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追放された元宮廷魔術師、辺境で育てた弟子と共に王都を滅ぼすか救うか選ぶことになる  作者: マルコ


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第16章 第4話 虚無の胎との対峙

 虚無の胎が咆哮を上げた。

 赤黒い空を震わせるその声は、世界の終焉を告げる鐘のようだった。

 脈打つ肉塊から無数の触手が伸び、大地を絡め取り、城壁の残骸を粉砕していく。


 その身から吐き出される瘴気は嵐となり、兵も民も次々と異形へと変わった。

 叫び声は咆哮に変わり、人の形は闇に呑まれていく。


「……これが……本当の災厄……」

 ライラが低く呟き、短剣を構えた。


 ラシードは血に濡れた身体で、なお前へと進んだ。

 剣を振るうたびに傷口が裂け、血が飛び散る。

 それでも彼は、一歩も退かなかった。


「俺は……まだ終わっちゃいねぇ!」


 異形の群れを薙ぎ払い、触手を斬り裂く。

 だが次の瞬間、巨大な影が彼を襲った。


「ラシード!」

 私が叫ぶよりも早く、黒い触手が彼の身体を貫いた。


 血が迸り、彼は地に崩れ落ちた。


 マリアが駆け寄り、必死に光を注ぎ込む。

「いや……いやぁ! 行かないで! お願い、死なないで!」


 ラシードは苦しげに笑みを浮かべ、震える手で彼女の頬を撫でた。

「泣くな……マリア……お前の光は……俺が生きた証だ……」


 その瞳がリディアに向けられる。

「……頼む……未来を……託す……」


 彼の手が力を失い、剣が地に落ちた。


 マリアの叫びが夜空に響いた。

「ラシードーーーッ!」


 マリアは涙に濡れた目で立ち上がり、両手を胸に重ねた。

 その手から溢れ出した光は、これまでの彼女のものよりもはるかに強く、純粋だった。


「あなたの命は……無駄にしない。

 ラシードの光は、私が継ぐ!」


 光が仲間たちを包み、傷を癒し、闇を退けていく。

 彼女は悲しみを力に変え、虚無の胎に祈りを突きつけた。


 私は涙を拭い、杖を握りしめた。

 ラシードの最後の言葉が胸の奥で燃えていた。


「……未来を託す。

 それが――私たちの戦いだ!」


 ライラが隣に立ち、マリアが光を掲げる。

 三人の想いが重なり、虚無の胎の巨体に立ち向かう力となった。


 空を裂く咆哮の中で、私は最後の決戦へと歩み出した。

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