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2話 イザナギ説明会

この世界はどこか幻想的なものがある。

地では車らしきものが走っていて、空には翼をつけた人間が空を飛んでいる。どうやって飛んでいるかは知らないが、とても幻想的でついつい上を向いて歩いてしまう。

大きな建物ばかりで、一軒家がここら辺では見えたらない。



「おい、どこ見て歩いてんだ!気をつけろ!」


「あ、すいません・・。」



上を向いて歩いたり、周りをキョロキョロしていたら人にぶつかってしまった。「あの人も死んでるんだよな?」頭で思ってことが口から出てしまった・・・、これは恥かしい。

そういえば結構死んでる人が多いんだな、前にはゾロゾロ歩いてる人がいる。

みんなどういう死に方をしたんだろうか?



「イザナギ様の説明を受ける方々ー!こちらへお進みくださーい!!」



お、もうすぐ着くのか!果たしてイザナギ様とはどういう姿をしているんだろうか?期待で胸がいっぱいだ。だって神様に会えるのだから!



「説明会に来た方ですね?職業申請書をご提出願います。」


「あ、はい。」



ハローワークでもらったヤツだよな?これを提出すればいいんだな。

あぁー・・・やっと会えるのかイザナギ様に。緊張で何かが爆発しそうだ。

オレは建物に入っていき、ぐんぐん進むと椅子とテーブルがキレイ並べられたすごく広い会場に来た。この会場だけでも10万人くらい入れそうだ・・・。



「どんどん、前につめてください!」


「前に詰めたら、空いてる席にどんどん入ってくださーい!」


「前の人を押さないでください!」


「お静かにお入りください!」



会場の人間は必死に注意をしているが、守らないヤツは守らない。人といると調子に乗るヤツばかりが集まってるのか?静かにはならないが、席には順々着いている。

オレもやっと席につけた・・・、これで少しは落ち着けるな。



「お静かに願います!」


「お手元の説明の書を見てもうしばらくお待ちください!」



ずいぶん、分厚いな・・。

覚えることが結構ありそうだな・・・オレはそう思いながら、ページをパラパラめくった。気になる部分は少し時間をかけて、別にそうではない場所は時間をかけない。

それにしてもガヤガヤうるさいな、もう少し静かにしろよ!

・・・とその時であった。



「バカ共!、黙ること知らんのか!!」



一人の男の一喝で一瞬ここにいる全員が黙った。

しかし、その沈黙は長くは続かないもので若い男がケンカ腰で男に言い返した。



「誰がバカだ、誰に言ってんだ!おい!」


「自分がバカってことに自覚があって言ってるのなら貴様に言っている。」


「ふざけんな、おい!」



会場はガヤガヤし始めた、中には止めてる人もいたがそれはムダな行為だった。

みんなこの状況を楽しんでる、周りを見ると若い連中ばかりだ。たぶんこいつらは自分でバカやって勝手に死んだんだろう・・・、オレくらいの年の人はあまりいないな。



「表でろ!!」


「粋がるなクソガキ、若くしてここに来るなんて実にバカだな。」


「てめぇ!!」



若い男はついに頭に血が上って切れたのか暴力を振るおうとしていた。

だが男のほうは冷静沈着で相手をただ黙って威圧しているだけだった。するとどうだろう、若い男は威圧に負けたのか殴ろうとするのをやめた、怖気ついたのか若い男は固まっている。




「早く席につけ、説明会を開く。」



若い男は男の指示に黙ってしたがって席についた。

周りも一気に静かになり、誰も喋ろうとはしなかった・・・、なんという風格・・!この人一体だれなんだろうか?男はマイクを使わずに地声でこの会場に届くような声で喋り始めた。




「これより説明会を開く、この会の司会をするイザナギだ。」




この男がイザナギ様?

何処にでもいるような人だぞ?オレと想像していたのとだいぶ違う・・・。

真っ黒のスーツに少し青いワイシャツ、ネクタイは黒色。スーツがとてもよく似合う普通の男の人だ・・・、なにかの間違えなのか?



「そろいも揃って疑うような目でみるな、オレは正真正銘のイザナギだ、まぁ・・・12代目イザナギだがな・・・誰にでも引退はある、オレはそのあと継ぎだ。」




世代交代・・・神様にも世代交代があるのか・・・。

正直驚いた・・・ならオレもイザナギになれるのか?頑張って努力すれば神の地位が約束されるのか?でもどうやって?普通の努力じゃダメなはずだ・・。




「今、オレでもなれるんじゃないかと考えた連中に一言言っておく。お前らではムリだ、諦めろ。こんな若いうちで死んでるようなお前らなんかに神の地位なんかだれが譲るんだ。」



「・・・・・。」




全員、無言だった。

まさに正論、そんな若いうちに死んでるうちじゃ信用なんかされやしない。

イザナギ様はさらに言葉を続けた。




「一人のバカ、そしてお前らの態度で今日は説明する気は失せた、仕事についてとこれから住んでもらうマンションの説明だけ聞いてお前らここからすぐに出て行け。」




イザナギ様は完全にやる気をなくしていた。

こっちは説明してもらわないといけないのに・・・、しょうがないから説明書を今日一日見て黄泉の世界のルールについてを自分で理解しよう・・・。




「マンションについては1ヶ月、40000TG。カギと地図はそれぞれ机に置いてある。仕事については今日から働きにでろ、仕事関係の説明はその職場についたら行う。職場はそれぞれ説明書をみて場所を確認してから行け、あとは説明書を見て勝手に覚えろ、以上解散。」



イザナギ様はハキハキ喋って終えて、この会場からすぐに姿を消した。

ホントにおしいことをしたというか・・・ついてないな・・・。




「・・・えー・・・、本日の説明のご予定は以上となります、各自説明書をみて黄泉の世界についてのルールをしっかり覚えてください、次回の説明会は1ヵ月後です。」




かくして説明会は幕を下ろした・・・・。

出だしは最悪、オレはうまくやっていけるのだろうか?







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