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第九話 地獄の行軍 その1

私は悩んでいました。

最低でも400kmあるダンジョン。

一番悩むのは弾薬と食料の分配比率。


いつもなら不安なので持てるだけ弾薬を持っていましたが

流石に私の足でも最短で4日はかかる。

何ならもっと深い可能性も考慮しないといけない。

さらに帰り道も考えないといけない。

食料は2週間分、重量がかさむので全部乾パンで済ませる。

また、水分は欠かせない。


しかし2週間分も水分を持っていくのは現実的ではない。

食料も含めて現地調達を考慮、ダメなら一旦引き返す。


一番不安なのは……ブリジットさん。

全く何も考えてこなそうなので

最悪全部こちらでフォローする必要がある。


総重量は400kgほどだろうか。

食料を重視したため、弾薬は最低限に絞った。

いざ、深層ダンジョンへ!





私はダンジョンの入口でブリジットさんと待ち合わせをしていた。

いつもにもまして後ろのバックパックはガシャンガシャンと音を立てている。

ダンジョンの入口に着くと、彼女は軽そうな麻布のバックを一つと

あとはいつもの出で立ちであった。


「正気ですか?!」

「何がだよ!」

「400kmですよ! 明らかに食料とか足らないでしょ!」

「食料だ?水だけあればいいだろ、中で調達だ」


不安を抱えたまま私たちはダンジョンの中に入ることになったのでした。




早速私たちは入口に入ると

入口は意外にも整備された痕跡があり、モンスターの気配はなかった。


「なんか拍子抜けだな、意外と出入りしてる奴が多いのか?」

「きっとチャレンジした人が多いのではないでしょうか?

 奥に行けば行くほど厳しくなりそうです。

 まずは進んでみましょう」


私たちは顔を見合わせると、奥へと進んでいった。


黙々と、会話もなく30分ほど歩いたときでした。

「おい、少しはなんか雑談とかしようぜ?」

「必要ならしますが……きついですか?」

「まだきつくはないが、だんまり続きはきついぜ」

「今日は100km地点まで18時間歩く予定なので

 あまり喋らずに、呼吸を整えたほうがいいと思います」

「おいおい、一日で100km?! しかも18時間だと?

 無茶言うなよ、そんなんで敵と遭遇したらどうするんだよ!」

「もちろん迎撃します。それも想定しての100kmです」

「マジかよ……」


更に30分後。


「おい、疲れたぞ、休憩しようぜ」

「……わかりました、仕方ないので5分だけ休憩しましょう」

「5分?! 20分ぐらい休もうぜ?!」

「食料が心配です。5分だけです」

「マジかよ……」


更に2時間後。


「あーもう無理、今日はもう休憩しようぜ?

 お前歩くの早すぎるんだよ」

「このペースじゃないと時間がかかりすぎます。

 仕方ないですね」


そう言うと私は彼女が床に放り投げていた大剣を片手で拾い上げ

背中のバックパックの上に積み上げた。


「これは私が持ちますからもう少しがんばってください」

「正気かよ……わかった、歩けばいいんだろ歩くよ!」


更に私たちは足を進めていった。

徐々に整理された区画はなくなり、完全な洞窟のようなダンジョンが姿を現した。

私はペンライトで足元を照らしながら前を歩く。


最初は意気揚々と私の前を歩いていたブリジットは

呼吸が浅くなったまま、辛うじて私のペースについてきていた。


更に3時間経った頃であった。

もはや周囲は常に真っ暗で時間間隔が無くなりそうになる。

私は時計で時刻を確認しつつ、地図を広げ

現在位置を確認しながら進んでいた。


その時であった。


とうとうブリジットは尻もちをついて止まってしまった。


「あー流石にもう無理だ、足が動かねぇよ!」

「仕方ないですね……ではここに座ってください」


私はバックパックに乗せていた大剣を手で持ち

彼女にバックパックの上に座るように促した。


「マジかよ……」

「まぁ600kgぐらいならまだいけると思います」

「意味がわからないんだが?」


結局私が危惧した通り、彼女は無事足手まといとなった。


だけど、私のことを遠ざけない、貴重な人物でもあった。


私は気を取り直して彼女ごとバックパックを背負い

大剣を片手でもって歩くのを再開した。




結局、初日は予定通り100km地点まで進むことが出来た。

上出来だ。


地図を確認する。

現状で人類到達の限界地点には到達したようだ。

ブリジットはいびきをかいて寝ていた。


私は乾パンを一欠片だけ食べ、水分を補給する。


明日からが本番だ。


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