「私達の運命的な出会い?」 その2
私は戻って来たユイさ―――― じゃなくてゆいゆい?に話を持ち込むとノアさんがバラしたことに頭を抱えた。どうやら追々話すことにしていたけど今じゃなかったみたい。何がどうなってるのか私は強欲にそれを求めてしまった。
「ノアちゃん……どうして言っちゃったの?」
ゆいゆいは強張った目でノアちゃんを睨むと怯えて私の腕に掴まる。
「ご、ごめんなさい……私……もう知ってると思っ――――― 」
「お姉さん連れて来る時に言ったよね、余計な事は吹き込まないでって」
「はう……ごめんなさい……」
ノアちゃんは何度も謝るもゆいゆいの表情は変わらない。私のせいでノアちゃんが叩かれるかもしれない、施設の人はそうして私を叩いた。
欲をかいて要らぬ秘密を知った時にはボコボコに叩かれたっけ。髪を引っ張られ、何度も平手打ちされて挙げ句ハンマーで頭を殴られて大量出血したのに誰も助けてくれなくて私は全身をズタズタにされた記憶が蘇る。
だから身体の節々は歪になってて脳の障害なのか時々記憶を失う時が増えて手に終えなくなったから私は監禁されたんだっけ?だから私はもう決めたんだ、誰も信用しないって、でも誰かが叩かれてるのなら私は助けたい。私みたいな人はもう見たくない。
「あの、ゆいゆい……私のせいだから怒らないであげて」
私の言葉にゆいゆいは驚いた。
「えっ、でも……お姉ちゃんのこと……」
「お姉ちゃんの事はもう聞かないから……ノアちゃんを苛めないで」
私は声を震わせてノアちゃんの代わりに謝る。
「知りたい……それだけで私は皆から嫌われたの……だからお願い、もう軽率に行動しないからノアちゃんを怒らないで」
深く、深々く頭を下げるとゆいゆいは困惑しておろおろと身体を揺らす。きっと私がそうしたら許してくれる、私が悪いのだから。
「えっとね…ユカリちゃん、お姉さんは子どもに暴力は振るわないの。だから貴女が謝ることなんて無いのよ?」
「でも私が聞いたからノアちゃんは!」
私は自分の考えを強く主張するもゆいゆいは何故呆れていた。
「ユカリちゃん、貴女がどんな生活をしてたかお姉さんは全部知ってる。だからもう自分を傷つけるのはやめなさい」
冷たい、先程とは別人みたい。でもその言葉には重みがあり温もりを感じる。
「無理だよ、だって私馬鹿だから」
「考えられる人は馬鹿じゃないでしょ?ユカリちゃんは過去の経験と自分を重ねてる。だから自分を批判する、貴女は精神障害に囚われてるのよ」
「うぅ……」
全部お見通しなんだ。私の素行の悪さと汚い心が見抜かれてる、私は痴れ者なんだ。
「ユカリさん、ごめんなさい。私のせいで嫌な記憶を……」
するとノアさんは申し訳なさそうに謝る、どうして謝るの?
「ううん、私のせいだから謝らないで。悪いののは全部私だから」
「そうじゃなくて!私はユカリさんは何も悪くないんです!お願いですからこれ以上自分を嫌わないでください……私もユカリさんと同じで私にそっくりなんです」
ノアさんは私の事を悪く言うならと自分の過去についてカミングアウトした。ノアさんは元々親を殺されて拉致された時に洗脳教育を受けた被害者らしい。
施設に入れられてすぐに目を抉られて家畜以下の扱いを受け散々奴隷のように彼らの実験体にされた挙げ句、最後はゴミのように四肢を拘束されて餓死させられそうになったと。
「ノアちゃん、また貴女は」
「いいんです、これ以上ユカリさんが傷付くなら私も一緒に傷つく方がマシです」
ノアさんは微笑しながらこちらを見つめる。
「お願いします、もう二度と自分を傷つけないでください。もし嫌な事があるなら私やユイさんに打ち明けてください」
ノアさんもまた深々と頭を下げるそれに答えねばと思ってはいる、けど。
「でも私……」
「ユカリさんが人間不信なのは私も存じ上げています。だからこそ信じてください【私は貴女の味方で絶対に裏切らない】と」
気弱な美少女は何故私を擁護してくれるか分からない、けどその表情は真剣で私はそれを直視出来なかった。
「ごめんなさい」
私は逃げてしまった。こんな美少女に強い口調で言われても私の心は淀んでいてそれすらも受け入れられなかった。ノアさんは手を握ろうとしてくれたけど私は信じる事が出来なかった。




