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第3章 第6話 新しい朝

 王都の空が、ようやく青く澄み渡った。

 戦いで崩れた城門は修復が始まり、瓦礫を運ぶ人々の声が響いている。

 街にはまだ煙の匂いが残るが、民の表情は昨日より明るかった。


「リディア、こっち手伝って!」

 マリアが腕まくりをして、子どもたちと一緒に石を運んでいる。

 その笑顔に、私は胸が温かくなる。

 この街を守れたのだ。……今度こそ。


 宮廷の大広間は修復の最中だった。

 割れた窓から差し込む朝日が、昨日の戦いの跡を照らしている。

 私はその中央で、エドリアンと向かい合っていた。


「……あなたを許すかどうか、ずっと迷ってた」

 私の声は静かだった。

「でも、昨日見た。剣を抜いて戦うあなたを」


 エドリアンは目を伏せ、そして真っ直ぐ私を見た。

「私は間違えた。君を追放した日から、ずっと後悔していた。

 もう一度やり直せるなら……君に、もう一度隣にいてほしい」


 その言葉に、胸が痛むほど締め付けられる。

 でも、今の私は、あの日の私ではない。


「ありがとう。でも、私はまだ旅をしなきゃいけない。

 国は変わった。でも、私自身がどこへ行くべきか――もう少し探したいの」


 エドリアンはしばらく沈黙したあと、微笑んだ。

「分かった。君が帰る場所は、ここに残しておく」


 私はほんの少し笑って、頷いた。


 外に出ると、マリアが走ってきた。

「リディア! 見て、こんなに運んだよ!」

 彼女の顔は汗と煤で汚れていたが、誇らしげだった。


「えらいわ、マリア」

「次はもっと強くなる。……リディアみたいに、誰も怖がらせない魔法使いになる!」


 私は頷き、空を見上げる。

 雲ひとつない青空が広がっていた。

 あの日、追放されたときに見た雨の空とは違う。


「行こう、マリア」

「どこへ?」

「まだ見ぬ世界へ。……次は、この国の外も見てみたいわ」


 マリアの目が輝く。

「うん!」


 風が頬を撫でた。

 新しい朝、新しい旅の始まり。

 私たちの物語は、まだ続いていく。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

第3章「王都決戦編」は、リディアたちが宰相と真正面からぶつかり、

王国そのものを変える大きな戦いになりました。


リディアとマリア、そしてエドリアン。

三人がそれぞれの覚悟を胸に戦い、王都は新しい朝を迎えました。

ここは物語前半の大きな山場だったので、書きながら私も胸が熱くなりました。


次章からは、舞台を王国の外へ広げていきます。

新しい国、新しい文化、新しい敵……そして、マリアのさらなる成長。

リディアが見つける「本当の居場所」と「戦う理由」を描いていく予定です。


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特に「ここが熱かった!」「マリアの成長が好き!」など一言でも、次の更新の力になります。

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