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居眠り伯とオルドナ戦争  作者: 中里勇史
反撃

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ミラロール守備隊 その1

 皇帝軍とラフェルス・カーリルン軍は、オルドナ伯領西隣のファッテン伯領内を北上してサモルフィス街道に出た。ここを東進すればミラロールの南側に出ることができる。


 ミラロールは、港を擁する街の背後、つまり南側に、街を囲うように半円形の丘陵地帯がある。北は海、南はこの丘陵地帯によって守られている。丘陵地帯の何カ所かに、人の手によって掘られた切り通しがあり、これが街と外部をつないでいる。陸からは、この切り通しを通らない限りミラロールに入れない。天然の要塞である。まずは、この切り通しの外側にいる1万5000のヌヴァロークノ軍を排除する必要がある。

 ザルヴァーエルを通して、トローフェイルの戦いの生き残りの証言やヨーレントによる偵察で判明したことをウィンらは知ることができた。

 ヌヴァロークノ軍にほとんど馬はいない。指揮官級が乗っているだけで、騎兵戦力と呼べるようなものはない。1万5000全てが歩兵と考えていい。

 ザルヴァーエルから話を聞いて、「いやはや、面白い戦い方するね。個人の戦闘力に依存している」と言って、ウィンはわははと笑った。

 個人の武勇も勇気もあてにせず、密集隊形の横隊で逃げ出せない状況を作り、長槍を立てて倒すという単純動作だけで戦えるようにした帝国の歩兵。横隊を作らず、個人の技量で敵の懐に駆け込み、短剣で接近戦を挑むヌヴァロークノの歩兵。運用思想が全く異なっている。

 この違いに対応できなかったことが最大の敗因だ。言い換えれば、対応できればトローフェイルの戦いのような一方的な負け方はしない。あくまでも、対応できるならば、である。

 「笑っている場合か。密集隊形ではヌヴァロークノ兵の動きに対応できない。かといって、にわかに真似をしても付け焼き刃では後れを取るだけだ」というフォロブロンに、「まあまあ」と言いながらベルウェンに向き直った。

 「その点どうだい? ベルウェン」

 「全員は無理だが、一部ならやれるんじゃねぇかな。なぁ」と言って、ベルウェンはラゲルスを見た。

 「ま、やれるでしょうな」

 「じゃ、それでいこう」

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