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追放された元宮廷魔術師、辺境で育てた弟子と共に王都を滅ぼすか救うか選ぶことになる  作者: マルコ


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第13章 第1話 北境からの急報

 夜明けの光が王都を照らしたとき、その姿はもはや栄光の都ではなかった。

 焼け落ちた宮殿、崩れた塔、黒煙を上げる瓦礫の山。

 炎は鎮まりつつあったが、街には虚ろな沈黙とすすり泣きだけが残っていた。


 マリアは瓦礫の中で膝を抱えた子どもに水を与え、震える声で言った。

「……わたし、もう二度と、こんな景色を見たくない」


 ラシードは拳を握りしめ、唇を噛む。

「だが現実はこれだ。国も反乱軍も、市民を守りきれなかった」


 ライラは遠くに残る煙を見つめ、かすかに笑った。

「結局、勝者なんていない。ただ廃墟と死体だけが残る……」


 私は杖を強く握りしめ、胸の奥で静かに誓った。

――必ず、この連鎖を止める。


 そのとき、血に染まった甲冑を着た兵士が、馬を駆って広場に飛び込んできた。

「急報! 北境にて異民族の大軍が侵攻! 防衛線はすでに突破されました!」


 兵士は馬から転げ落ち、息も絶え絶えに続ける。

「数は……数万! 王国北方の砦は次々と陥落……援軍を……」


 広場の空気が凍りついた。

 反乱で疲弊したばかりの王都に、新たな脅威が迫っている。


 残された貴族や重臣たちは蒼白な顔で言葉を交わした。

「馬鹿な……兵は王都防衛で手一杯だ」

「金庫は空だ! 兵糧もない!」

「誰が北境を救うというのだ……」


 彼らの声には恐怖と絶望しかなく、民を守ろうとする意志は微塵もなかった。

 ラシードが吐き捨てる。

「腐った奴らだ。こんな連中に未来を託せるかよ」


 私は一歩前に出て、仲間を見渡した。

「北境へ行こう。王都が動かぬなら、私たちが行くしかない」


 マリアは震える手を胸に当て、しかししっかりと頷いた。

「……人を守りたい。どんなに遠くても、どんなに敵が大きくても」


 ラシードは苦笑し、剣を背負い直した。

「まったく……また死地に飛び込むのか。だが、逃げるよりはマシだ」


 ライラは短剣を磨きながら、静かに言った。

「北境には血が流れる。でも……今度こそ、自分の目で選ぶ」


 それぞれの思いを抱え、私たちは燃え落ちた王都を背に、北へと向かう決意を固めた。


 その夜、城壁の上から北の空を見上げると、暗雲が広がり、赤い炎が遠くに瞬いていた。

 それは村が焼かれている炎なのか、それとも戦の火なのか。


 私は胸に重いものを抱え、呟いた。

「……大陸はまだ、燃え尽きていない。ここからが本当の戦乱だ」


 冷たい風が吹き抜け、北方の大地が私たちを呼んでいた。

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