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「メンヘラ魔王、皆を虜に萌え燃えキュン。~あなたも私の虜になってみる?~」  作者: 推尊 奉琉


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プロローグ

「どうだ!?ヘンゼルよ。私に恋をし、信じるからこうなるんだ!!アハハハハ!!哀れだな!!」


刀を片手に高笑いをする愛していた貴族のルイス。

最初の私だったら、殺意が芽生えていたであろうこの状況でもこの人に恋をし依存した私には、その言葉や姿すらも憎しみどころか愛おしく想えてくる。

完全に私の情緒はおかしくなっていた。


「死にたいだろ!?だが、お前はまだ殺さない。自分の大切にしていた民達が死に行く様をお前には見てもらう!!」


無情にもルイスは私を殺してはくれなかった。これも歪んだ思想の前では、私への歪んだ愛にしか捉えられなかった。


「さて、私もこやつらと共に民達の皆殺しに参加するとしようかな!アハハハハ!!お前は、今までよく俺のために頑張ってくれたよ!ヘンゼル愛してるよ。」


ルイスは駆け出し、次々と民達を斬っていく。


「アハ…アハハハハ。民…民達が皆死んでいく。アハ…アハハハハ」


心が壊れていた私には、虚しくも笑うことしか出来なかった。


目の前に広がるのは、燃え盛る村と逃げ惑い、殺されていく民達


「た…助けてください。ど…どうか。」

「ザクッ…。痛い…痛い。」

「熱い…熱いよぉぉぉぉぉぉ!!誰か、た…助けて。」


村中に無情にも鳴り響く斬死、焼死されていく者達の断末魔

建物の外壁に飛び散る血液はまさにペンキで塗装されたようだった。


大切な家族や民を目の前で殺される絶望と愛おしいルイスへの歪んだ愛の間にいた。

絶望を抱き冷たいコンクリートの地面に膝をつく。

正義や善人だと吟われ、私も信じ、愛してていた貴族である愛する人に裏切られた私の心と身体は既にボロボロだった。


もう…全てが終わってもいい。愛し家族や民達、そして、愛するこの人と共に自分も死んでしまっても良いと思い、目の前にあったナイフを手に取る。

その時だった…。


「そのまま死んでもよろしいのですか?民の為に労力を費やした功労者の貴方が、なぜ裏切られた挙げ句に、愛しの家族や大切にしてた民までも奪われなければならないのか。それは、貴方にまだ愛が足りないからです。愛が足りないからこそ、愛しの人に裏切られて大切な者達を奪われる。

そんな貴方に能力を授けましょう。それは、皆を虜にできる"萌え"の力と恋い焦がれた者を燃やせる"燃え"の力です」


突如として、現れた禍々しい黒い影が私にそう問いかける。


「と…虜に出来る力と燃える力?」


その黒い影の問いかけに対して、とある一つの考えが自分の頭を過る。


もう二度と絶望を味わわないようにするためにはこの影が言う相手を虜に出来る"萌え"の能力と恋い焦がれた者を意のままに燃やす"燃え"の能力を授かり、自分が愛した者の愛情を私に向けるようにし、尚且つもう一つの能力である燃えの能力を行使して自分に愛情を向けない者を滅して、自分が愛した皆が自分に愛を向けるような世界を目指すという歪んだ考えになっていた。


「そ…その能力があれば、私は幸せになりますか?皆が私を愛するようになりますか?裏切りのない、自分が幸せになる世界を作れますか?」


絶望の縁に立たされた自分にとって、心の底からの願いだった。

今まで民を想って動き、愛情を注いだ私にとって、愛する家族や愛しの人、そして大切な民達と共に幸せにこれからの人生を歩めると思っていた現実が数々の出来事により、打ち砕かれたのだから。


その私の問いかけに対して、禍々しい黒い影は答える。

「ええ!もう失わなくて済みます。貴方の愛で世界を包み込むことで、皆の想いは貴方だけに向けるようになり!裏切りなどない!貴方だけの世界が完成するのです」


禍々しく普通なら疑うであろうこの状況すらも絶望の淵に立たされた私にとっては、疑うどころか救いの神にすら見えてきた。


「そ…その能力を私に下さい!!愛が…愛さえあれば!!私も皆も幸せになれるのです!!」


大切な者達を失った自分にとって、もう二度と失わないようにするには愛こそが必要だと。

涙目で黒い影に手を差し出し、心の底から願う。


すると、謎の影は手を差し出した。

差し出されたその手の平にあったのは赤と黒色の禍々しい魂のようなものだった。


その差し出された魂を自分の手の平に乗せて自分の身体へと取り込む。


「ドクンッ…。ドクンッ…」


高鳴りを感じる鼓動。

身体の中にふつふつと沸き上がるこの感情。今まで味わったこのないような爽快感。


「ヒッ…ヒッヒッヒ!!な…なんなのこの愛に見溢れた感情は!!身も心も燃えそうだわ!!でも…その苦痛すらもとても気持ちいいわ!あ~。皆を愛で包み込みたい気分!!愛おしい!愛おしいわ!アハハハハ。あ~あ。誰もわかってくれない。もう嫌…死にたい。」


顔に手を添えながらひきつった笑顔で笑う。


完全に愛に支配され、全てが愛おしく想えてくる。

私がこうなったのには、理由があった。

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