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剣の子


剣が好きだ。

私は人付き合いが苦手で、人前に出ると上手く喋れない。

心は常に揺らいでる。


けど剣を握ってる間だけは私の心はまるで風がない日の湖のように静かになる。


剣を振るってる間だけは不出来な私の現実の一切を忘れられる。


この剣で私は将来身を立てる事を早くに決意し、ある時期から筆を取らなくなり、魔導書を目にする事もなくなった。


そんな私を両親はとても心配していた。


この世で女が生きる道は色々あるが、荒事で飯を食べる物は少なく、いるとしても魔導に適性があるものが殆どであり、剣や弓などの武具を用いる者は更に少なかったからだ。


私に魔導の適性がなかった訳でもないし、決して勉学が嫌いという訳でもない。

しかし、この美しい切っ先を見ていると手に取る物は筆でも本でもなくいつだってコレになってしまう。


私は最低限家業の手伝いはしていたが他の時間は全て剣を振るい野を駆けていた。

剣の師もいないこの辺境の地で私は剣を抱いて今日も眠る。


明日私は家を出るのだ。


両親の反対を押し切り、“一月だけ”挑戦させて欲しいと頼み込み、あまり感情を表に出さない私の珍しい姿についに根負けし許してくれた。


若い女の1人旅だから心配するのは分かるが、同時に両親は私の剣の腕も知っているのでそれで辛うじて許された感じだ。



まずは王都に向かい、ギルドに登録する。

戦争になるか、魔獣の駆除になるかは分からないが、剣を振るいながらお金を稼ぐ事が出来る最大の方法だろう。


剣を人に教える道もあるが、私は我流だし何よりコミュ障だし無理だ。



戦いの中死ぬか、この身が衰えて剣を振るえなくなるその日まで、私はこの剣を離しはしない。


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