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第十七話 指揮系統

颯爽と私達の前に現れたのはジェノスさんでした。

後ろには20名近い弓手と魔法使いが並んでいます。


彼はすぐに私たちを見ると言いました。


「今この現場で指揮を取っているのは誰だ?」


そういうとアタフタとしながら倒れ込んでいた衛兵さんが

ジェノスさんの前にでてきて言いました。


「当初は私が取っていましたが、見ての通り

 あまりに前線が押し込まれていて

 指揮系統は完全に麻痺しております」


それを聞くと彼は即断即決でした。


「解った、今からは俺が指揮を取る。

 で、まだ動けるのはお前達ぐらいか」


私やブリジットちゃん、コウキンさんを見ながら彼は言う。


「私を頭数に入れないでいただきたい……」


コウキンさんの情けない声が聞こえる。

が、ジェノスさんは無情だった。


「お前の場合、魔力が枯渇しても並の魔法使いより火力はでる。

 倒れたままでいい、撃て」


「めちゃくちゃいってくれますね……あまり期待しないでくださいよ」


ジェノスさんは再び戦場を見回す。

コウキンさんのファイアウォールでモンスターは足止めを受けているが

こころなしかモンスターの数が増えてきた気がする。


「よし、弓兵部隊、魔法部隊、あの炎の壁の奥にいる

 モンスターたちに向けて魔法を撃ち続けろ。

 3交代制だ、事前の打ち合わせ通り行動しろ」


そういうと彼らは3列に並び、魔法と弓を発射し始めました。

コウキンさんの魔法と比べればささやかなものですが

更にモンスターたちが倒れていくのが見えました。


するとジェノスさんは私の前に歩いてきました。

彼は私とブリジットちゃんを見ると言いました。


「ブリジットは待機」

「なんでだよ!」

「あの火の渦の中に入っていくのか?」

「ぐぬぬ」


あくまでもジェノスさんは涼しい顔をしたまま淡々と言います。


「じゃあ黙って見てろというのか?」

「おそらく、ではあるがこれだけのモンスターが徒党を組んでいる。

 我々は、『うち漏らした雑魚の処理』と指揮系統と思われる

 ボスモンスターの始末だ、それまで体力は温存しろ」


そうこう言っている間にコウキンさんの炎の壁は消失しそうであった。

増援の後衛部隊は必死に攻撃を続けているが、

そろそろモンスターは進撃を再開しそうな気配であった。


「ココア」


急に名前を言われて私はびっくりした。


「は、はい?!」

「以前使った焼夷弾は使えるか?」

「任せてください、弾はたっぷりもってきましたので

 ガンガンうちますよ!」


「いやダメだ」

「へ?」


期待感を持たせた物言いだっただけに私はしょんぼりしてしまいました。


「おまえの武器には明確に弾薬制限がある。

 ここからは俺が、どの武器でどこを打つかを指定するから

 そのとおりに撃て。一発も無駄弾は撃つな」


そうこう言っている間にコウキンさんの魔法の効果は完全に切れました。


ジェノスさんは胸元から望遠鏡を取り出すと

進撃を開始するモンスターたちを観察していました。


「おい、早くやらなくていいのかよ」

「必要最低限の足止めは行っている。

 私たちがしなければいけないのはボスモンスターの把握だ。

 ココア、焼夷榴弾のストックは何発だ」


「焼夷榴弾は1発です、徹甲弾が3発、曲射榴弾が6発」


ジェノスさんは一瞬だけ目を閉じ、再び見開くと言いました。


「少しだけ待て、確認したいことがある、待機しろ。

 あともしモンスターが迫ってきても弾は最低限しか撃つな」



そういうとジェノスさんは凄まじい勢いで

モンスターの群れの中に突っ込んでいきました。


「ジェノスさん、大丈夫なんでしょうか?」

「心配いらねぇよ、あいつはマジモンのバケモンだ。

 見ていればわかる」


私も双眼鏡でジェノスさんの様子を伺ってみました。


……人間とは思えません。

移動速度は時速60kmはあるでしょうか。

モンスターの群れにぶつかるとブロードソードを引き抜き

切りつける。

この2モーションだけで5体をなぎ倒しました。


全く無駄がない、剣を振る動き全てに意味を持たせている。


あの人1人入れば全部倒せるんじゃないでしょうか……。

ジェノスさんの周りだけモンスターが怯えるように距離を取り始めていました。


ひとしきり暴れ尽くしたのか

しばらくするとジェノスさんは戻ってきました。


「すごいですね! あのまま全部なぎ倒してしまえば良かったのでは」

「私とて無限に戦えるわけじゃない。それよりもだ。

 あの位置の大型モンスターの塊を確認しろ」


言われるがままに私は双眼鏡を手にして確認しました。

やたらとあの近くにだけオーガやサイクロプスなど

でかいモンスターが周囲を固めていました。


「おそらくだが、アレが指揮系統の中心だ。

 ココア、あそこに曲射榴弾、焼夷弾を全部打ち込め」


「え、いきなり全部ですか?!」


「あそこのガードをこじ開けたい」


「よっしゃあああああああああああ!」


私はようやくぶっ放せると意気揚々とフルアーマーウェポンシステムを

展開して30cmキャノンを大型モンスターの群れに向けると

絶え間なく連射した!


「跡形もなく燃え尽きやがれ!!!」


発射するたびに周囲に響き渡る轟音と空を切る音。

絶え間なく発射し続けると、大型モンスターたちは慌てふためき

隊列を乱し始めた。


望遠鏡でその様子を伺うジェノスさん。


私は気分が良くなりひたすら発射し続けているが


カチカチ。


あっという間に弾が切れたらしい。


「ジェノスさん、弾切れです……」

「十分だ、ブリジット、行くぞ」

「いきなりだな、おい!」


「ココアは、残った弾で引き続き大型モンスターをうち続けろ。

 ……繰り返すが無駄弾は撃つなよ」


そういうと二人とも凄まじい速度で飛び出していきました。



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