表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された元宮廷魔術師、辺境で育てた弟子と共に王都を滅ぼすか救うか選ぶことになる  作者: マルコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/96

第6章 第4話 北方の都市にて

 長い砂漠の行軍を越えた先に、ようやく街の灯りが見えた。

 北方の交易都市――かつては大陸の南北を結ぶ要衝として栄えた場所だと聞いていた。

 だが、門をくぐった瞬間、私は違和感を覚えた。


 通りには人々がいるものの、笑い声がない。

 屋台は並んでいるが、半分以上は閉じられたまま。

 開いている店からは警戒するような視線が投げかけられた。


「活気がない……」

 マリアが不安げに呟く。

「ここも黒帆の影響下にあるのね」

 ライラの声は冷たかった。


 広場の井戸の周囲では、痩せた子どもたちが水を汲んでいた。

 その背後で、黒い腕章を巻いた男たちが見張りのように立っている。

 水を汲む順番を金で売り、逆らう者には殴打を加えていた。


「ひどい……!」

 マリアが立ち上がろうとしたが、私は腕を掴んだ。

「今は動くな。敵を炙り出すのは、時が来てから」


 彼女は悔しそうに唇を噛み、杖を握りしめた。


 私たちは宿屋に身を寄せ、市場に出て情報を探った。

 果物売りの老人が小声で教えてくれた。


「黒帆の連中は、街の北にある砦を拠点にしてる。

 “黒砂の砦”と呼ばれてな……。あそこから奴らは隊商を襲い、

 水路を支配し、街を締め上げてるんだ」


「黒砂の砦……」

 私はその名を繰り返した。

 まるで砂漠そのものが牙をむいたかのような響きだ。


 夜、宿の窓から街を見下ろすと、闇に紛れて人影が動いていた。

 人々が列を作り、黒帆の兵に物資を差し出している。

 抵抗する声はなく、沈黙だけが支配していた。


「みんな、恐れてる……」

 マリアが呟く。

「恐怖で支配されてるのよ。だから私たちが、ここで立ち上がらなきゃ」


 私は杖を握り、強い決意を胸に刻んだ。

 次の目的地は――黒砂の砦。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ