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6.頂点にして、底辺でもある

 産み落とされた兄弟たちは、すぐその場から逃げ去った。

 一目散という言葉がよく似合う。


 このあたりの魔物の牙では、兄弟たちを傷つけることなどできないだろう。

 同時に私たちの牙が、彼らに届くこともないのだが。


 兄弟たち(かれら)が恐れているのは魔物たち(かれら)ではない。

 私たちは、本能的に知っている。


 鍛えた武器を手に、私たちを狩る存在がいることを。

 磨いた技で、私たちを屠る存在がいることを。

 世界は彼らを『人』と名付けているらしい。

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