ミラロール偵察
ウィンとフォロブロンは、数騎の護衛を連れただけでミラロールに近づいて、ミラロールの陸側を囲っている丘陵地帯を観察した。
オルロンデムとアークラスムも連れて来る予定だったが、「2人が指揮する隊は動きが遅れた」件についてレンテレテスが説教をしていたので置いてきた。突撃の頃合いは戦闘の帰趨を左右する。あれでは勝てる戦いも勝てないと言って、レンテレテスは大層立腹していた。
「レンテレテス卿は2人のことを本気で育てるつもりなのだな」と言ってフォロブロンは失笑した。
「レンテレテス卿も面倒見がいいからねぇ」
ミラロールにかなり接近したが、攻撃してくる気配はない。
「この崖はまさに天然の城壁だな。上るのは不可能だ」
「けど切り通しに突っ込むのは自殺行為だね」と言って、ウィンはわははと笑った。
切り通しは丘陵部を掘削して作った道で、両側は切り立った崖になっている。崖の上は平らに削られており、そこに兵の詰め所が設けられている。切り通しの上に弓兵を配置されたら、両側から矢が降ってくる道を通ることになる。
「笑っている場合か。ミラロールがヌヴァロークノ側にある限り、まだまだ人がやって来るぞ」
「こりゃ、海から入るしかないね」
「海だと!?」
「ファッテン伯領の水軍の力を借りよう」
「しかし、水軍は海上における特権を与えられている。命令はできぬぞ」
「そこ、そこなんだよなぁ。私のことを覚えてるとまずいかもしれない」
「貴公、何かやらか……7年前の海賊騒ぎか!?」
「いやー、参ったな」などと言いながら、ウィンは笑った。
「では私が行こう」
「……いや、私が行くよ。世話になった礼もしたいしね。アレス副伯には、陸側の大仕事をお願いしたい」
「大仕事?」
「ヌヴァロークノ王の本隊が来たら、撃退しといてね」
「そいつはまた……大仕事だな」
フォロブロンは天を仰いだ。




