【短編】勇者様生配信
ノリで書きなぐりました!!
クスッとでも笑っていただけたら幸いです
反応良ければ連載しようかなっと思ってますので、バシバシ感想にネタをくれても・・・いいんですよ?(*゜▽゜)ノ
「はぁ…今日も疲れた」
ぐっと背を伸ばして机の中身をバッグに詰め込んでいく。その際に必要な物、つまりは今日の宿題などで必要なもの、そして明日授業で使わない教材をチョイスして入れていく。
これを関係なしにすべて持ち帰れば毎日の通学が只の筋トレになってしまい、筋肉のきの字も無い僕の細腕では毎日が筋肉痛という地獄の日々が始まってしまう事必至である。逆に全てを置いて帰る所謂置き勉をしてしまえば、普段は楽になるのだが、学生には数度必ず机の中を空にしなければいけない事がある。その際、置き勉をしている生徒に至っては学生鞄をパンパンにするだけでは飽き足らず、部活に在籍しているものであれば、部活で使用しているバッグにも詰め込み、そもそも帰宅部で他にバッグを持ってこないような生徒は紙バッグまで持参して来なければならない量となってしまう。以前、そのようにして帰っている者がいたが、帰宅途中になんと紙バッグの取っ手の部分が重さに耐え切れずにちぎれ、駅のど真ん中で中身をぶちまけてしまう、という悲惨な事件を目撃してしまってからはあの紙バッグの耐久性は一切信じない事として、寧ろ置き勉は絶対しないと誓い、こうして日々徐々に入れ替えて持ち帰るという優等生ぶりを発揮している
とまぁ、至極どうでもいい事を考えつつも着実に帰り支度を済ませた
「よー!今日どっか寄って行かね?」
気軽に声をかけてきた同じクラスの男子生徒
「うーん。有難いけど、今日は帰るよ」
折角の申し出だったけれど、それを断る
「おう!そっか。最近付き合いわりーなぁ。なんかあったのか?」
このように小さな事でも気付き、心配をしてくれる友じ…クラスメイトがいるなんて、凄く嬉しい事だ
「んーん。特にはないけど…」
ただ
「けど?」
ごめん
「最近凄くハマってる事があってね」
名前を覚えてない僕を許しておくれ
。。。
名も無き友人と別れを告げて僕は帰路に着いた
同じく帰宅する同じ学校の制服を着た人もチラホラと見られるが、幸い知り合いもいない(寧ろ殆ど知り合いがいない)為、特に特筆すべき点もなく、家に到着した
早めの夕食を済ませ、風呂に入り、宿題を終わらせる
チラリと時計を見ると20時3分前であった
僕は一息ついて愛用のスマホから1つのアプリを起動させる
『Live 生配信』
一昔前までは自らの放送をネットに配信するのは凄く面倒で色々と機材が必要である、と思われがちであったが、今は違う。言ってみればスマホとこのアプリさえあれば誰でもいつでもどんな時にでも生配信をする事が出来る。
内容も様々で配信者所謂キャストと拝聴者、ゲストがダラダラと会話をする(ゲストはチャットを使用)雑談枠やキャストが歌を歌ったり踊ったり楽器を奏でる歌枠、後は面白い事、しょうもない事など様々な事をするやってみた枠、などがある。
更には配信者の年齢や性別など細かくジャンル分けされている為、自分の理想のアイドルや歌手を見つける事が出来る。
そんな中僕は開いたアプリの自分のページから☆マークのお気に入りボタンを押すそこには1つの枠が表示されていた
『勇者様生配信』
そう書かれていた
表示はoffline つまりまだ始まってはいない。部屋の壁掛け時計を見れば19:59を指していた。
つまり
ピコン、と表示がonlineに切り替わる
それと同時に僕はそのボタンを押し、そこへ入室した
。。。
『はいはーい!今日もやってきました【勇者様生配信】のお時間ですよー!司会解説その他諸々をこの私、メルさんがしていくよー!』
快活な女性の声が聞こえてきた
この人はメル。と言っても僕は声しか聞いた事がないけれど凄く明るい、元気な女性のイメージがある
メルは自分で言った通り、画面内で起こっている事に対して解説や細かい説明、概要なんかも説明してくれるし画面の下部分にチャットを打ち込めばそれに対しての返事もしてくれる
『さてさてー。前回は確か勇者様が強くなりたいって願ってその方法を色々なとこで探し回ってそこを目指して旅立ったところだったねー。ふむふむー。あ、一名様閲覧いらっしゃーい!って事で簡単に説明でもしておこうかなー?』
閲覧、というのはこの枠、つまりは勇者様生配信を見ている人のことで、画面の右上に閲覧:1と書かれている。まぁその1はつまり僕の事だ
慌ててチャットを打ち込む
『えーこの世界には突如魔王が現れてしまいー人間は絶望の淵に立たされてしまいましたー。そして魔王メリューベリューは人間に宣戦布告をぉー…おおお!クルス君じゃないですかぁー!ハロハロぉ!!よくきてくれました待ってたよぉぉおおお!』
よく出来た設定を話していたメルだったが、チャット欄に僕のコメントが載った瞬間に僕、クルス(勿論HN)の表示に気付いて僕個人に挨拶をしてきた
『そっかーよく来てくれたよクルス君!君ならば説明は不要だね!昨日は盛り上がったからねー!また面白い案を期待してるよー!!』
といいながら画面の向こうでは満面気色の笑みを浮かべているであろうメルが弾んだ口調でペラペラと話していた
『さて、では本日の勇者様生配信だけど早速行ってみよう!今まさに勇者様御一行はある古ぼけた森の奥深くに住む伝説のハイエルフから修行として剣術や魔術の教えを請い、純粋なレベルアップを図っています!!そこで敵国である魔族は何かしらの嫌がらせをしていきたいと思いまーす。さぁクルス君!面白い案をおくれプリーズ』
画面の奥では四等分に別れた画面の中で4人の男女が様々な事をしている。金髪を靡かせて剣を振るう好青年、軽装を身に纏い、素早い動きで何かを必死に避けている黒髪の青年、本を山の様に積み上げて一心不乱に読み続ける赤い髪の少女、神聖なる聖壇の前で跪き、祈りのポーズを取る修道服を纏った青髪の少女
そう、彼等こそが勇者御一行であり、そしてこの【勇者様生配信】は
『さぁさぁ!クルス君!君の案と私の案を混ぜ混ぜに混ぜ込んで盛大に凶悪で滑稽なイタズラを考えよう!』
という事だ
。。。
「まずなんで勇者様御一行はレベルアップの武者修行なんてしてるの?」
『ふむふむ!それはだね!前回前々回と続けて君と私が考えた案が見事にどハマりしてしまってね!彼等は自らのスキルアップを求めた、という話さ』
なるほど
前々回と言えば、勇者の証である紋章を取りに洞窟探索をしている勇者御一行にイタズラしよう、というテーマだった
その時は通路の途中に広い部屋を作り出して同じくらいの大きさの穴を開けてそこに大量の水と軟体生物であるスライムをギッチギチに詰め込んでその上にわずか数cmの足場を残してそこを渡らせた
結果は、まぁ言わなくても分かるだろう
なんとか紋章を手に入れた勇者パーティはよくわからないねっちょねちょな液体が身体にこびりつき、憔悴しきった顔だった
前回は霧の森、と呼ばれる秘境にある勇者と共に成長する勇者の剣を取りに行っていた時だ
その時はマネッコモンスターと言われているパペットと言われる魔物を使ったイタズラだった
其々がバラバラに分断された所に他の仲間の姿で現れて、まぁ誘惑をする、と…ぶっちゃけ内容と流れによっては18禁になりそうな流れではあったけれど…その…まぁあれだね、パペットはその人の見た目だけでなく中身も真似る。で、彼等のミッションは誘惑。
勇者に模したパペットは燃える様な赤い髪の魔女っ子魔法使いの前に土下座しながら「踏んで下さいっっ!!!」と叫んでいた
結論→真似っこ勇者はドMでした
まぁつまりは全員の性癖が披露されてしまいましたとさ
何故、この様な事をしているのか、それは魔族たち、ひいては魔王の存在に理由がある
彼等は勇者に倒されるだけの為に生まれた
正しく成長させ、人々の希望となり、人同士の争いを終結させる一筋の光
それが勇者
では魔王、魔族は?
勇者を成長させるための世界が生み出したシステムでしかないそうだ
それを彼等は知っている
故に歴代の魔王達はとことん勇者を追い詰め、運命に逆らおうと足掻いた
けれども結果は変わらず、最後は勇者が魔王を倒してめでたしめでたしな勧善懲悪掃いて捨てるほどのハッピーエンドにしかならなかった
だが、今代の魔王メリューベリューは違った
絶対に殺されるのであれば致し方ない
結果は変わらぬ
ならば過程を変えてみせようではないか
奴等の物語を血肉沸き起こる英雄譚に等させぬ
奴等が語り継がれるのは歴史書ではない
喜劇としてみせようではないか!
…つまりはそういう事
因みにメルはこれを笑いながら飄々と語っていた
で、何故か知らないけれど、色々と模索していたメルは偶々何かが水晶と繋がった
それが【Live生配信】だったらしい
他の人の放送を見たり説明を読んだりして気が付く
これで勇者達の行動を映しながら何をすればいいか聞けば面白いのではないか?
正直に言えば魔王も魔族も基本的に力が全てな脳筋気質があり、勇者の物語を悲劇に変えられないのならば喜劇にしてやる、と宣ったのはいいものの何をしていいのかよくわからなかった為、偶々繋がったここは魔族たちにとっては渡りに船だったらしい
で、早速配信を始めたメルだったが、初めは説明も下手、ゲストの煽り方も下手、と正直目も当てられないくらいグダグダだった
え?なぜ知っているか?
僕は初期からのゲスト、所謂古参組だ
他にも数人古参組はいるが、まぁ今はその話は置いておこうと思う
僕らの案を混ぜ合わせて一番、と思われる内容を実行する
初めは僕らも勝手がわからなかったからね。難しかった。失敗もあった。けれどそれが徐々に洗練されて形となっていく
お互い意見を出し合って付け加えたり削り取った作戦を考える
昔のヒーロー物の怪人は何故あんなしょうもない事件を巻き起こすのか、と考えたが、いやはやこれは堪らなく楽しかった
「というか、前回ので強くって…勇者達って結構脳筋?」
ふと疑問に思った事をチャットに打ち込む
『まぁ有り体に言えばその通りだよー。彼等は肉体が、自らの力が弱いから精神的に惑わされるーとかなんとか面白い事を言ってたねー』
「成る程!それなら…とか…はいる?」
『それならば用意出来るけど…』
「なら…で…を…するんだ」
『ブラーボ!!君は悪魔よりも悪魔的な存在だね!!早速取り掛かるよ!』
ふふ、じゃあ本日の喜劇のスタートだ!
。。。
この企画のルールをおさらいしよう
1.物理的、精神的に殺してはならない
2.あくまで勇者が成長するための試練
3.意見を出し合う人が複数いれば妥協せずに話し合い、最高の喜劇にすること
たったこれだけだ
今回はあくまで弱ってるみたいだからね
なるべく優しめに…
。。。
「はぁ!!」
俺の名前はアベル。第28代目の勇者だ。勇者になる前はしがない冒険者で日銭を稼ぐ毎日だった
ある時無茶苦茶美人な女が現れて自らを女神と名乗った
そして俺を勇者と、
そこからみるみるうちに俺の周囲の環境は変わった
まず身体能力が爆発的に上がった
女神から神託?を受けたっつー聖女が現れて王族と謁見
その後は貴賓室を充てがわれて悠々自適な生活
剣の修行なんかも行なったが兵士や騎士連中じゃあ相手にもならなかった
そして現れた魔王を倒せば俺はなんでも思うがまま
金に名声、女に地位
全てが約束された俺は仲間と共に旅立った
しかし、中々上手くいかねぇ
1つ目巨人サイクロプスが現れたと言われて意気揚々と出かければ1つ目小人(幻惑魔術で1つ目になったただのゴブリン)で萎えたり
ミノタウルスが現れたと言われてそこへ行けば男性用下着を着用したブリーフタウルスだったり
紋章の洞窟でスライム池に落ちたり
最悪だったのは霧の森で勇者の剣を見つけた時に俺を模倣した魔物がまさか伝説の剣を引っこ抜いちまった
そのせいで仲間達からかなり疑惑の目を向けられた
それ以降何故かは知らんが魔法使いのアンナは俺と目が合うとめちゃくちゃ冷めた目で見るようになった…まだ魔物と疑われてるのか?
そうこうしてこのままじゃあダメだ、と古の森にいるハイエルフを見つけ出してなんとか修行をさせて貰えた
お陰で全員がかなりの力を得ることが出来た
「ふぅ……ん?っ!!?なんだこれは!!」
一息ついた瞬間大きな影が俺の目の前にいた
それは強大なドラゴン全身が炎のような赤い鱗に覆われた俺の数倍はあるかのような化け物だった
「Gyaaaaaaaaaoh!!!」
目の前のドラゴンがおれなんか一口で丸呑み出来そうな大口を開けて強烈な咆哮をかます
「俺だって、強くなったんだ!!」
転がっていた勇者の剣を取り斬りかかる
「喰らえぇ!!」
パキン
勢いよく振り下ろした剣が真っ赤な鱗に当たり真っ二つに折れた
「え…そんな…う、うわっ!!やめろ!はなせ!!」
ドラゴンは剣が折れ、呆然としていた俺に何を思ったのか俺の背中を足で器用に掴み空高くに舞い上がった
「ひぃぃいいい!!高いぃぃいいい!!」
人が自力で到達することが出来ない空の上に俺は今連れてこられている
為す術もなくただただドラゴンが俺を落としてしまわない事を祈るだけだった
不意に感じる浮遊感の直後に四つん這いの俺の手や足に感じるゴツゴツとした岩の感触
必死にそれに縋り付きゆっくりと目を開けるとそこは地上が遥か下に見える岩山の山頂だった
「だ、誰か!助けてくれぇぇぇええ」
ゆさゆさ
何かが俺の身体を揺さぶる
「……っと………ル」
誰かの声が聞こえる
「アベル!あんたしっかりしなさい!」
ふと目を開けるとそこにはアンナ
「え、あ、アンナ?そうだ!アンナ!レッドドラゴンが!!」
「…ドラゴンって、これ?」
アンナが指差した先にいたのは器用に二本の足で立ち上がり、両手を上に広げシャーと声を出している体長20cm程の小さな蜥蜴
周囲を見回すと俺が先程剣を振っていた場所の近くで休憩の際、腰掛けていた岩に俺は縋り付いて必死に落ちない様にバランスを取っており、俺の剣は少し離れたところに落ちており、俺の手には短い木の枝が握られていた
目の前の蜥蜴はあ、バレた?といった風な顔をしたと思ったら一目散に森の中にかけていった。そんなコミカルな表情や仕草さえも全て俺を馬鹿にしている様になって感じられた
その場にいたアンナと俺の間には気まずい沈黙が流れていた
。。。
『くっ…にゅふふふふー!!やっば!めっちゃ面白い!勇者君のあの全部分かった時の顔とかウケるんだけどー!ひひひひひ』
画面の向こうでは唖然とした勇者の顔がドアップで映されている
『やっぱりクルス君の案はどこか人を舐め腐った物が多くて面白いねー!』
「上手くいったようで良かったよ」
今回僕が出した案は3つ
幻覚魔法が使える出来るだけしょぼそうな小魔物を使う
剣が折れる幻覚を見せる
駆けつけた仲間に情けない姿を見せて声を掛けられたら幻覚が解ける
という物だった
それに対してメルはイリュージョントカゲという魔物を使用
トカゲは自分自身をドラゴンに見せて木の枝を剣に見えるようにした
空を浮かせたのは周囲に今も沈黙を守っている木に擬態したトレントという魔物が枝のような手を伸ばして背中を掴んで持ち上げた
後は仲間が勇者の悲鳴に駆けつけて声を掛けたところでネタバラシ
今回のは少し味気ない感じで終わったけれど、嫌がらせ、という点では満点ではないだろうか
『んじゃまーお時間も良いところでー今回はここでおしまいー!クルス君ありがとうねー!おやすみー』
チャットにおやすみ、お疲れ様と打ち込むとメルのバイバーイという声が流れて画面が切り替わり真ん中にofflineと表示された
僕はそれを見てスマホを閉じて時計を見る
時間は22:30を表示していた
さて、明日も早いから今日は寝よう
と次のイタズラを色々と考えながら眠りについたのだった
宜しければ評価して・・・して・・・してほしいな・・・壁|ω・`)チラッ