7話 山
白さんに頼まれたのはいいけど、いくらなんでもこの量は多すぎる。
この紙に印鑑を押すだけでとても評価してくれるとは思わない。警察の仕事ってもっとこう・・・、基礎的な体術とか一般的な試験とかやるものだと思ってたけど、まさか警察の手伝いだけで就職できるとは思わなかった。 黄泉の世界の事は分からないな。
「まぁ、俺は命令されたことをやるだけだけど。」
とりあいず紙をまとめて空いてる場所に置き、またまとめては空いてる場所に置く。その作業が淡々に続けて1時間ちょっと経った頃、ようやく半分の書類をまとめることができた!それでもまだ半分ある上に、その後は印鑑を押さないといけない。
「まだ、半分くらいしかまとめてないのか・・・。」
さすがに疲れてきたので、少し一休み。
たまたま床に落ちていた書類を手にとって見ると、こう書かれていた。
『特売品!本日限りのお豆腐、90TG!お見逃しないように!』
「ただのチラシじゃねぇか!!」
まったく、大事な書類と一緒にチラシを混ぜるなよ。
警察の人たちも結構適当なんだな・・・、だから信用ができないとかそーいう声が上がって来るんだぞ。しっかりしろ、正義のヒーロー。
「まさか・・・な?」
一応、まとめていた書類を確認してみた。
俺がそんなミスをしてるとは思わないけど・・・、大丈夫だよな・・?
チラシと書類じゃ見分けもつくし、アホでも分かる。
『授業参観のご案内』
『アンケートにご協力お願いします!』
『○○○の電話番号先はこちら。』
まとめた書類はほとんど、ムダに文字を使ったチラシ。
よく見ずにまとめた俺も悪いが・・、間際らしいものをココにおくなよ。
1時間ムダにした、相当のタイムロスだよ、まったく。
「あれ、手書きの紙が・・・・?」
山積みになった書類?の中から明らかに手書きの紙が置いてあった。
書かれていたことは以下の通り。
『ヤッホー、仁さん、引っかかった?』
やってくれた、あの小娘。
やっていい事とやっちゃダメなことはあるだろうよ。
つまり、ここにあるのは全部ダミーの書類。
最初からこの仕事は無意味だったのだ、つまり掃除してただけ。
畜生、あとで絶対仕返ししてやる。このままじゃ済まさないぞ!やるからには10倍返しだ!さてどーいう仕返しをするかな・・・。と、考えていたらドアの開く音が。
「おー、キレイになってますねぇ。」
今頃どんな顔してるだろうって見に来たな、あの小娘!
こっちに連れてこさせて、正座をさせて説教2時間の刑だな。
まぁ、それだけじゃ済まさないけどな!
「ちょっとこっち来いぃ!!」
「え、ちょっと!やめてください!!」
チラシの山であんま見えなかったけど、まったくの別人だった。
でも時すでに遅し、手を引っ張ってチラシの山に突っ込ませてしまった。
その人はすでに泣いており、怯えるような声で俺にこう言い放った。
「警察呼びますよ!」
ココ、警察ですよ。