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居眠り伯とオルドナ戦争  作者: 中里勇史
反撃

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48/72

ミラロール守備隊 その2

 皇帝軍とラフェルス・カーリルン軍は、ファッテン伯領内で最後の準備を整えると一気にオルドナ伯領に侵攻した。ケルヴァーロは今頃、別動隊でゲンテザイル以外の街も攻囲するなど、敵本隊を刺激する行動を取っているはずだった。その間にミラロールを落とさねばならない。

 会戦に必要な部材の調達と大規模な再編成に時間を取られつつ、ミラロールの南の平原に皇帝軍とラフェルス・カーリルン軍は布陣した。ミラロール外に居たヌヴァロークノ軍はすぐに反応し、ミラロールを守るように展開した。トローフェイルの戦いと同じく、横の間隔を広く空けた陣形である。

 帝国側は、右翼にラフェルス・カーリルン軍の歩兵6000、中央と左翼に皇帝軍の歩兵8000を配置し、両翼の後方にそれぞれの騎兵を置いた。歩兵は槍を構えた密集隊形を取った。


 両軍はその陣形を維持したまま前進した。

 両軍の間が70メルを切った。

 帝国側はそのまま前進した。

 ヌヴァロークノ軍もさらに前進して、短槍を投擲する構えに入った。

 「今だ! 射て!」

 皇帝軍とラフェルス・カーリルン軍の歩兵の後方に配置されていた弓兵が一斉に矢を放った。トローフェイルの戦いでは盾で防がれたが、槍を投げる態勢では盾は使えない。

 同時に、皇帝軍の歩兵は盾を前面に掲げて短槍を受け止める態勢に入った。ファッテン伯領内で、短槍も防げるように盾を補強しておいた。

 ベルウェンとラゲルスが指揮する傭兵たちは、ヌヴァロークノ軍と同じく密集を解いて横の間隔を空けた。そして、「短槍」を投げた。傭兵たちが持っていた槍は長槍ではなかったのである。

 「俺たちはヌヴァロークノ傭兵とやり合ったこともあるんだぜ」

 ベルウェンとラゲルスは、この戦術を知っている者を前列に配置し、未経験の者を後列に回して弓兵にした。経験豊富な傭兵は、この戦い方も知っていたのだ。

 短槍を投げた傭兵は間を通って後列に回り、接近戦の準備をする。最前列になった旧第2列も短槍を投げて後列に下がった。

 投擲態勢時に矢を受け、さらに短槍で攻撃されて、ヌヴァロークノ軍左翼は崩れ始めた。


 皇帝軍歩兵たちは敵の短槍を盾で受け止めていた。ただ受け止めているだけではなく、同じく後方に配置した弓兵が絶え間なく矢を射かけて、短槍を投げようとしている敵兵を射倒していった。今のところ戦闘は優勢に推移している。

 「そろそろ出番だな」

 アレス副伯家臣のウレスペイルは歩兵に再前進を命じた。トローフェイルでは長槍の懐に飛び込まれて大打撃を受けたようだが、要は頃合いを見極められるかどうかだ。長槍は依然として有効だ。

 ただし、皇帝軍の歩兵は士爵が連れてきた領民であり、練度は低い。他の領民との連帯感も弱い。ウレスペイルの指揮に応じて鳴らされる各隊の太鼓に合わせて確実に動けるとは限らない。ウレスペイルは一抹の不安を覚えながら指揮を続けた。

 「槍を立てよ!」

 後は、槍を倒す機会を見逃さないだけだ。敵が走り込んでくる瞬間に……。

 「倒せ!」

 彼の不安は的中した。長槍を打ち下ろす頃合いが隊によってバラバラになった。槍を倒すのが遅れた隊は、ヌヴァロークノ軍歩兵に接近されて恐慌状態に陥った。

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