第二十五話 重課金重税少女ココアは苦しい
「くっ……今年もこの時期が来たか」
ため息を付くおやっさんを尻目に私は今日も
楽しく銃器を整備していました。
「お前さんもそんなのほほんとしてて大丈夫なのか?」
「さっきから何を言ってるんですか?」
私は鼻歌交じりに30cmキャノンを磨いていました。
「税金だよ税金! ちゃんと用意できてるんだろうな?」
「ぜいきん? なにそれ食べれるの?」
するとガチャリとドアが開き
そこには黒いスーツを着た男性がひとり立っていた。
親父さんはそれを見るや、小袋を差し出す。
スーツの男は袋の中を開けて金貨が数枚入ってるのを確認すると
「納税、ご苦労さまです」
といってこちらに歩いてきた。
「ココアさんですね?」
「はい、そうですけど……」
「今年度の税金を支払っていただきたく」
「あの、税金ってなんですか?」
静かな沈黙が部屋を貫いた。
いやだって税金ってなに?!
「冒険者ですので、主に所得税と
ダンジョン利用税とギルド利用税となります」
「え、だってダンジョンとか、
ギルドとかインフラじゃないんですか?!」
「ええそうです、皆様からの税金で成り立っております」
ニッコリとした笑顔で無慈悲なことを言われた。
ただでさえ最近フルアーマーウェポンシステムを魔改造したせいで
お金は殆ど残っていない。
「えっと……結局いくらぐらいなんですか?」
「そうですね、ココアさんの場合は……こんなところでしょうか」
そういいながら、彼はそろばんを取り出すと素早く弾く。
「そろばん、読めないんですが」
「金貨15枚ほどですね」
「15枚?! ぼったくりです!!!」
そういうと彼は困った表情をしつつも言いました。
「ココアさんの場合、まだ初年度なのでやすい方です。
来年度からは住民税も発生しますので更に1金ほど増えます」
「そんなに持っていかれたら生活できないです!」
「そう言われましても規則は規則なので……」
うぐ……私は泣きそうな目になりつつ
懐にある財布をそっと開ける。
そこにはちょうど金貨が15枚分。
私は泣きそうになりながら男性を見つめた。
「そんな顔をされても私としてもこれは仕事なので……
個人的に免除してあげることもできません」
私はその財布から全ての金貨を彼に手渡しました。
一枚ずつ、彼は何度も確認したうえで言いました。
「はい、確かに15枚預からせていただきます。
僭越ながら一言だけ……」
「なんでしょうか?」
「ココアさんの場合、高額な依頼をお受けになることが
多いでしょうから、今後は余分に
貯蓄しておくことをおすすめします。
所得が増えるほど、税金も増えますので……」
そういうと、彼は頭を下げて、鍛冶屋を立ち去っていった。
わたしはおっちゃんの顔を見て泣きながら言った。
「あんまりにもひどいですぅ~~~」
「そうはいってもな、こればっかりはどうしようもない。
俺だってできれば払いたくないよ税金なんて」
「……いっそのこと、
税務署ごと焼き払ってしまいましょうか」
「まぁ妄想するだけなら一向にかまわんが……」
「うわーん! せっかくやっと貯金ができたと思ったのに」
どんなに稼いでも稼いでもお金が溜まらない!
私は再び乾パンで毎日を凌ぐことになることに悲しんでいました。




