98.準決勝に向けて⑥
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
王都公認 『案内人適性試験』に臨むナヴィ。
トーナメント一回戦を突破した面々が準決勝に向け特訓を開始する。
ダリウス達の特訓の様子を聞いたナヴィは……
エンフィーはナヴィとハンナにブランとダリウスの一連の特訓の様子を伝え終えた。
「ブラン……やっぱり一回戦のダリウス君のあの時の痣は。くそ、あたしが止めておけば!」
力が入った拳を地面に叩きつけるナヴィ。
「僕が言うのもあれだけど、しょうがないよ。そこで下手な真似してたらナヴィ達の身も危ないし」
「でも、それじゃあ!」
「お姉ちゃん。ハンナさんの言う通りだよ。私もお姉ちゃんと同じ気持ちだよ。でもそれは言葉ではいくらでもいえる。それに現に強くなりたいと望んでるダリウス君はブランのやり方でもしっかりと強くなってた。結果だけ見たらそれもまた一つのやり方とも取れるんじゃないかな」
「っ! ……確かに。それじゃああたしにできることって」
ナヴィは唇を噛みしめ、怒る気持ちを抑えながらエンフィーに問う。
「お姉ちゃんにできることは、お姉ちゃんの正解だと思うやり方でサテラちゃんをダリウス君に勝たせてあげることだと思う。それが今回の試験の趣旨の一つでもあると思うよ」
「そうか……そもそもあたしは冒険者じゃない。案内人には案内人のやり方でってこと……か」
エンフィー、ハンナ、ありがとう……。
「あたし、サテラちゃんのところ行ってくる!」
「えっ今、ナヴィが一人にしてあげてって言ったんでしょ!?」
「顔出すだけ、また後で!」
そう言うと脱いでいた靴をさっと履き、サテラが自主練習している場所まで走っていった。
「「い、行ってらっしゃい……」」
軽く手を振って送り出した二人は会話を続けていった。
「エンフィー。正直どう思う?」
「どうって……?」
「勝てるのかい?」
「正直厳しいです。一回戦の動きをかなり分析されてパターンを作りこまれてしまっています」
「……パターンかぁ」
「ですから余計この二日間の特訓が大切になってくるのですが……」
「その他にも何か懸念材料が?」
「えぇ、サテラちゃんのこの自主練習の時間でどれだけ自分のスタイルを作れるかもかなり勝負の分かれ目ですね」
「そうだね……明日の夜までに完成、いやできれば今日完成して明日は反復練習が望ましいかなぁ。じゃないと、ブランにサテラちゃんの詳細教えられないもんね? えっとータパさんだっけ?」
ハンナはそれをシート近くの草むらに言い放った。
「な!? なぜ俺がここにいるのを!」
タパが草むらから体を出す。
「いやそりゃそんだけガサガサ動いてりゃ僕じゃなくても気づくよ。それにナヴィからも初日に頼まれてたしね。誰か偵察に来るだろうから見つけて追い返してって」
「私も帰ってくるとき後姿見えてたし」
「くっそーやっぱばれたかぁ、すまんこの通りだ。見逃してくれ!」
タパはハンナたちの目の前まで行き地面に頭を擦りつけた。
「いや切り替え早すぎでしょ。てか君まだブランと繋がってるの?」
「あ、あぁ一回戦が終わった後、ブランに優勝したら分け前をやるって言われて……」
その言葉を聞いたエンフィーが怒鳴りつけた。
「あなたねぇ、それでも上級ガイドなの!?」
「いや、待てエンフィー。まぁ僕たちも同じようなことしてたしここは見逃してやろう」
「え、ハンナさん? ま、まぁ確かに私も様子見に行ってたけど……」
「うん、だから今日は見逃してあげるよタパ」
地面につけていた頭を上げ驚いた表情を見せるタパ。
「え、マジっすか」
「ただし」
ハンナはその瞬間腰に差していた剣を抜きタパの首元に当てる。
「君の匂いと気配はもう覚えた。もし明日も来るようなら情状酌量の余地なしとみなして速攻で切りかかるから」
「えっと……」
剣を突き付けられ動揺し声が出なくなるタパ。
「分かるよね、僕は冒険者。そして君はただの一回戦で敗退した案内人だ、申し訳ないけど僕は生きて返すような手加減はできないからね」
「は……は、い」
「じゃあさっさと消えな」
「は、はいーお邪魔しましたー!」
颯爽と逃げていくタパを二人は大きなため息をつきながら見送った。
「はぁ、となると今日までの情報は確実にブランの耳に入るってことだね」
「ハンナさんとの特訓はもちろん、下手したらサテラちゃんの自主練習まで覗かれてたらやばいかもですね……」
「そうだね。今日時点でできていなかったとしてもその探求はしているはず、ブランならある程度予測して対策を立てられちゃうかもね」
「……ですね」
ハンナさんの言う通りだ……。これはやばいことになったなぁ、ダリウス君の強さはこの目でしっかりと見れたけど、正直今からあれの対策をするのは。とにかくお姉ちゃん達がどのくらい成長できるかにかかってる。私にできるのは多分ここまでだからあとは頼むよ。お姉ちゃん……。
「うぅ、ナヴィさん。全然できませんでした」
目の端に涙を溜めながら近くで様子を見ていたナヴィに話しかけるサテラ。
「そ、そうね、サテラちゃんのやりたいことは何となくわかったし、明日もう一日あるから明日また考えましょ!」
サテラの背中にナヴィは手を当てた。
うーんサテラちゃんのスタイル面白いけど思ったより進まなかった……。明日完成できてもどこまでそれを使いこなせるか……。とにかく勝負は明日ね。
こうして一日目の四組それぞれの特訓は終了した。
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第九章 七話 いかがだったでしょうか。
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次回、特訓二日目!




