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残念ですが陛下、スローライフはお預けです。  作者: ヒガツキ
第三章 陛下、襲撃のお時間です。
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イチャイチャルーム


 前回までのあらすじ。

 オレは記憶喪失中にて、ハダカで女の子とイチャイチャしている。

 

 「ごめん。本当に何も思い出せないんだが……オレはなにか、ジョウカに大事なことを伝えてなかったか?」

 「一生幸せにしますってアレとかこれとか」

 「……オレがか?」

 

 流石にネフェリやファナード百世のことは覚えているので、それだけはないと確信を込めて確認する。するとジョウカが、申し訳なさそうに腕を離した。

 

 「……さすがに冗談。陛下にはいいようにやられてばっかだったから、少しやり返してみたくなっちゃったの。記憶喪失についてはあらかた説明する準備がある。ちゃんと聞いてるから、貴方自身に。その正体が──勇者ギントだってことも」

 

 分かりやすく言葉を失った。

 

 「どうしたの?」

 「いや……、そこまで信用してたんだな、オレはキミのこと」

 

 過去のオレはジョウカに対して確かな信用を持っていたようだが、今のオレにはむしろ失望に近い感情が渦巻いてる。オークニ様に『ジョウカとイズオーが裏切りの準備をしている』とついこの間、聞いたばかりなのが大きい。

 密偵部屋にジョウカが住んでいるという事は、時が進んでいるのは確かな事実なのだが……。心では素直に受け止めきれないでいるので申し訳なさを感じた。

 

 「フフ」

 

 落ち込むオレを見てイタズラっぽくジョウカが笑い、艶めかしく人差し指を動かしてオレの唇にそっと触れた。

 

 「謝るのはナシよ。おっちょこちょいのギントさん」

 「……!」

 

 バツの悪さと色々な気恥ずかしさとが混ざり合って、顔が一気に熱くなる。言い返す言葉すら思い浮かばないでいると更に近寄ってくる。

 

 「資料2、忘却効果について答えて」

 「……。」

 

 不意にジョウカが耳元にそう囁いた。ぼーっとしていると肩を叩かれた。

 

 「頼まれた伝言はまだ他にあるけど、意味はわかりそ?」

 

 ただ小首を傾げてるだけなのに、ものすごく可愛く見えて困る。複雑な感情がぶつかり打ち消し合って、純粋にジョウカの良いところばかり目が行ってしまう。 一刻も早くここを出なければ。彼女の魅力に呑み込まれてしまう前に!

 

 「陛下?」

 「……ああ! 資料の話か? 分かるぞ忘却の効果」

 「説明してみせて? それが成り済ましを防ぐ合言葉の役割りを果たすから」

 

 さすがはオレ。迂闊に情報が漏れないように工夫してあるか。ならそれに則って説明するのみ。忘却効果についての資料は、パステル博士から預かり穴が空くほど読んでいるので問題なく説明できる。

 

 「物理的なダメージを与えた際に記憶の一部を奪うことが出来るジェットは、一定値を超えるとその反動を使用者にも与えるロス・メモリ状態が起きる。ロス・メモリ状態とは言動や理性が一時的に壊滅的となり、極端な睡魔にも襲われなどする。極めつけは、この反応が起きてからの前後約十八時間分の記憶を喪失してしまうことだ」

 

 対処法としてはすぐ寝てしまうのが得策。睡眠時間が長ければ長いほどそちらから優先的に記憶が消えていくのでオススメだと書いてあった。反動を受けるまでの一定値には個人差がかなりあり、九割の人間がロス・メモリ状態に陥ってたことすら自覚なく朝を迎えるという。使いすぎたと思ったらベッドをすぐに確保しよう。

 ここまで説明してようやく察したが、オレに記憶がないのはこのロス・メモリ状態が原因のようだった。数日前にアサシンズを殴るため使用したまでは覚えているが、まさか今になって症状が出るとは。もしかして、つい最近も使ったのか?

 

 「ろすめもり状態って言葉が出てくればとりあえず大丈夫、かな」

 「昨日は何があったんだ?」

 

 ジョウカは自分の知る範囲で昨日何が起こったのか話してくれた。

 

 ・帝国宰相ジオルドの宣戦布告。

 ・勇者ギントの指名手配。

 ・試作スーツの完成。

 ・聖騎士団の壊滅。

 ・四天王の討伐。

 ・ジョウカの死体偽装。

 ・ジョウカへの密偵部屋貸与。

 ・ジョウカのための内装替え。

 ・夜オレひとりの訪問。

 

 どれもこれも信じられないような内容ばかりで空いた口が塞がらなかったが、嘘をついていないことは内装を見れば確かっぽい……。ちなみに彼女が要望を出し、オレが財宝魔法で内装をイジった結果、メルヘンでゴスロリチックなアヒルのぬいぐるみだらけの部屋になったそうだ。

 

 「昨日の夜訪ねてきた段階から、オレの意識は怪しかったんだな?」

 「ええそうよ。時間がないだの言って、沢山のこと一方的に私に打ち明けたあと、突然服を脱ぎ始めてお前もハダカになれって言って。それで……」

 

 モジモジしながらジョウカが言葉を詰まらせる。流石にもう引っ掛からない。

 

 「冗談なんだろそれは」

 「……。」

 「おい。何とか言えって」

 「ご想像に任せるわ」

 

 キリッとした顔で真剣に言われても困る。こっちは中身おっさんだって知ってるだろうに……。

 

 「次からはちゃんと断れよ」

 「努力してみせるわ」

 

 便利な言葉で逃げられた。

 理性が壊滅的になるという一文をサラッと口にしてみて思ったが、体験してみると結構やばいことしてるオレ。相手が男じゃなかったことがせめてもの救いだ。

 

 「あ、やべ。定例会ってそういやどうなったんだ?」

 

 イチャイチャしてて大事なこと忘れてた。予定通りなら確か、今日が大事なその日なのだ。

 

 

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