第四話 金髪縦ロール大剣少女の可愛いは正義
私は前回、ダンジョンを破壊してしまい
ギルドからはこっぴどく怒られてしまいました。
当然赤字。
鍛冶屋のおっちゃんに慰められながら
毎日乾パンを食べる生活をして過ごしていたのですが……
ある日、突然ギルドから呼び出しがかかったのです。
「あの……今日は何のご用でしょうか?」
私が恐る恐る尋ねると、いつもとは違うギルドのお姉さんが解説する。
「前回のサイクロプス、および前々回のゴーレム討伐の
功績が上層部で認められました。
よってギルドより貴方に特別依頼が出ております」
そういうと、細長いメガネをかけたギルドのお姉さんは
メガネをくいっと直してから私にその特別依頼について
記載された書面を見せる。
報酬は……これはすごい。成功させれば弾の心配はしなくていい!
加えて今回は遺跡の保全に関して
多少の損壊は査定に響かないと但し書きがあった。
「どうなさいますか?
受理されるのであれば……」
「受けます! ぜひやらせてください!」
私は喜んで依頼を受けることにした。
しかし周囲はざわついていた……
「おい、あの特別依頼って……」
「間違いない、例の禁止区域の古代遺跡に違いない」
「やばいだろ……死ぬんじゃないのか?」
でもその時の私は、目先のお金に目がくらんで
周りの声など一切気に留めていないのでした。
私は急いで支度をして、その日のうちに出立しました。
弾丸は全てマックスまで搭載、予備弾薬も大量に持ち込みました。
そしてやってきた古代遺跡。
私は意気揚々と中に入ろうとしたところ、私の前に
変わった人影がありました。
ガギギギギギギギ……。
私と同じような背丈に、金髪縦ロールの髪の毛。
そしてそれに全く不釣り合いの2mはあろうかという大剣。
その大剣は幅広で、あまりにその少女には似つかわしくないデカさ。
おそらく背負う事もできないため、彼女はその大剣を
手に持ったまま、地面に引きずって遺跡内部に入っていきました。
「あんなにでかい剣でも振り回せるのでしょうか……」
私はふと思ったことを口にしつつ、後を追うように
遺跡の内部に入っていきました。
特別依頼、と書かれたその紙には危険度ランクAと書かれており
おそらくとても危険なのだろうと身構えていたのですが
思っていたのと裏腹に、その遺跡はあまり危険なモンスターが
うろついている様子もなく、古代の不思議な文様やギミックなどに
私は感心しながらどんどん歩みを進めていました。
ふと気がつくと、突然、血液が飛び散った場所に遭遇しました。
私はつい反射的にバックパックを起動しようとしましたが
その光景を眺めて、動きを止めました。
ゴブリンが3体、例外無く、一太刀で両断されていました。
さっきの人がやったのだろうか……?
しかし人影もない。
私はそのまま奥へと歩みを進めると……
ヴァン!ヴァン!ヴァン!
とてつもなく、重い、けど凄まじく早く打撃するような金属音が鳴り響く。
私は咄嗟に走り出していました。
音の元にたどり着くと、先程の大剣少女が
謎の巨大な体が岩でできた、全身を金属で覆った古代騎士と
剣戟を繰り返していました!
身長3mはあろうかという古代騎士が少女と同じか
それ以上に長い細剣を尋常ならざるスピードで振り回す中
少女はそれをあの巨大な大剣で驚異的なスピードで振り回し
技量では押し負けず、むしろ力では剣を弾き返すほどの動きを
魅せていた。
3mの巨体と、小柄な金髪少女が火花を散らす。
傍から見れば、どう考えても少女が不利な体格差だった。
「ハハハ! てめぇやるじゃねぇか! たのしくてたまんねぇなぁ!」
悦んでいる?!
あの3mの怪物相手に、笑っている……?
私は理解が追いつく前に背中のバックパックのスイッチを押し
フルアーマーウェポンシステムを起動した。
その時だった。
「おい、お前さっき、入口で俺のこと見てたやつだな。
愉しんでるんだから、邪魔すんじゃねぇぞ!」
実際彼女の顔は狂気的で、口元は笑みで歪んでいた。
私は悩みました。
たしかに楽しそうだけど、苦しそうだ。
彼女の勢いは凄まじかったけれども
徐々に剣戟に精彩を欠くようになったように見える。
押し返すように叩き付けていた大剣は逆に押し返されるようになる。
次第に防戦一方になり、彼女はだんだん細剣によって
体が切りつけられ始めた。
フルプレートを装備しているため
鎧が削られるだけにとどまっているが
このままでは負けるのが見えていた。
私は30cmキャノンの砲弾を徹甲弾にセットする。
「や、やめてください……」
細剣が振り上げられる。
私の目が、すっと冷えた。
「……調子に乗るなよ」
彼女の大剣が弾け飛ばされる!
細剣が突き立てられるその瞬間、私は吠えた!
「鎧ごと砕け散りやがれぇぇえええええ!!!」
轟音。
3mの古代騎士が、小柄な私の砲撃で吹き飛ばされ
轟音とともに古代騎士は砕け散った――
が、砕けた鎧の中心で、赤い核が明滅する。
「チッ、核か!」
ブリジットが踏み込む。
私は即座に照準を修正する。
「消えろ」
核が、消滅した。
私は、緊張の糸がほどけると、ため息をついた。
ガギギギギギ。
バコッ!
私は突然頭を叩かれた。
それは大剣少女の拳だった。
「なんで邪魔しやがった」
「え、だ、だってあのままじゃ」
「あのままじゃなんだよ」
「あなた、きっと死んでました」
「……」
妙な沈黙が流れました。
「お前、名前は?」
「こ、ココアです」
「そうか、俺の名前はブリジット。
さっきは助かった、殴ったのは悪かった。ありがとう」
そう言うと彼女は手を伸ばしてきた。
私はその手を掴むと握手を交わした。
「しかしお前のそのバカでかい武器、なかなかいいな」
「え、えっと……あの……壊しすぎてませんでしたか……?」
「ははっ、今さらかよ」
「ブリジットさんこそ、その大剣裁き、すごかったです」
こうしてでかい武器使い同士の親交を深めたのでした。




