第1章 エピローグ 星降る夜に
その夜、村の空は澄み渡り、満天の星が瞬いていた。
焚き火のそばに座り、私は杖を抱いて空を見上げる。
マリアは私の隣で、安心したように眠っている。
彼女の寝顔を見ていると、胸の奥があたたかくなった。
ほんの数週間前まで、私は一人で暗い雨の街道を歩いていたのに――。
「居場所なんて、もう二度と持てないと思ってた」
でも今、こうして火を囲み、誰かの隣に座っている。
村人たちは私を「村の魔術師」と呼び、マリアは私を「師匠」と呼ぶ。
あの日、王都で失ったものは二度と戻らないかもしれない。
けれど、ここでなら、新しいものを作れる。
しかし、セシリアが告げた言葉が頭から離れない。
王都は腐っていく。
あなたを追放したあの断罪も、宰相の仕組んだ罠だった。
真実を知った今、胸の奥に再び怒りが灯る。
あのまま放っておけば、この国は本当に滅びるかもしれない。
そして、かつて私が信じた王太子も――。
「復讐するだけじゃ足りない。
国そのものを変えなきゃ、同じことが繰り返される」
私は焚き火の中の炎を見つめる。
赤い火がぱちぱちと弾け、夜空へと火の粉が舞い上がった。
「マリア。私はきっと……王都へ行く」
彼女の寝息が答える代わりに、
流れ星がひとつ、夜空を横切った。
――物語は、ここから大きく動き出す。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
第1章は、リディアがすべてを失い、辺境で新しい居場所と弟子を得るまでの物語でした。
最初は断罪・婚約破棄・追放と、とことん落ちる展開でしたが、
マリアと出会い、村の人々に認められ、
少しずつ彼女が立ち直っていく過程を書きたかったのでじっくり描きました。
次章からは、いよいよ物語が大きく動きます。
王都から届いた不穏な知らせ、迫る陰謀、そしてリディアが下す決断――。
復讐か、救済か。
彼女が選ぶ道をぜひ見届けてください。
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