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第二十三話 マッド・サイエンティスト

という訳で言われるがままに私は

手配書に書かれた人物の元に向かうことにしました。


「おまえさー、何でもかんでも適当に請け負いすぎだろ?」


大剣を引きずりながらブリジットちゃんは言います。


「そうはいいましても、他に手に入れる方法もありませんから」

「じゃあさ、そこにお前ジェノスって書かれてたらどうするんだよ」

「まぁ……それはとても困りますけど」


手配書にはでかでかと生死問わずと書かれています。

一体何をこの人はしでかしたんでしょうか?


「MS、頭のイカれた奴だよ」

「MS?」

「マッドサイエンティストの略、本名は……しらん」

「何をしたんですか?」

「核実験をしようとして盗賊ギルドにプルトなんたら?

 とかいう貴重ななにかを盗ませて、

 依頼費用を踏み倒したらしい」


この世界には核兵器まであるんですか……。

流石に私でもそれを作ろうとは考えていませんでした。


「ああ、そう言えばお前もどちらかと言うとそっち側だったな」


ブリジットちゃんはヘラヘラ笑いながら私のことを見ました。

失礼ですね、いくらなんでも流石に核ミサイルは作りませんよ!


「で、なんでわざわざ私にこんな依頼が舞い込んでくるんでしょうか」

「それは百聞は一見に如かずってやつだ。

 ほらこの先が奴の家だよ」


そこには一見吹けば飛んでしまうような

ちょっと大きな家が立っているだけでした。


「痛い目にあわせてやれとはいわれたものの

 どうしたらいいんでしょうかね?」

「お前まじで考えなしだな……」

「そ、そんなことないですよ。

 今日はカチコミといえばこれというアイテムを持ってきました」


私はそう言うとちょっとだけ

奮発して作ったロケットランチャーを取り出しました。


「カチコミにロケランってお前いくらなんでもやりすぎだろ!」

「でもたまたま読んだ漫画にはこれが効果的だと書かれていました!」

「どんな漫画だよ! とりあえずそれは仕舞え!」


私はせっかく準備したのにしょんぼりしてそれを仕舞いました。


んー、とりあえず銃弾でも撃ち込んでおけば良いのでしょうか。

私が何気なくアサルトライフルを構えたその時でした。


パツンッ!


何かが私のアサルトライフルを弾き飛ばしました。

私は咄嗟に後退し、周囲を確認しました。


「ブリジットちゃん大丈夫ですか!?」

「ああ、なんとかな」

「一体何が……」

「さっきの家、眺めてみりゃわかる」


さっきの一見ただの家に見えたその姿は大きく変貌を遂げていました。

無骨に飛び出たガトリング砲が10門ほど、

こちらに照準を合わせていました。


そのとき、家の中からスピーカーで甲高い声が響き渡りました。


『ほほう、ここのところ、私を襲いに来る愚かな連中は

 皆諦めたと思っておったがまだおったか』


銃器改造スキル……ほとんど取る人が少ないスキルなのですが

この人も数少ない取得者の一人のようです。


「お前といい、あいつといい、銃器スキル取ってるやつは

 ろくな奴がいないな!」

「余計なお世話です!」


『ほう、今回のお客はガンナーか、

 珍しいな。どれどれどんな武装を……?!』


甲高い声が急に途絶えた。

何が起きているんだろうと思うと、家の玄関から

1人の老人が飛び出てきた。


その老人は一直線にこっちに走って向かってくる!

ちょっと怖くなったけどそう思ったときには既に目の前に老人はいた。


「お主、名はなんという!」

「は、はい、ココアです……」


そういうとこのおじいちゃんは

私の武装を一つ一つしげしげと眺めて言った。


「素晴らしい、これを1人で作り上げたのか?」

「は、はい……」


一通り私の武装を撫でるようにすべてを見ると

彼は一言ポツリとこぼした。


「実に素晴らしい……が惜しい」

「惜しい?」


すっかり私も、ブリジットちゃんも警戒モードは解いて

この老人の近くに来て話を聞いていた。


「この武装を作り上げたことは素晴らしいが

 あまりに戦闘に最適化されていない」


「おじいちゃん、解っていませんね。

 これはロマンというのですよ!」


「なるほど、ロマンか!

 戦いにも美学が必要だという考え。

 ワシにもそれは理解できるぞ!」


私はすっかりこの老人と意気投合してしまった。


「おい、ココア、お前本来の目的忘れてないか?」

「何を言ってるんですか、そのような些細な問題は

 この『同士』を手に入れた喜びと比べれば

 粗末なものですよ!」

「お主、なかなかに語れる口だな。

 お前達、良ければ我が家に入ってくれたまえ!」


ブリジットちゃんはやれやれという表情をしていましたが

私は嬉々として家の中に入っていきました。





おじいちゃんの家の中はまさにそれは開発資材がてんこもりの家でした。

中にはちょっと何をしたいのかいまいちよくわからないガラクタも

たくさんありましたが、テレビモニタと監視カメラが

連動しているギミックには私も驚きました。


「結局おじいちゃんは何をしている人なんですか?」

「私のことはドクターとよんでくれたまえ。

 何、この世界では冒険をすることが当たり前の世界だが

 私はそれには馴染めなくてな、この世界で役立つものを

 作り出そうとしてもっぱら家に引きこもって発明品を作る日々だ」


ドクターは私とブリジットちゃんに

よく冷えたジュースを出してくれた。


「しかしなんでよりにもよってお主らのような者たちが

 ワシなんかの家に? 正直金目の物はなにもないぞ?」


そういわれたので私は黙ってドクターの手配書を差し出した。


「この手配書はワシが当時手配されたときのものか。

 もう有効期日が切れているが……」


するとブリジットちゃんが代わりに口にした


「あんた、闇市で悪さしただろ、

 期日なんて彼奴等に関係ないのはわかるだろ」


「確かにそのとおりだな、

 しかしそこまでして何か欲しいものでもあったのか?」


「氷竜の胃袋です。アレを使って機関銃の銃身冷却を

 行うことで焼け付きを防ごうかと思っていたのです」


「なるほど、良い着眼点だ。だがおすすめはしない」


「何故ですか?」


彼は不思議な表情を浮かべつつも部屋の中をドカドカと

何故か歩き回りつつ語る。


「焼け付かなければ消耗しない訳では無い。

 一度私も試したのだ。銃身とは結局消耗品だ。

 あまりにコストとしては高すぎる。

 結局交換するしかないのだよ」


「結局振り出しに戻るかぁ……」


私はため息をつくとドクターは言った。


「いっそのこと、その機関銃は外しても良いのではないかね?

 両手両足のガトリング砲で十分だと思われるが」


「ちょっと威力が高すぎる場面があって……」


「であればアサルトライフルを……」




こうして私とドクターは丸一日兵器談義をしていた。

ブリジットちゃんは途中で退屈になって寝てしまっていた。


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