授業と事件と魔物
それから数日後……
僕は、アリスのクラスと合同で野外訓練を行う事になった。
そして……事件は、そこで起きた。
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僕とアリス達のクラスは、合同で野外訓練を行った。
これは、訓練と言っても魔法への意識を高める訓練で——風や雨、炎や土といった自然と一つになる事で魔法を向上させる目的が込められていた。
そして、この付近は魔物の発生が少なく安全なので先生達は見張り程度に数人居るくらいで——生徒達には、各々自由にキャンプなどを行ってもらっていた。
なので、友達の居ない僕は1人と1匹でテントの準備をしていると——そこに【アリス・スターシー】と付き人の【バニラ】が現れると手合わせの申し出をして来た。
「この訓練は、冒険者になる方や遭難した時の為の備えですから。
特にイベント事も無いので、この機会に——貴方の実力を測っておきたいと思いまして——。」
すると、二言返事でヤマトかその申し出を承諾した。
「ヤマト、勝手に引き受けないでよ……」
「大勢の前よりアイツも手の内を見せて来るに違いない。
アイツを見定めるのに都合がいい。つべこべ言ってないで早く戦え!」
ヤマトの言っている事も一理あると思った僕は、アリスからの申し出を受ける事にした。
そして、僕とアリスは戦う事に……
僕は、闇魔法を繰り出すが——アリスの光魔法の光の矢によってかき消されていく……
「闇魔法は、光魔法とこんなにも相性が悪いのか……」
なので、僕は森に溶け込み姿を暗ますと——闇魔法による撹乱と剣による物理攻撃で、アリスに襲いかかった。
しかし、アリスは——その攻撃を真正面から剣で受け止めた。
そして、体感では長く感じられた。その勝負もものの数分で終わりを告げると——アリスの勝利で幕を閉じた。
僕は、膝をつき崩れ落ちると……
「剣なら……勝てると思ってたのに…………」
そう基本的に、魔法使いは魔法による攻撃に特化している為に——物理攻撃剣や打撃などと言った訓練を行う者は少なかった。
その為に、幼少期から剣の修行を行っていた僕は剣を使った勝負なら大抵の者には負けないと思っていた。
そんな事を思いながら僕が落ち込んでいると——ヤマトが……
「お前は、剣の才能もなかったんだにゃ!」
そう言われた僕は、よりいっそう落ち込んだ。
そして、僕が落ち込んでいる隣では——アリスにバニラが駆け寄って行くと……
「魔力は大丈夫ですか? アリス……」
「ええ、まだ半分以上は残っています。
貴方も魔力量は多い方ではないのだから無理をしてはダメですよ」
そんな会話をした後で、アリスは僕にお礼を言うと——落ち込んでる僕を尻目に、その場を立ち去った。
そして、落ち込んだ僕は——その後、森で出来る修行を行った。
*
それから、生徒達だけで野外訓練を行い数日が経ったある日——。
僕達は、【デスパレード】魔物達の大群勢に襲われ多くの負傷者を出すと課外授業どころではなくなってしまった。
そして、無事だった生徒達は教師達と連携して怪我をした者を学園まで運ぶ事になった。
どんなに急いでも学校までは2日かかる為に、先行して数人の生徒が学校に——この事を伝えに行ったが……いくら急いでも学園からの救助、先生達の到着は3日後となる。
その為に、戦闘力高い者達は星の子を中心として魔物達を止める為の防波堤となった。
そして、その中でもやはり1番活躍したのはアリス・スターシーで光魔法の使い手である彼女は、傷ついた者達の回復も行い大活躍を見せた。
一方で。僕はと言うと影で人形を作ると周囲に散らばらせると魔物達の情報収集に徹した。
そして、アリスの粉骨砕身の活躍もあり生徒の大半が彼女が居れば助かると確信したが……アリスの異変は3日目の戦闘に突如現れた。
それまで、莫大な魔力量に頼る様な戦闘を行っていたアリス出会ったが……
3日目からは、魔法を温存して剣や弓を主体とした戦い方になっていた。
そして、何故か傷ついた者の治療もしなくなってしまった。
確かに2日間、ずっと戦ってはいたが皆なもアリスに倒れられてはマズイと考えると夜の戦闘は出来る限りアリスを休ませる事に専念した為に、アリスの体力は回復は出来ていたと思っていた。
しかし、それでもアリスの魔力は底を尽きてしまっていた。
しかし、魔物の猛攻は止まる事を知らない。
そして、ダメかと思われた。その時、僕のシャドウドールに先生達の反応をキャッチする。
僕は、その事を皆んなに知らせると先生達の方向へと走らせる。
そして、しんがりを僕とアリスで務める。
僕は、その時にアリスの異変に気づいた。
「アリス——。魔法を使って貰えないか……」
「すまない……魔力が切れてしまった…………」
バニラはと言うと、はじめに先生を呼びに行く部隊に配属された為に——アリスとは一旦離れ離れになってしまった。
「僕と違い魔力量の多い貴方が……?
今日は、魔法を使った姿を見てませんが……」
「バニラが居れば……そんな事を言っても仕方がない。
私は、人より魔力の回復が遅いんだ……」
すると、突然現れたヤマトが口を挟む。
「嘘をつくな。お前は、魔力の回復が遅いんじゃなくて——魔力を回復出来ないの間違いだろ!」
すると、アリスは驚いた表情を見せると……
「それを何故知っているの!? ……あッ!」
「ならば、これを——ッ!」
そう言ってMPポーションを渡すが、アリスは……
「私の魔力は、こんなものでは回復しません。
こうなってしまったので、正直に話しますが……
私は、直接誰かに魔力を流して貰わなくては魔力を回復する事が出来ません。
だから、私は常にエルフのバニラに側に居てもらっているのです」
「そう言う事だったんですね。
確かに、魔力量の高いエルフなら適任ですね。……あッ……」
と、言う事は……この場に魔力量の多い者か——もしくは普通に魔力を持っている者が居ればアリスに魔力を渡す事が出来るが……
僕の今の魔力量は【9】と——その魔力をアリスに全て渡しても初級魔法を1発撃てるか……いや、普通に考えたら放てない。
なので、今の状況は絶望的であった。
すると、アリスが……
「こういったピンチでは、私達の相性は最悪なのかもしれないですね……」
「そうだな。魔力の少ないザコに——魔力を回復しないポンコツ……お前ら控えめに言ってもダメダメコンビだな!」
「しかし、僕達には剣がある!」
そう、こう言う時に備えてアリスも剣技だけは練習しているのだ。
そして、2人は皆んなが逃げる時間を稼ぐ為に剣で魔物を食い止めると——見事に達成する。が……その代償として、2人は魔物が住う森で遭難した。
*
僕達は、何とか魔物の群勢から逃げ延びる事に成功はしたが……
だだ今、僕の魔力量は【3】の為に——あと数回、魔法を使うと何も出来なくなってしまう。
すると、足手まといになる為に魔法は控えなくてはならない。が……
もちろん、アリスの魔力量もほぼ【0】の為に魔法は使えない。
僕達は、魔物から逃げると洞窟に身を隠した。
そして、残り少ない魔力を使い傷ついた2人の体を回復魔法で癒し。
闇魔法の空間魔法から食料を取り出すと最後に、焚き火の為に炎魔法を使うと残り魔力量は【0】となってしまった。
なので、僕達は見張りをしながら交代で休憩を取る事にした。
すると、アリスは食事を摂る際にや暇な時間に沢山の質問を投げかけて来た。
その時、僕が思った事は——案外アリスは話が好きでおしゃべりなのかも知れないと思った。
しかし、特にやる事も無く時間を持て余していた僕達には——アリスのおしゃべりは良い時間潰しになった。
「申し訳ございません。回復魔法までかけて貰ってしまって、本当なら光魔法の使い手である私がやるべき事なのに……
しかし、クロウさんは凄いですね。闇魔法の上級魔法である空間魔法も使えるとは、そのお陰で、こんな豪華な夕食にもありつけるとは思ってもいませんでした。
そして、なにより驚きなのが……
闇魔法の他に回復魔法と炎魔法といった異なる属性の魔法を2つも使えるとは驚きです。
しかも、魔力が【0】無くなってもマインドアウトしないとは驚きです」
(私に少し似ている所を感じます……)
すると、アリスの疑問に僕より先にヤマトが答え始めた。
「コイツは、もともと魔力が全く無く。
魔力の発現は最近の為に、魔力量が極端に少ない為に——ほぼ毎日魔力ご空になる。
簡単に言えば、慣れだな! 毎日空になる。だから【0】になってもマインドアウトしないんだ。
そして、魔力が無かったと説明したが……その魔力を発現する過程で全ての魔法を使える様になったんだ。
それは、コイツの特異体質だな!
しかし、とは言っても炎は焚き火を起こす程度、水は飲み水を出す程度と戦闘には全く使えないザコだけどな。
まあ、こう言ったサバイバルに置いては役に立つかもしれないけど……
結局、魔力量が少なく戦闘では使えないからカスだな!」
「いや、そんな事は無いですよ。
現に今、私達はクロウくんのお陰で助かっているのも事実で——。
猫くん……君は、少し厳しすぎますよ!」
「うるせーにゃ! 外野は引っ込んでろ。
もともとコイツに、魔力を与えてやったのは吾輩にゃんだよ。たから俺がコイツをどう言おうと勝手にゃんだよ——ッ!!!」
「それは、そうなのかも知れませんが……私はクロウさんに感謝しているのだから良いのではないですか——ッ!!!」
「まあまあ……2人とも喧嘩しないで、僕の魔力量が少なくて魔法自体そんなに使えないのは事実だし。
それに魔法を使えなかった僕に魔法を使える様にしてくれたヤマトに——僕は、本当に感謝しているんだ」
「……確かに、そうかも知れませんが……この猫は、君にもう少し感謝しても良いのではないかと思ってですね」
「まあ、ヤマトもまたたび酒の飲み過ぎだよ」
「うるせ〜女だにゃ! クロウが言ってんだ。
お前がつべこべ言うにゃ——ッ!!! それに、今だに魔力量が【20】くらいしかにゃいにゃんてザコ中のザコにゃだよ! 時間もにゃいのに……」
(時間……?)
「私はね。もう少しクロウさんに敬意ってものを……それに、魔力量の話なんて全くしてないし。魔力量が【20】くらい……なんて…………ッ……………ッてかクロウさんって、魔力量【20】しかないのですかッ!?」
「そうですよ。ですから魔力を回復させる為に僕は少し寝ますね」
そう言って、僕は眠りに着いたが……
その後もヤマトとアリスは、何か言い争っている様ではあったが……疲れが溜まっていた僕は、沈む様に深い眠りに着いてしまった。
それから数時間後に僕はアリスと交代する為に起きるとアリスは、その申し出を断った。
理由は、アリスは寝ても魔力が回復しない為に——その分を僕に回してくれるとの事であった。
しかし、僕は魔力だけではなく体力もあると説明をしてアリスに休んでもらう事にした。
初めは、すごく断って来たが体を横にするだけと言う形で納得してくれた。
そして、横になったが寝る気のないアリスと僕は少し話す事にした。
アリスは、ヤマトに僕の事を少し聞いたのか隣でイビキを立てて寝るヤマトと見ると魔力の事について話した。
そして、アリスは僕に戻ったらある実験に協力してくれないかとお願いされた。
それは、アリスが魔力を手に入れる為に行った行為で——それを受ければ、もしかしたら僕の魔力量も上がるかも知れないとの事であった。
しかも、ヤマトととは——もう話が澄んでいて、どの様な実験かも分からないのに彼は是非と事であったらしい。
僕は、生きるうえでは今のままでも問題はないが……ヤマトが言った時間がない。その言葉は、きっとルーシーの事で——ならば僕はどんな事をしても彼女を助け出す為に、今はゲンゾウの弟子になり。
塔の情報を聞き出す為に、彼の望む魔力量を得る為に——その提案に納得することしかできなかった。
すると、話しを終えたアリスは僕が納得した事を確認すると安心したのか、あれだけ寝ないと言っていたのに疲れていた為に気絶する様に眠りについてしまった。
そして、僕は——いつもは凛々しく気高いそんなアリスの無防備な寝顔を見ていると……少しだけ見惚れてしまった。
「……ハ——ッ! いけないいけない」
すぐさま我に返った僕は、回復した魔力で闇魔法の【シャドウドール】を複数作成すると帰り道を調べさせた。
そして、朝になると僕は自分達の居る大まかな位置を2人に説明と帰り道のルートを相談した。
僕達が、今いる場所は森の奥深く……立ち入り禁止区域に認定されている位置に属していた。
そこは、危険な魔物も多く生息している為に別名【帰れずの森】と呼ばれる禁止区域のエリアであった。
しかし、運が良かった事に僕達は——まだ禁止区域の入り口に属した部分で【シャドウドール】により方向も分かった為に、安全な地帯へと迷いなく進む事ができる為に、ホッと一安心をしていた。
そして、3人で地図を広げると朝食をとりながら安全なルートを話し合った。
そして、準備を終えた僕達が帰ろうとすると……ソイツの気配は、突然現れた。
僕達が帰ろうと、すると……
禁止区域の奥から禍々しいオーラと共に桁魂雄叫びが聞こえて来た。
それを聞いた僕達3人の体は、意味も分からずに震え出した。
そして、アリスが……
「今回の魔物の群れの原因は……これが原因だったのですね」
「間違いない……な……」
「どうする……?」
「バカがお前は、どうする? って、逃げるに決まっているだろ!」
そう激しく声を荒げるヤマト——。
しかし、アリスは……
「……魔力の無い。今、戦っても絶対に勝てる相手ではない。
でも、先生達に報告するにしても、もう少し情報は欲しい……」
「僕もそう思う」
「ふざけんな! 魔力無しのザコどもが、こんだけのオーラを発する魔物に見つかったらひとたまりもないぞ! 逃げるに越した事はない。早く逃げるぞ——!!!」
「ヤマト、それだけ危険だからこそ情報収集する意味があるんだ。
こんな奴が、いきなり街に現れたら街の人達はどうなると思う」
「そんな事、知ったこっちゃねー! 今、ここから離れる事が1番大事にゃんだよ!」
「なら、1人で帰れ! 僕は、姿だけでも見てくる」
「私も、一緒について行きます!」
「吾輩は、知らねーからにゃ。ちゃんと言ったからにゃ!」
その言葉を残して、ヤマトは森の中に消えると居なくなった。
アリスは、1人で森に消えたヤマトを心配するが——僕が「ヤマトは魔物だから襲われる心配はないよ」と伝えると——とても安心していた。
その行動を見て僕は、改めてアリスを心の優しい人だと再認識させられた。
そして、僕とアリスは魔力のより強い方へと足を進める。
少しずつ……少しずつ…………空気が重たく全身に絡みつく。そのせいで、足取りが重くなるが……それでも進み続ける。
そして、魔物の姿を見た僕達は——朝食を全て吐き出してしまった。
それは、魔力の少ない僕達は——その魔物の禍々しいオーラに当てられてしまったのだ。
しかし、姿は確認出来た。
あとは、見つからない様に戻るだけ……
僕達は、細心の注意を払いながら——その場を立ち去った。




