきょとんとした顔されても……」
勘違い?………喧嘩の必勝法も知りませんよ
ちょっと恥ずかしい。
でも、こういう空気の乗り切りかたは知って
いる。
ごり押しだ!!!!!!!
「真剣勝負に種目なんて関係ないですよ!
さぁ!二人に足りない要素を考えますよ!
あっ!喉乾きませんか!?水筒もってるんですよ!」
「必死すぎる…」
うるさい
「はい!どうぞ!」
「いや、別にいらな」「はい!」
お兄さんは諦めたのか私の水筒に口をつけた
「ごふっ!!!!!!!」
げほっ!かはっ!!!
「お前!これ何はいってんだよ!?」
「なめこ汁」
「なんで!?」
母が今日の水筒は秋を感じられる感じに
してみたといってました。
秋の味覚ってやつですね。分かります。
「とにかく人は自分が持ってない要素を
持つ人とは闘いにくいらしいですよ!それを
いかすんです!!!!!」
「なんか、急にそれっぽく聞こえてきた……
なめこ汁にやられたのかな………」
「まず!人造人間さん!なんといっても人造人間ですからね!!心がありません!貸してあげますから
道徳の教科書を持っていきましょう!!
次!外国人さん!………えっとあのその…
日本っぽいもの………そう!着物です!」
いいですかー!!!!!
絶対ですよーーーーー!!!!
約束ですからねーーーーー!!!!
「あっ!おい!?」
に、逃げてなんかないんだからね!?
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翌日
私達は約束の場所に来ていた……
二人と一人が向かいあっている
二人とも凄く顔がひきつっているが分かる
その気持ち凄く分かる
見た目のパンチが強すぎだ!!
高校生の着物を着たお兄さんが真剣な顔をして
小学生ようの道徳の教科書を構える姿………
自分でいっておいてなんだがお兄さん
鏡ちゃんとみただろうか…………
今さら変だとも言えない。こうなったら
お兄さんには勝手もらうしかない!!!!
「お兄さん敵は怯んでますよ!!今です!」
「おう!!!」
うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!
分かってたんだ本当は……こんなんで勝てる
訳がないってことは…………
でも………
ドスッ
ごめんね………
「お兄さぁぁぁぁぁんーーー!!!」
いや、本当ごめん。




