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三日目 舞台観賞会

 昨日の案内のお礼という名目のもと、候補者達からシロンへのアピールタイムとして、舞台観賞会が催される。


 これは元々予定された催しで、使節団が事前に演目を用意したものだ。大広間には本格的な円形の舞台が設置され、それを囲むように観客席が用意された。シロンが座るのはもちろん一番いい席だ。ディオ国王もシロンと一緒にこれを観覧する事になっている。


 候補者達が着席した後、ディオ国王がシロンをエスコートして入場する。世話役が“王子達からシロンへの感謝の言葉”を読み上げると、舞台鑑賞会は始まった。


 最初に舞台に置かれていたのはプラト国の自動演奏機。蒼輝石を動力にした最新式のものだ。奏でられる複雑な音色は妙なる音楽に変わり、機械仕掛けの動物や可愛らしい人形が音楽に合わせて物語を紡ぐ。


「どんな仕組みで動いているのか興味が湧きました。本当に生きているみたいだわ」

「流石は、匠の国の技術が集結した自動演奏機であるな」


 音楽が終わり、物語の幕が閉じると自動演奏機は舞台から下げられる。


 次の舞台はサギーナ国、サギーナ国騎士団の団服を着た演者が十三人登場する。全員が、がっちりとした体格で、舞台に並ぶだけで迫力がある。本職の騎士だろうか? ぴったりと揃った猛々しくも美しい剣舞を披露する。


「普段から厳しい鍛錬をされているのでしょう。一糸乱れぬ動きが、本当に素晴らしいわ。」

「サギーナ国の剣舞は初めて目にするが、勇猛な戦士の舞であった」


 騎士達は剣を収め礼をとると、ザッザッと行進をして舞台から去っていく。


 楽師達の演奏で華々しく始まったのはラストリア国の舞踊。煌めく装飾がシャラシャラと心地よいリズムを奏で、色彩鮮やかな民族衣装は踊り手の回転に合わせて広がる。曲調が次第に早くなってくると、舞台の上には大輪の花々が咲き乱れた。


「あれは何の楽器かしら、初めて目にします。踊りも衣装も華やかですね」

「まさに、この地に花の精が舞い降りたような華麗さであった」


 踊り手達は拍手する客席全方向にそれぞれ礼をとると、シャラシャラとステップを奏でながら退場した。


 最後にサルト国の花の山車がやってきて、春の女神の衣装を着た踊り手が神事を行うようにゆっくりと舞いながら、いい香りのする花を舞台に降らせていく。花の山車が去ると、舞台の中央には敷き詰められた花で描かれた大きな薔薇が出現した。


「薔薇の絵が出来上がるなんて素敵な演出でした。サルト国はお花の栽培も盛んなんですね」

「春の女神が真に現れたかのような美しい光景であったな」


 女神の衣装を着た踊り手が優雅に礼を取り、最後にもう一度花を降らせると舞台を降りた。


 舞台の余韻が漂う中、ディオ国王が立ち上がり、会場に声をかける。


「本日は、シロン姫の為に素晴らしい舞台観賞会を用意してくれたことを感謝する。どの演目も、各国の文化や伝統を感じられる素晴らしいものであった。私も共に楽しませてもらった。今晩、舞台観賞会の労いも兼ねて晩餐会を行う。各国の使節団には是非ご参加いただきたい」


 最後に世話役が晩餐会の時間や会場について各国に伝えると、舞台観賞会はお開きとなった。

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