永遠の道
「タっ、タスけ……」
◇◇◇◇◇
ソコには、帰る途中の1人のニンゲンが迷い込んだ。迷い込んでしまった。
[なんか…さっきから同じとこ通ってる?]
そのヒトはオカシイと思いながら、キョロキョロと周囲を見ながら進んでいく。
この時はまだ気付いていなかった。
「………」
ヒトを見ていた、ニタニタとニヤけている異怪のモノ。
(オイシソウなヤツ。モウいいダロウ)
ヒトはもう帰れないところまで来てしまっていた。
そして異怪のモノはヒトに襲いかかった。
頭上から。
[…っ!!]
突然の影に見上げたヒトは、そのまま後ろに体を反って手をつき、異怪のモノを蹴り上げた。
「ガッ!!!」
異怪のモノはその一撃で体が動かなくなる。
(マ、マズイ…)
下を見れば嫌な笑顔でヒトが待っている。
こんなところでも重力があった。
異怪のモノはなすすべなく落ちていき。
「タっ、タスけ……」
◇◇◇◇◇
[うーん。なんだか分かんないけど、意外にイケるな]
異怪のモノを手で無造作に引きちぎっては、ムシャムシャと食すヒト。
食べ終わると再び歩き始めた。
[楽しかったな。コレがずっと続けばいいのに]
ヒトは気付かなかった。
すでにこの道が、永遠に続いていることに。
天国に帰るため、永遠に地獄を歩くことに。