「水星皇帝レヴィアサン」
「ゆ、ゆいゆい!」
私はその場を離れようとしたがスカートを引っ張られ女性に腹を抱えられてしまって動けない。
「あ、あの!私……」
知らない人に触られるのが苦手で心を許した人しか触られたくない。なのに女性は私の太股やお尻を触ってくる。
「肉付けはまぁまぁね」
さわさわと触られるのが恥ずかしくなって涙ぐんでしまう時に光の剣が何故か私の頬を掠めた。
「お触り禁止なの。返してそれは私の子どもだから」
いつもの優しい表情は一切なく怒りと殺意に満ちた顔に皺が増えていくだけだ。
「ユイ、アンタデカイ乳ぶら下げてる割にはサクラユカリの育て方下手じゃない?もうちょっと栄養を与えないと良い女にはならないわよ」
「それはユカリちゃんが決めることで私じゃない、アンタこそ淫乱な衣装で変態扱いされてない?水星皇帝の【レヴィアサン・リヴァイアサン】」
レヴィアサン?この人が?
「ふん、分かってないわね。女は魅惑の身体と際どい衣装こそ至高で美しいのよ」
「ふ~ん、私には変態にしか見えないけどね」
「アンタ見たいなクソダサ衣装よりマシよ?」
「クソダサですって?そんなに殺されたいの?」
「掛かってきなさいよ!」
私は彼女達のバチバチに火花が飛び散る程喧嘩腰の態度に怯えているとレヴィアサンは適当に投げ捨てられてスカートが捲れたのをガードする。 振り返るとそこには二人が剣と槍の鍔迫り合いが行われていた。
ゆいゆいが先手に剣を払うとレヴィアサンは槍を突き刺してそれ軸に回し蹴りを行うも体制を低くしたゆいゆいに突破され頬に切り傷を付ける。
「トライアングルオーシャン!」
レヴィアサンはついに魔法を放つもゆいゆいは平然とした表情で切り裂き太腿に突き刺す。
「ちっ」
レヴィアサンが膝を崩しそうになる所でゆいゆいがもう一つの脚を払って顔面に一発殴る。さらに胸元から鉄の杭を投げつけるも水魔法?で弾かれ耳を貫通する。
「クラスターバレット!」
レヴィアサンは体勢を整えユイを迎え撃つ。
だがそれは悪手で突いた槍を逆手に取られて一気に間合いを詰められてしまう。
「ふふ、そんな程度なんだ♪」
首を掴みヘッドバットする。頭から血を流したレヴィアサンにユイは虎視眈々の勢いで攻撃する。どんなに間合いを変えても一瞬で隙を突いて傷が増える一方。反撃しようにも計算を読んでいるのかユイは顔色一つ変えず連擊する。
「す、凄いけど……」
力の差は一目瞭然、ゆいゆいがゆいゆいが優勢だと分かる、だがこのままだとレヴィアサンが本当に殺されてしまうかもしれない。そう思うと私は怖くなりゆいゆいの体を抱きつく。
「ゆいゆい!もういいでしょ!?可愛そうだよ!」
本当はゆいゆいのこんな姿が見たくなかった。まるで殺人鬼のように快楽を楽しんでレヴィアサンの腹を切り裂いて……大好きなゆいゆいの面影がなかった。
「ユカリちゃん……」
私は傷だらけのレヴィアサンを庇いゆいゆいを説得する。誰が悪いなんて分からないけどこんな事で人が死ぬなんて嫌だった。
「ゆいゆいお願い、もう止めて……レヴィアサン辛そうだよ、いくらゆいゆいが強いからって弱いもの苛めはよくないよ」
「アンタ私を馬鹿にしてるの?」
私は必死に止めようと擁護すると守っていたレヴィアサンが怒りを露にしながら私を睨む。
「分からない、もしかしたら万全の状態じゃないからこんな結果になってるのかもしれないけどどう考えてもゆいゆいの方が一枚上だよ!」
「ガキが私を馬鹿にして……うっ!」
肉が裂けた部分の傷口が開いて大量の血が流れ出る。私は自分のハンカチを使って太腿の血を防いだ。
「サクラユカリ?」
「ユカリちゃん?」
駄目だ、傷口が深いから流れ出ちゃう。
「大丈夫ですよ、少し押さえれば血は止まります」
痛くないように手当しても私の技術なんてたかが知れてる。きっと痛い、頭を殴られた私だから分かる。痛みに人は耐えられないんだ。
「ゆいゆい、この人を許してくれない?ゆいゆいを不快にさせたかもしれないけど殺し合うことなんてしちゃ駄目だよ……」
私は深々頭を下げてゆいゆいにお願いすると返事は数秒呆然として呆れた顔でレヴィアサンを見下ろす。
「ユカリちゃんが優しい子で良かったね」
「ふん、別に頼んでないわ」
「頼まなくてもユカリちゃんは助けるよ、トラウマはそう簡単に忘れられないのだから」
ユイは意味深な言葉を発しながらそう言って言ってる理由が分からないレヴィアサンを魔法で回復させた。
「ちっ、仕方ないから礼は言ってやるわよ、でも次会った時は―――― 」
レヴィアサンの悔しそうな眼差しでゆいゆいを指差したその時、誰かが死に物狂いで走って来た。
「大変です!!リヴァイアサン女王!原因不明のロボットが街を襲撃しています!!」




