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追放された元宮廷魔術師、辺境で育てた弟子と共に王都を滅ぼすか救うか選ぶことになる  作者: マルコ


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第13章 第2話 荒野の戦場

 北方へ向かう街道を数日進むと、景色は一変した。

 緑豊かな大地は黒く焦げ、煙が空に渦を巻いていた。

 かつて穀倉地帯と呼ばれた村々は焼け落ち、瓦礫の中に無数の影が横たわっている。


 マリアは馬を止め、震える声を上げた。

「……こんな……」

 目の前には、抱き合ったまま動かない親子の姿。

 その小さな手は炭のように黒く焦げ、二度と離れることはなかった。


 ラシードが剣を抜き、歯を食いしばる。

「許せねぇ……! これが戦かよ……!」


 さらに進むと、荒野の丘に杭が並び、そこに縛り付けられた人々の姿があった。

 痩せこけた村人たちが鎖に繋がれ、鞭で打たれている。

 見張っているのは異民族の兵。粗末な革鎧をまとい、残虐な笑みを浮かべていた。


 ライラは息を呑み、短剣に手をかけた。

「……奴ら、人を見世物にしてるの?」

 マリアは顔を覆い、涙を流した。

「どうして……どうしてこんなことができるの……!」


 私は息を整え、仲間に合図した。

「救う。ここで黙って見過ごすことはできない」


 闇に紛れて接近し、ラシードが吼えながら盾で突撃した。

 異民族の兵が弾き飛ばされ、鎖の音が鳴り響く。

 ライラは素早く走り込み、喉を切り裂く。

 マリアの光が矢を弾き、囚われた人々を守った。


「大丈夫、もう大丈夫だから!」

 マリアは必死に声を張り上げ、鎖を断ち切る。

 涙と血に濡れた人々が次々と膝を折り、震える声で感謝を口にした。


 だが、その一方で丘の上から角笛の音が響き渡る。

 敵の増援が迫っていた。


 現れたのは、荒馬にまたがる戦士たち。

 顔に赤い塗料を施し、槍を掲げて突撃してくる。

 その勢いは王国の騎兵にも勝るほどだった。


 私は杖を掲げ、水の壁を立ち上げる。

「アクア・シールド!」

 波が槍の突進を押し返し、ラシードがその隙を突いて斬り倒す。

 だが敵は怯まず、次々と襲いかかってきた。


 ライラは歯を食いしばりながら叫ぶ。

「こいつら……まるで命を惜しまない!」


 激しい戦いの末、私たちは敵を退け、人々を解放することに成功した。

 だが残された村は灰と血にまみれ、救えた命はほんの一部にすぎなかった。


 夜、焚き火を囲みながら、ラシードが低く言った。

「……俺はもう、ためらわねぇ。あいつらを必ず叩き潰す」


 ライラは火を見つめ、影を揺らしながら呟いた。

「命を惜しまない敵……でも、彼らにも理由があるはず。

 それでも、止めなきゃ……」


 マリアは両手を握りしめ、涙をこらえながら言った。

「わたし、もう泣いてばかりじゃいられない。

 誰も見捨てない……絶対に」


 私は仲間を見渡し、静かに頷いた。

「北方の戦乱は苛烈だ。けれど、私たちが止めなければ誰も止められない。

 行こう。もっと奥へ」


 北の空には、さらに大きな炎が揺れていた。

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