初めての依頼
私の初めての依頼は森のハウンド3頭の討伐だ。
この世界には空気中に魔素と呼ばれる成分が多数浮遊している。
これらは魔導を用いる際に使用する事が一般の認識だが、併せて魔獣の発生源にもなっている。
魔獣は魔素の濃い空間で生まれ、基本的に食欲に忠実に生きる。
一括りに魔獣と言っても様々な種族がおり、今回討伐するハウンドもその一種だ。
どこにでもいるとてもメジャーな魔獣で、犬の外見に良く似ているが体格は一回り大きく、知能は犬より低い。
魔獣がどうして生まれたのかは誰も知らない。
一説には古の魔王の技術ではないかとも言われているが確たる証拠は何もない。
いずれにせよ人がいない(魔素の消費がない)僻地や自然というのはえてして魔物を生みやすいのだ。
別に一体一体は対して手強くもないし、私は故郷で何度も狩っている何ら危なげない相手だ。
ここは一つ、3頭と言わず沢山倒してギルドに貢献する意志を示そうと思う。
そうこうしてるうちに森へ着いたが、人が全然いない事に少し驚いた。
てっきり駆け出しの冒険者がチラホラいるものかと思っていたのに、王都を出てから道中、行商を1人見かけただけだ。
「私が夢見てただけで冒険者ってあまり人気ないのか…」
少し寂しさを感じるけど、人がいないのは私にとっては有難い。
森は入って少し歩くと早速ハウンドの息遣いが聞こえてきた。
(5頭分の息遣いが聞こえる。)
位置は茂みの奥だが一足跳びでいける距離だ。
私は剣の柄に手をかけ臨戦体制に入った。