「心が安らぐ拠り所」
結局私の服選びよりもゆいゆいの方が長い時間を使ってしまいノアさんのを買いそびれてしまった。申し訳なさそうに謝るゆいゆいにノアさんは謙虚に返答する。
「のあっち♪」
突然トントンと肩を叩かれる振り向くノアさんの頬をぷすりと指を入れる。顔を真っ赤にしたノアちゃんはむっとする。
「冗談だって~♪のあっちは真面目だな~☆」
「そんなことで呼ばないでください!だからいつまでもペッタンコなんですよ!貧乳まな板お馬鹿さん!」
「馬鹿はゆかりんでしょ!?」
「誰が馬鹿だよ~!!」
ついでと言わんばかりに私を馬鹿にされ二人でプレアさんを責め立てる。
「あれ~?いいのかな~?ここに二つの袋があるんだけど~」
何故か余裕の表情のプレアさんの手元には二つの袋があった。
「アタシがチョイスした二人に似合う激可愛い服と下着有るんだけど~?いいのかな?」
プレアさんのセンスで選んだ物!?絶対逸品に違いないけどノアさんは謝る気はないみたい。
「い、要りませんよ!どうせ大人のなんですよね!?」
「強がんなくてもいいよ?のあっちもアタシのセンス認めてる癖に~【ユカリさんに好かれるような服選んでください!】って言ったの誰だっけ?」
「なっ!?それは言わない約束じゃないですか!!」
どうやら私の知らぬ間に何やら交渉していたようだ。私に好かれるってどんなコーデだろう?
「それで~」
「あわわわわわそれ以上ダメです!!私が悪い子でした!だからそれ以上ダメですぅ!!」
ノアさん私に対して好印象を持ちたかったのかコーデをプレアさんに頼んでたみたい。因みにゆいゆいのもコーデしたみたい。
「宜しい、はいど~ぞ♪帰ってから開封してね?」
プレアさんは勝ち誇ったように清々しそうに笑いながら私達にプレゼントを貰った。なんやかんやで二人は仲良しだ。
「さぁ~てと!今日はもう遅いし帰って夕飯にしようかな♪」
私達は皆で夕飯について話していると後ろから背後から視線を感じた。振り返るとそれは無くて不気味だ。
「ユカリさん、どうしたんですか?」
視線を追うもやはり誰もいない気のせいだった?
「ごめんな、なんでもないや 」
「そうですか?ならいいですけど」
ノアさんは私の歩く速度に合わせて一緒に歩いてくれたりご飯の時も待ってくれたりとノアさんにも何かお礼してあげたいな。
「ノアさん、何か欲しいものある?お金は無いから限られちゃうけど……お仕事頑張るから何でも言って!」
私が喫茶店で仕事することは予め伝えてある。だからノアさんは戸惑った。
「えっ!?えっとですね……欲しい物ですか??う~んと……ゆ、ユカリさんですかね?」
「えっ?」
「あっ!いえ!誤解しないでください!決してユカリさんをその疚しいことをしたいのではなく日本語とか漢字を教えて欲しいなーって!」
慌てふためくノアさんが可愛いことは捨て置き、お勉強か!文系は大得意だから教えてあげられるかも!数学は……うん!
「それでいいの?」
「あ、後は!二人きりで遊んだり!話したり!沢山です!」
「欲張りさんだね♪分かったよ♪私ノアさん好きだから全部やるよ♪」
「本当ですか~!?ありがとうございますユカリさん!」
ノアさんは私の腕を掴みながら嬉しそうに抱き締める。こんなに表情豊かだったんだ。
あれ?今度も視線を感じる、前に歩いている二人が嫉妬の目をして見つめていた。
「お姉さんがいるのに~!」
「そうだそうだ!百合は他所でやれ~!」
まるで暴徒のように文句を投げつける二人には少々堪えたけどノアさんは赤面で満更でもないのかもしれない。
「ち、違いますからね!?私はその……ユカリさんが可愛い妹なだけで!」
「顔真っ赤だよ?」
「ひゃうぅ!ホントに違います!」
「本当はゆかりんのこと大好きなんでしょ?」
「あわわわ!違うって言ってるじゃないですか~!!」
プレアさんはにこにこしながら走り去るのをノアさんは追っ掛けて行った。気付けば外はオレンジ色に染まり心地の良い風にノスタルジックを感じながらゆいゆいと二人きりで手を繋ぎ一時の幸福感を肌で感じた。




