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第十三話 資産差し押さえ命令

私は今日も元気に鍛冶屋でレールガンの整備を行ってました。

この武装は使う毎に銃身への負荷が大きく

最近はなるべく使わないように心がけています。

まぁテンションが高くなるとついブッパしてしまうのですが……


いっそのこと武装から外してしまおうか?

30cmキャノンの方がメンテナンスが楽で

弾薬の変更も出来るから便利……。


いや、もし対応できなかった時にどうするんだ。


最近ほとんどまともなご飯を食べれてないせいで

発想まで貧しくなっている気がします。




そんなときでした。


「お、おい、何だあんたたち!?」


「静かにしろ、我々は保険会社から派遣された人間だ。

 冒険者ココアがここにいると聞いてきたのだが」


「ああ……そこにいるのがそうだが」


グレーの背広を着た男たちが3人、鍛冶屋に入ってきた。


たちまちその3人は私を取り囲んでいった。


「お前がココアか」


まるで睨みつけるように彼らは私を見た。

そして周囲のパーツを眺めていた。


「あ、あの、何のようですか?」


すると、先頭に立っている男の人が言った。


「お前は周囲の物を破壊しすぎている。

 自費による補填を命じているにもかかわらず

 それに対応していない。

 よって、所持品の強制執行を行う。

 自宅にあるものを回収する、自宅に案内しろ」


「あ、あの……私、ここに住んでいます」


少し怪訝そうな顔をしたが、彼は周囲を見渡した。

もう1人の男が私の機関銃に手を触れた。


「ダメッ! 触らないで!」

「お、重たっ!? この銃とか差し押さえれば少しは足しになりますかね?」

「だめだ、それは売却しても鉄くずと同じ価値しかない」


私は私の相棒である銃達が売り払われない事に一安心しました。


「このハンマーとか鉄材とかはどうですか?」

「おいおい、保険屋さん、それはうちの道具を彼女に貸してやってるんだ。

 うちのモンまで持ってくのは、やめてくれよ?」


さらにもう1人のスーツの男が私の弾丸を拾い上げていった。


「何だこの弾丸は……マスケット銃のそれとは大違いだ」

「それもダメだな、そんな弾を使う人間がいない。売り物にはならない」


「あ、あの……お渡し出来るものはもうあとこれぐらいしか」


と私は着ているセーターと乾パンを差し出した。


「……」

「売りさばく経費の方が高い。本当にお前何も持っていないのか?」

「は、はい……」


保険屋さんたちは頭を抱えていた。

お金がないのは本当はこっちが頭を抱えたいのだけれども……。


1人が私に尋ねてきた。


「なんでこんなにお金がないんだ?

 いくら保証金がかさんだとは言え、資産は増えるものだろ?!」


「全部弾代に……それと最近依頼がギルドから貰えないので

 収入がまったくないんです。

 弾丸も最近は私が1から鋳造してます……」


保険屋さんの1人が軽く咳払いをしていった。


「わかった、今日の所はこれにて撤収する。

 だが、未払の損害についてはそのうち必ず払うように」











広い円卓。

そこには保険会社の重鎮たちと、ギルドの運営者達。

そして更には国を運営する立場にある人物たちが集まっていた。


「ギルドにはもう少しあの少女に対して依頼を発行していただきたい。

 彼女の稼ぎがないと我々も徴収すらできない。

 赤字が増大していくばかりだ」


すると顔に深いシワが刻まれた、立派なヒゲをもつ老人が言う。


「それはあなた達がココア条約なるものを作ったせいだ。

 保証がなされない冒険者に渡す依頼はない」


「勝手な理屈を!」

「それはお互い様だ」


そうすると、メガネをかけた黒髪の利発そうな男性が発言した。


「そのままお互いの理論をぶつけていても平行線。

 それはわかっていたことですよね?」


すると保険屋は声を上げた。


「そのために貴方に来ていただいたのだ。

 なにか良い案の一つでも持ってきてくれたのだろうな?」


彼はため息を付くと発言した。


「良い案などというものがあればとっくに実施してます。

 彼女自体が悪意を持って破壊行為を繰り返しているのであれば

 逮捕すればいいだけです。しかし破壊行為を行う際には

 正当防衛の域をギリギリ超えるか超えないかのラインで活動をしている」


「そんなわかりきったことを聴くためにここに来たわけではないぞ」


ギルドの老人が鋭い声で言う。


「少し残酷で、現実的な話をしましょうか。

 彼女の冒険者としてのランクを最上位に設定してはいかがでしょうか?」


眼鏡の男性の意見に周囲は沈黙した。


「元よりポテンシャルはあります。

 深層ダンジョンを攻略した実績もある。

 彼女は『使える』。ならば適材適所に送り込めば良いのです」


空気が重くなる。


「つまり『最前線に出せ』と?」


老人の問いに眼鏡の男性は頷いた。


「そもそも保険などという小さい枠組みの適用範囲で

 運用するのが間違いだったか。

 しかし彼女は冒険者としての経験値が不足している。

 単独で向かわせれば犬死には目に見えておるぞ?」


「我々保険会社としては超高難易度ダンジョンなどへの派遣は賛成です。

 基本的にA以上のダンジョンでの活動は保険対象外ですので」


「人の命より金勘定か、随分ご都合主義なことだ」


老人は深い溜め息をつき、ヒゲを触る。

眼鏡の男性は一冊の薄いリストを取り出していった。


「簡単な話です。元より冒険者はパーティを組むもの。

 このリストはランクS、つまり規格外の認定を受けた人物のリストです。

 母数は多くありませんが、彼らのなかでも好んで危険な任務を

 受けたがる人物もいます。

 その者と組ませれば、リスクは軽減できます」




彼女がいない間に、世界の歯車は回り始めていた。


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